一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→短編・星がほしいかい?

笑ってるね。面白かった? でも、ダジャレじゃないよ。本気で訊いてるんだ。

そういえば、君はそれを夢と呼んでいたね。そして君は夢の実現に突き進んでるんだよね。
じゃあ、僕の質問の答えは決まってるって? まぁ、そう焦らないで。

「夢に向かって進む」と「星を掴む」は同じことなのかな? 僕には、「居場所を得る」のと「成功をホールドする」のとでは、大きく異なるように思うよ。

君がバレエでエトワールになろうと熱心に励んでいる。君は才能も容姿も(バレエには必要な才能だね)、たゆまぬ努力心も兼ね備えている。素晴らしいよ。
君の夢が叶うところまで、あと一歩というところだろう。
だから尋ねたんだ。

君の「星」は、手にすれば火傷するような熱を君に与えるだろうから。あの星は、多くの憧憬や嫉妬が永久機関となって燃え続けている。常に強烈な熱を発している。
初めは耐えられることも、日常となれば状況は変わる。君の代わりに優しい顔で「星」を貰い受けようとする人もいるかもしれない。君の手が、熱に耐えられなくなるかもしれない。もしくは君自身が星に焼き散らされるかもしれない。

それでも君は星が欲しいかい?
あぁ、もう笑わないね。

そう、わかった。
君の瞳に映る星の色がいつまでも変わりませんように。
僕はずっと君を応援してるよ。


テーマ; 星

3/12/2025, 1:53:10 AM