→短編・サークル
何とか無事に今年度を終えることができそうだ。
私は最後の採点を済ませたテストをポンポンと叩いた。マル、バツ、そして名前の横に点数を書き込んだ。3月の今、しばらくテストからは離れられる。
学期終わりの感慨に、クラスの児童たちの顔が脳裏に浮かんだ。私が彼らの担任でいられるのは、もう後少し。新学期には5年生になる彼らを担当するのは、私ではなく別の先生だ。私は1年生の担任になる。
学校って不思議だ。学生からすると通過点だが、教師は仕事場だ。1年を繰り返す。終わっては、また新たに始まる。まるでサークル軌道を巡るように。まぁ、同じ1年なんてないんだけどね。毎年毎年、なんだかんだと改定されるし、教育現場は世論に敏感だし……おっとっと、変に暗くなりそうだった。
もっと楽しいことを考えよう。例えば、新学期のこととか。1年生って、わちゃわちゃしててカワイイんだよな。アニメの小さな黄色いオバケみたいな子たちを思い出させる。
国語も算数も、いっぱい勉強しようね。先生、頑張るからね。
終わって、始まる。行事遂行にテスト採点。
1年生のテストに初マルを付ける、そんな日がやってくる。
テーマ; 終わり、また初まる、
→短編・星がほしいかい?
笑ってるね。面白かった? でも、ダジャレじゃないよ。本気で訊いてるんだ。
そういえば、君はそれを夢と呼んでいたね。そして君は夢の実現に突き進んでるんだよね。
じゃあ、僕の質問の答えは決まってるって? まぁ、そう焦らないで。
「夢に向かって進む」と「星を掴む」は同じことなのかな? 僕には、「居場所を得る」のと「成功をホールドする」のとでは、大きく異なるように思うよ。
君がバレエでエトワールになろうと熱心に励んでいる。君は才能も容姿も(バレエには必要な才能だね)、たゆまぬ努力心も兼ね備えている。素晴らしいよ。
君の夢が叶うところまで、あと一歩というところだろう。
だから尋ねたんだ。
君の「星」は、手にすれば火傷するような熱を君に与えるだろうから。あの星は、多くの憧憬や嫉妬が永久機関となって燃え続けている。常に強烈な熱を発している。
初めは耐えられることも、日常となれば状況は変わる。君の代わりに優しい顔で「星」を貰い受けようとする人もいるかもしれない。君の手が、熱に耐えられなくなるかもしれない。もしくは君自身が星に焼き散らされるかもしれない。
それでも君は星が欲しいかい?
あぁ、もう笑わないね。
そう、わかった。
君の瞳に映る星の色がいつまでも変わりませんように。
僕はずっと君を応援してるよ。
テーマ; 星
→短編・転ばぬ先の……
――こんな話を聞いたことがありませんか?
「助けた狐が恩返しに願いを一つ叶えてくれた」とか「落ちていた数字入りのボールを7つ集めたら、龍が出てきて願いを言うよう迫られた」とか……。
複雑に世界線が交差する現代、あなたの身にもふりかかるかもしれない幸運。
もちろん、一番満足度の高い願いを叶えたいですよね?
しかし、咄嗟に願いを思いつくことができるでしょうか? あれやこれやが頭をめぐりその結果……、なんてこともあるやもしれません。
後から「しまった」と後悔するようでは、元も子もないですよね。せっかくの機会を不意にしないよう常日頃から備えておくのは、コストパフォーマンスを重視する現代人のたしなみともいえます。
そんな貴方にオススメしたいのが、不測の幸運に対処するまったく新しい保険「守株待兎」!
弊社独自のメソッドで最大の効果をバックアップいたしております。
有事の際にはお客様専任のスタッフと365日24時間いつでもご相談が可能!
さぁ! 幸運をもれなく隙なく貴方の手に!!――
「なにこれ?」
「保険会社の新商品! すごくない? これがあればもしもの時も安心だよ」
「……あ~、うん」
テーマ; 願いが一つ叶うならば
→短編・寝落ち
「嗚呼!」と絶望とも驚きともつかぬ吐息が貴方の口端に燻る。
感傷的な衝撃に打たれ、身体を震わせた貴方の手から硝子の骰子が滑り落ち、ヘリンボーンの床に派手な音をばら撒いた。骰子に閉じ込められた数字以上の破片が、あらゆる隙間に溶け込んでゆく。
時空を超えて、闇夜に紛れ、朝日に煌めき、私たちにその存在を刻みつけるのだ。
昨日も、そのまま前日も、そのまたさらに前日も、私たちは同じ衝撃を繰り返し、そこから逃れることを知らず、また望まず、永遠の輪を巡る。
幾度となく同じ夜が過ぎ、毎夜繰り返される貴方と私の悲劇的な輪舞は、不可侵の―――………zzz
嗚呼! また同じところで寝落ちしてしまったよぉ! この小説と相性悪いなぁ。ここのシーン、話が進まなくてつまんないんだよなぁ……。
テーマ; 嗚呼
→短文・え〜っ、私のオススメのお店ですかぁ〜? すっごく美味しい中華?のお店なんですけどぉ、興味ありますぅ? あっ、めっちゃ期待した目で頷きますねぇ、ハハハ。ん~~、悩むなぁ。いやぁ、お店を紹介したいんですけどぉ……、独占欲?ヒトに教えたくないって言うかぁ、ホラ、sns とかでバズっちゃったら、なんかヤじゃないですかぁ。私の隠れ家でいてほしいっていう、ファン心理?みたいな。あっ、とりあえずそこの居酒屋行きません? チェーン店ですけど、そこそこ美味しいし。ね?
(・-・ꐦ)イラッ
テーマ; 秘密の場所