語り部シルヴァ

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3/26/2025, 11:25:38 AM

『七色』

赤...いちごか。
オレンジはオレンジ。まんまだ。
黄色...パイナップル。
緑...グリーンアップルか。
青...ブルーハワイ?なんか珍しいな。
藍...ぶどうだ。

「七色飴」という面白い飴が売られていて
思わず買ってしまった。
後でわかったことだが、
なんと人によって味や形が違うという。
七色に収まらない不思議な飴だ。

他の人とシェアして他にどんな味があるか見てみたいものだ。
...残念ながら友達はいないので
一人でもうひとつ買うことにした。

後日。もうひとつの中身は1つ目と全く同じ中身で、
別の人が買わないと中身が変化しない仕組みに気付き
膝から崩れ落ちた。

きっと僕の体は真っ白になっていただろう。

語り部シルヴァ

3/25/2025, 10:37:27 AM

『記憶』

今年の桜は気持ち早めに咲き始めた。
春の陽気と桜の雨。雲ひとつない青空をピンク色で
染めてしまいそうなほどに花びらは宙を舞う。

君の今にも泣き出してしまいそうな声が聞こえそうだ。
残念ながら桜にはいい思い出がない状態だ。
と言っても僕が余計なことを言ってしまったからだ。

高3の頃、、昼休みに教室を出て桜を見ていた。
その時の恋人が僕の背中を追いかけてきて一緒に桜を見た。
高3だから「この桜を見るのも最後だね。」
と言うと君は
「来年も見ようよ。絶対。」
なんて泣きそうな声で言っていた。

僕らはそっと手を繋いで春の陽気に当たって見ていた。
片方は地面にしかれたピンクのカーペットを、
片方は青空を覆うピンクのカーテンを。

でも、二人の視界にはピンク色なんて
見えていなかっただろう。
どっちもブルーな感情に塗りつぶされていたから...

あの日君が言った約束も守れなかった、
僕の不甲斐ない記憶の一欠片。
その記憶の一欠片が日常で見かけるものを嫌いにしていく。

あぁ、早く春が終わって欲しい。

語り部シルヴァ

3/24/2025, 10:54:10 AM

『もう二度と』

残業で遅くなった帰り道。ふとバイクを止める。
道の端に止まってエンジンを切って春風を感じる。
晩御飯の香りに混じってどこか懐かしい匂いがする。
なんだろう...

目を瞑って唸っているとお腹が鳴った。
帰路の途中だったことを思い出して帰りを急いだ。
走ってるときにも懐かしい匂いが鼻を誘う。
なんだっけこの匂い...

夕焼け、懐かしい...
あ、そうだ思い出した。高校生の頃の帰り道だ。
当時付き合っていた恋人と学校帰りに
恋人を家まで送った時にあった匂いだ。
あれから何年経ったんだろう...
それでも思い出すのは高校生の思い出が
それほど大事だからで、今でも愛おしい記憶なんだろう。

もう二度と、戻らない時間。
だから愛おしくて、求めてしまう。

まだ日が沈むと寒い...視界が滲む前に早く帰ろう。
バイクの速度をあげて急いで家に向かった。

語り部シルヴァ

3/23/2025, 10:19:22 AM

『曇り』

灰色の空が覆う。
暖かくなったと思ったらどんよりしていて、
むしろ少し変な汗が出そうだ。
雨よりも嫌いな曇り空。
晴れか雨かどっちつかずな空。

私みたいな優柔不断って感じだから嫌いだろう。
同族嫌悪...ってやつなんだろう。
頭痛がしてきた...低気圧のせいだろうか。

あーあ、本当にやだ。
せっかくの春なのに...
こうなったらもう昼過ぎだけど寝よう。

明日の授業は昼からだし夜に起きたとしても大丈夫だろう。
嫌いな曇りと無理に向き合う必要は無い。

曇りと同じくらいモヤモヤした心も
寝れば晴れると信じて私はベッドの布団に潜り込んだ。

語り部シルヴァ

3/22/2025, 10:17:24 AM

『bye bye...』

「よし、これで大丈夫...と。」
軽トラの荷台のロックをしっかりとした。
ひょこっと君が顔を出す。
「車出ると危ないから乗り出しちゃダメだよ?」

元気よく返事してから君は友達の元に奥へと行った。
長い付き合いだった...
こんなに立派に育ってくれて嬉しい半面、
別れが来るとこうも辛いのか...
それでも最初から別れる運命だった。受け入れないと...

「そろそろ出発します。大丈夫ですか?」
運転手が確認を取ってきたので
チェックリストを確認する。

「...はい。大丈夫です。お願いします。」
深く頭を下げると運転手は帽子の唾を少し上にあげながら
「わかりました。では失礼します。」
と運転席に座り軽トラのエンジンをかけた。

ゆっくりと走り出す軽トラに俺は大きな声で叫ぶ。
「今までありがとうな!!じゃあな!」

俺の言葉に反応したのか、君は元気よく
「ブー!!」と返してくれた。

語り部シルヴァ

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