『半袖』
今日も学校だ...
同じ格好して同じルートを通って同じことを繰り返す...
面白くない。暑い中クーラーが効いた涼しい部屋で
のんびりしてる方が熱中症のリスクも回避出来ていいのに...
外に出てまだ数分しか経ってないのに
もう汗が腕から滲み出てる。
寒冷スプレーとか暑さ対策は
万全にしてきたはずなのにおかしい。
あー...帰りたい。
そう思いながら重たい足を頑張って動かして
やっと教室に着く。
クーラーの効いた教室内は
沢山の清涼剤が混じった匂いがする。
席に着こうとしたとき隣のクラスメイトに声をかけられた。
「おはよう。今日も暑いねえ...」
おはようと返そうとしたとき、
クラスメイトの何かに引っかかって身動きが止まる。
いつもよりも明るい...?いや表情とかじゃなくて
雰囲気...?でもない。なんだろう...
そう思いながらまじまじとクラスメイトを見つめる。
「大丈夫?...そんなに見られるとちょっと恥ずかしいかも。」パタパタと手で顔を扇ぐ仕草に答えがでる。
いつも長袖だった君の半袖姿に見惚れてしまったようだ。
語り部シルヴァ
『もしも過去へと行けるなら』
不思議な時計を拾った。
蓋のついた懐中時計。蓋を開くと世界が止まる。
蓋を閉じれば世界が動き出す。
これを使ってやりたい放題できるのか...
と言っても私自身やりたいことがほぼない。
時間の止まった世界は静かすぎてあまり好きじゃないし...
ひとつ思いついて時計に念を込めて蓋を開く。
ゆっくりと目を開くも止まった世界が広がった。
...どうやら時間を止めても過去にはいけないらしい。
「まあ...無理だろうね。」
蓋を止めて世界を動かす。
過去に戻れないならこれは私にとってはゴミだ。
懐中時計を落として靴で踏んづけた。
懐中時計はバラバラになって時計の針は進まなくなった。
語り部シルヴァ
『True Love』
一昨日は確か幕の内弁当だった気がする。
昨日はハンバーグ弁当。
そして今日は...
「こんなの作ってみたよ。サンドイッチ!
色んな種類あるから好きなの食べてみてね。」
卵にハムチーズ、ツナ...
色とりどりなサンドイッチが顔を見せている。
最近俺のことが気になってるらしい彼女は
胃袋を掴もうと毎日お昼ご飯を持ってきてくれる。
どうやら随分とお金持ちの家庭の娘さんのようで
常に余裕がありそうだ。
一方凡愚以下かもしれない俺。
勉強もバイトも財力もほぼ並以下。
あまりにも境遇も人間性も違いすぎる。
どこを気になったかは知らないけど
ここまでされるとさすがに返さなきゃと感じてしまう。
「なにかお礼したいんだけど...
あ、付き合う以外でお願いしたい。」
あまりにもわがままな質問に彼女は笑顔で
「私はあなたのお腹さえ満たされればいいよ。」
と返された。
この人には敵わない。
そして彼女みたいに人に無償の愛を
捧げれるような人間になれるのか...
そう思いながらせっかく作ってもらったしと
サンドイッチを口に運ぶ。
うーん...そろそろ本当に胃袋を掴まされそうだ。
語り部シルヴァ
『またいつか』
「もうこんな時間だね...」
沈んでいく太陽を見ながらあんたは話す。
特にすることがなかった俺を拾っていろんな所へ連れ回した。
服屋にカフェ、そこら辺をブラブラ歩いて
最後は高いところから沈んでいく夕陽を見ている。
インドア派な俺からすればオシャレなんてわからないしちょっと高めなご飯を食べるよりかは
カップ麺を食べた方が効率が良い。
眩しいだけの太陽を見て何が楽しいのか
あんまりわからなかった。
そんな俺といて楽しいのかと聞いてみると
キョトンとした顔で
「そんなの楽しいに決まってるじゃん。
私のわがままに全部付き合ってくれるの君くらいだし。」
夕陽に反射して笑顔がより眩しく感じる。
「俺なんかで良かったらまたついて行くよ。
捻くれもん連れて楽しいならね。」
「うん!またいつか!」
外はつまらん。けどこいつに振り回されるのは悪くない。
こいつといると世界が眩しくなる気がする。
きっと夕陽のせいだろうな。
語り部シルヴァ
『星を追いかけて』
最後のコードを鳴らす。低い音がじんわりと消えていく。
通しで何とかギターを弾き終えた。
ひと息ついて楽譜をめくってどこで音が濁ったか確認する。
通しで弾き終えた。けれど
どの音も一番いい音で出せたわけじゃない。
これくらいで満足しているならこれ以上上手くなれない。
私はもっと上を目指したい。
音が濁った部分はどれも私が苦手なコードの部分だ。
ギターを触り始めて一ヶ月弱。
慣れるまでひたすら指に
コードの配置と切り替える癖を覚えさせるんだ。
こんな調子じゃ君に聴かせられない。
もっと上手になって...いつか世界に知られるようになって...
遠くにいる君にまで認知されるんだ。
語り部シルヴァ