語り部シルヴァ

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『時計の針が重なって』

夢でも見ていたようだ。
みすぼらしい衣服を纏ってお姉様たちの手のひらで踊る日々。
そんなある日お姉様たちが舞踏会に行ってしまった。
私も参加したかったけど、
残念ながら相応しいドレスを持っていなかった。

けれど魔法使いが私に素敵なドレスをくれた。
舞踏会に間に合ったものの、
踊る相手がいなくてただただ立つことしかできなかった...
けれど一人の男性が私に手を差し伸べてくれて二人で踊った。

沢山の人が私たちを見ていたかもしれない。
それでも私は一緒に踊ってくれたこの人しか
見れなかった気がする。
このままずっとこんな時間が続けばいい。

そんな夢も覚めてしまいそうで、私はその場から逃げ出した。
時計の針が重なって魔法が解けてしまう前に...

語り部シルヴァ

9/24/2025, 11:34:51 AM