語り部シルヴァ

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1/23/2025, 2:34:23 PM

『瞳をとじて』

目を閉じると、真っ暗な世界が広がる。
わずかなノイズが混ざりウェーブしたり点滅したり、
不思議な感覚に包まれる。
明るい場所で目を閉じると白い世界が広がる。

この世界で意識が無くなればそれは"眠る"ということだろう。
そう思いつつ寝ぼけた頭をリセットするように
頭を横に勢いよく振る。
そういえば幼馴染の部屋に来ていたのを思い出した。
幼馴染に誘われて勉強して途中で
お昼寝に変わったんだっけか。

寝る前の記憶を思い出す度に目が冴えていく。
静かに伸びをして幼馴染の寝顔を覗く。
普段はうるさいけど、顔はしっかりしてるんだよな...

じっと覗き込んでいると、幼馴染が目を覚ます。
私で影になっているはずの瞳はキラキラしている。

寝ぼけた幼馴染の「おはよう」に私は
不意に可愛いと思ってしまった。
目を瞑っても、白い世界が広がって顔は暑くなるだけだった。

語り部シルヴァ

1/22/2025, 11:23:28 AM

『あなたへの贈り物』

「よし...目を開けていいよ。」
彼女が目を開ける。
目の前には誕生日ケーキと
薄暗い部屋をぼんやり明るくするロウソクに彼女の目は輝く。

「わぁ...これって...」
「サプライズ。誕生日だから奮発したんだ。それと...」

そう言って袋を出して彼女にあげる。
「あっ!これって...!」
そう、彼女が前から欲しがっていたぬいぐるみだ。

「ありがとう!嬉しい...!」
ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる彼女の姿はとても愛おしい。
彼女に喜んでもらえるように準備したかいが
あったというもんだ。

そんな彼女を見ていると彼女は私の横に来て
私をぬいぐるみのように抱きしめる。
「苦しいよ〜、ほら、ロウソク消してケーキ食べよ?」
うん!と言い向かいに座る。

バースデーソングを歌いきりロウソクの火を吹き消す。
まだまだ幸せな時間はこれからだ。

語り部シルヴァ

1/21/2025, 10:35:47 AM

『羅針盤』

天気は良好。
風も穏やか。
この様子だと唐突に来る嵐も無さそうだ。

1面海。ゆらゆらと揺れる船も心地よく感じる。
地図を取り出して目的地を確認する。
...うん。今どこにいてどこへ向かってるか全くわからない。
おそらく地図通りに行けてるはずだろうけど...
それでも不安しかない。

「船長!このまままっすぐですかぃ?」
舵手が大声で確認を取る。
右も左も海で島すら見えない。
それなのにわかるわけが無いだろ...
「あ、あぁ!まっすぐ進め!」
「おー!」船員の返事と共に船はまっすぐ進む。

船員にバレないように羅針盤を確認する。
赤い矢印は上を刺している。
北...とりあえず北に進めば問題ないだろう。

羅針盤を閉じて船の見晴らしのいい場所へと登る。
今はこの潮風を感じるだけでいいのかもしれない。

語り部シルヴァ

1/20/2025, 10:47:55 AM

『明日に向かって歩く、でも』

目が覚めた時には太陽はすでに真上まで登っていて、
スマホは友達からの心配のLINEが大量に来ていた。
"1限目来てないけど大丈夫!?"
"姿見えなかったから一応プリントもらったよ〜
課題内容も載せとくね!..."

LINEの内容を見てはっと目が覚める。
授業を飛ばしてしまった。
昨日はちゃんと寝たはず...いやちゃんとではなかったっけ。
2日前に別れを切り出されて、
何も出来ずに一日を過ごしてしまった。
その反動で昨日は丸1日寝ていたのだろう。

正直まだ完全には立ち直れていない。
けど今日までも無駄にする訳にはいかない。
友達へ返事を送り、ベッドから降りて顔を洗う。

スマホの写真アプリを開いて消せなかった写真を消す。
...2人の後ろ姿の写真は消せなかった。

明日をよりよくするために半日からでも頑張ろう。
でも...今は振り返る居場所も残しておきたい。
1枚だけ写真を残して写真アプリを終了した。

語り部シルヴァ

1/19/2025, 10:34:41 AM

『ただひとりの君へ』

ただひとりの君へ。
君はかけがえのない存在だ。
他の人に君の代わりなんていない。
君だから...

ここまで書いてペンを置く。
くさい。いや毎日お風呂に入ってるからそっちじゃない。
どうも言葉がくさくってしまう...

もっとこう...特別な言葉を使いたい。
普段の語彙力の無さを思い知らされる。

「ねえねえ、何してるの?」
「あっ、ノックしてよ〜」
中学生みたいなセリフに笑う彼女に恥ずかしくなる。

「あー、もしかして結婚の...?」
「そうそう。なるべく君にも初見で聞いて欲しいから...」
「どーせくさいセリフばっかになって悩んでるんでしょ。」
悩む理由を当てられ、彼女はニヤニヤと笑う。

「どんなスピーチでも楽しみにしてるよ。頑張ってね。」
俺の頬にキスをしてリビングに来たら、
コーヒー飲もうねと言い彼女は部屋から出ていった。

...彼女のためにももっと頑張ろう。
ペンを持ち新しい紙と向き合った。

語り部シルヴァ

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