語り部シルヴァ

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10/3/2025, 11:17:12 AM

『誰か』

明るく眩しい画面を薄目で見る。
メッセージリストには通知が1件もない。
いつもの事だ。

最近眠れない夜を過ごしている。
薬も貰ったがあまり効果がない。
次はもっと強めの薬をもらおう。

誰かいないかな〜
タイムラインを漁っても知らない人たちが
既に親しい仲であろう人と会話が弾んでいる。いいなあ。

他人を見よう見まねでSNSの海に流す。
...数十分経っても誰も来なかった。

こんなにいるのに誰も私のもとにやってこない。

「...誰か。」
スマホをぎゅっと握る。
虚しくなってきてスマホの電源を落とす。

真っ暗な空間だけが私の周囲にいてくれた。

語り部シルヴァ

10/2/2025, 11:09:15 AM

『遠い足音』

君の足音が小さくなっていく。
もう私の手は届かない。
もっと一緒にいたかった。

おはようもおやすみもまた明日もやってこない。
まだやりたいこといっぱいあったよ。
視界が滲む。
最後まで君を見たかったのによく見えない。

"行かないで"

言葉も喉に詰まる。
明日からはいつも通りの私になるから
今だけは...この感情に任せて涙を出し切りたい。

パンザマストから夕方の時報が鳴り響く。
私の嗚咽した声も君の足音も思い出も全てかき消すように
静かに、大きく鳴り響く。

語り部シルヴァ

9/30/2025, 10:49:39 AM

『旅は続く』

ご飯を食べ終えてコーヒーを飲んで一息つく。
今日はそろそろ街に付けるといいけど...
地図を開いて現在地と次の目的地の街を見比べる。

...うん。行けそう。
残りのコーヒーを一気に飲み干して思い切り伸びをする。
この時期の朝は少し肌寒いけど空気が美味しい。
変に早く目覚めちゃったけどいい気分。
こういう野宿は悪くない。

っと、そろそろ準備しないと。
荷物をまとめて出発の準備を始める。
ものを片付けて焚き火の火を消して...

自分が野宿を始めたときよりも綺麗になったのを確認して
もう一度大きく伸びをして 街への一歩を踏み出した。

語り部シルヴァ

9/29/2025, 11:17:05 AM

『モノクロ』

なんにも手が付かない。
やらなきゃいけないこと
やりたいこと沢山ある。

それなのに全部がぶつかり合って体が動かない。
体力はあるけれど真っ白に燃え尽きたように動かない。
趣味も今はやる気が起きない。

なんだか見てる世界に色が抜けたようで
力が入らない。
なにも...

...この時期はメンタルが落ちやすい。
暖かい布団にくるまって真っ黒な世界に沈んでいこう。

沢山寝て、次に起きた時にはまたこの世界に色を付けよう。
そうすればこの世界が少しでも好きになれるかもしれない。

語り部シルヴァ

9/28/2025, 10:57:59 AM

『永遠なんて、ないけれど』

「あ、今お腹蹴った」
大きくなったお腹を撫でて君は微笑む。
俺たちはついに子を授かった。
愛する存在を2人も作れるなんてとても贅沢な話だ。

これから3人でどんな思い出を作ろうか。
ずっと幸せが続くわけじゃない。
大変なこともあるだろうけど家族で乗り越えられるといいな。

君のお腹を優しく撫でる。
命が脈打つ感覚が指の先から伝わってくる。
今この瞬間、
体の内側から溢れてくる幸せの感覚がずっと続けばいいのに。

そんなことを考えながら君の横に座ると
君は俺に体を預けてきた。
全身から感じる温もりにまた幸せを感じた。

語り部シルヴァ

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