語り部シルヴァ

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9/27/2025, 11:26:09 AM

『涙の理由』

「マスター、大丈夫ですか?」
マスターが涙していた。
私はロボットだから
マスターのこういった行動や感情は共感できない。
けれど画面に映っている再生数と
コメントが全て物語っているのかもしれない。

「あぁ、ごめんね!大丈夫だよ !
次もまたお願いするからそれまで待っててね!」
涙を急いで服で拭って泣き腫らした顔で笑顔で私に答える。

「...わかりました。
それまでは家事など済ませておきますね。」
マスターのありがとうを聞いて部屋を後にする。
ドア越しから溢れる涙を抑えきれないマスターの声が漏れる。

私はマスターの心は理解できない。
マスターがあそこまで涙するのもわからない。
もしかしたら私がもっと上手く歌えていたら
涙することもなかったかもしれない。
なのにマスターは全部自分が悪いように言う。

申し訳ないマスター。
私はその涙を拭えない。
だから...次はその涙を吹き飛ばすような力で
マスターの期待以上に応えます。

語り部シルヴァ

9/26/2025, 10:40:00 AM

『コーヒーが冷めないうちに』

カフェで休憩中。一目惚れをした。
どんな人かわからない。
何が好きで何を飲むのか。
それでも私はこの人と話をしたくなった。

でも、話しかけれ引かれたらどうしよう?
でも、話しかけないと絶対後悔する。
頭の中で「でも」が論争を起こす。

今日はオシャレをしてるけど相手から見たらどうだろう...
次会えるのはいつだろう...

そう思いながら落ち着くためにコーヒーを一口。
さっき飲んだ時よりも温くなっていた。

よし、行こう。この熱が冷めたら終わりだ。
ゆっくりと席を立ち歩きながら呼吸を整える。

あ、あの!!

語り部シルヴァ

9/25/2025, 10:25:11 AM

『パラレルワールド』

『やっば!遅刻遅刻!』

「ちょっとー!朝ごはんは〜!?」

『今日はいい!じゃ、行ってきます!』

「あっ靴紐が...」

「仕方ないこれで行こう!」 「念の為に結んで...」

「急げ!あっ...」 「よし、行くぞ!」

「あっぶな...やけにとばすトラックだな...」

「ってまずいまずい。急がないと!」

語り部

9/24/2025, 11:34:51 AM

『時計の針が重なって』

夢でも見ていたようだ。
みすぼらしい衣服を纏ってお姉様たちの手のひらで踊る日々。
そんなある日お姉様たちが舞踏会に行ってしまった。
私も参加したかったけど、
残念ながら相応しいドレスを持っていなかった。

けれど魔法使いが私に素敵なドレスをくれた。
舞踏会に間に合ったものの、
踊る相手がいなくてただただ立つことしかできなかった...
けれど一人の男性が私に手を差し伸べてくれて二人で踊った。

沢山の人が私たちを見ていたかもしれない。
それでも私は一緒に踊ってくれたこの人しか
見れなかった気がする。
このままずっとこんな時間が続けばいい。

そんな夢も覚めてしまいそうで、私はその場から逃げ出した。
時計の針が重なって魔法が解けてしまう前に...

語り部シルヴァ

9/23/2025, 10:57:24 AM

『僕と一緒に』

いつだって君は泣き虫だ。
メソメソすんなよと笑顔で肩を軽く叩くと決まって
「だって、でも、」なんて言う。
ウザったいとか思う人もいるだろうけど
君は昔からそうだから僕は全然気にしない。

それに、なんだかんだ君は僕と一緒がいいって言う。
そんなこと言われたら庇護欲?だっけか。
そんな感情も芽生えてしまうもんだ。

でもきっと疚しい気持ちがなかったら
君を助けもしないのかと言えば違うだろう。

僕も君と一緒がいい。
だから君も僕と一緒にこれからも進もう。

優しく微笑みながら君に手を差し出す。
僕の手を掴む君を見て悪戯げに「甘えん坊だなあ」
とからかってやる。

君は顔を真っ赤にしながらも繋いだ手を離す気配はなかった。

語り部シルヴァ

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