語り部シルヴァ

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『涙の理由』

「マスター、大丈夫ですか?」
マスターが涙していた。
私はロボットだから
マスターのこういった行動や感情は共感できない。
けれど画面に映っている再生数と
コメントが全て物語っているのかもしれない。

「あぁ、ごめんね!大丈夫だよ !
次もまたお願いするからそれまで待っててね!」
涙を急いで服で拭って泣き腫らした顔で笑顔で私に答える。

「...わかりました。
それまでは家事など済ませておきますね。」
マスターのありがとうを聞いて部屋を後にする。
ドア越しから溢れる涙を抑えきれないマスターの声が漏れる。

私はマスターの心は理解できない。
マスターがあそこまで涙するのもわからない。
もしかしたら私がもっと上手く歌えていたら
涙することもなかったかもしれない。
なのにマスターは全部自分が悪いように言う。

申し訳ないマスター。
私はその涙を拭えない。
だから...次はその涙を吹き飛ばすような力で
マスターの期待以上に応えます。

語り部シルヴァ

9/27/2025, 11:26:09 AM