語り部シルヴァ

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『True Love』

一昨日は確か幕の内弁当だった気がする。
昨日はハンバーグ弁当。
そして今日は...
「こんなの作ってみたよ。サンドイッチ!
色んな種類あるから好きなの食べてみてね。」
卵にハムチーズ、ツナ...
色とりどりなサンドイッチが顔を見せている。

最近俺のことが気になってるらしい彼女は
胃袋を掴もうと毎日お昼ご飯を持ってきてくれる。
どうやら随分とお金持ちの家庭の娘さんのようで
常に余裕がありそうだ。

一方凡愚以下かもしれない俺。
勉強もバイトも財力もほぼ並以下。
あまりにも境遇も人間性も違いすぎる。
どこを気になったかは知らないけど
ここまでされるとさすがに返さなきゃと感じてしまう。

「なにかお礼したいんだけど...
あ、付き合う以外でお願いしたい。」
あまりにもわがままな質問に彼女は笑顔で
「私はあなたのお腹さえ満たされればいいよ。」
と返された。

この人には敵わない。
そして彼女みたいに人に無償の愛を
捧げれるような人間になれるのか...

そう思いながらせっかく作ってもらったしと
サンドイッチを口に運ぶ。
うーん...そろそろ本当に胃袋を掴まされそうだ。

語り部シルヴァ

7/23/2025, 11:38:24 AM