しらない。
おぼえてない。
わからない。
なんでもない。
私に理由を求めないで。
何でもかんでもストーリーを作らないで。
『涙の理由』
枕元から声がまだ聞こえる。
日付が変わって、時計の針もまた一周しかけたところ、
私は今まで無視していた眠気と対面してしまった。
会話を続ける。
声は返ってこない。
針は一周して、また重なったころ、
私が会話と思っていたものは、
私の頭の中だけであって、
声にならない質問が頭を流れていたことに気づく。
そして眠気に私は降参する。
『時計の針が重なって』
後で書きます…
『答えは、まだ』
最初は誰もいない教室だった。
朝遅刻してきて、慌てて教室に向かったら、
1時限目が体育だった、みたいな。
そんなものがとてもこわかった。
ひとりで、くらくて、さびしかった。
次はパイプ椅子が並べられた体育館だった。
椅子を並べる手伝いをしに呼ばれたら、
もうすでに終わってみんな帰ったあと、みたいな。
そんなものがとてもきらいだった。
ひとりで、ひろくて、あかるかった。
最後は何もない四角い部屋だった。
初めて入るビルの、
屋上から一つ下の階、みたいな。
こわかった。
どれもこわかった。
信じてくれない悪夢だ。
誰も見てくれない悪夢を私は見てる。
『誰もいない教室』
路側帯を歩くことを余儀なくされる。
そのくせこの道は交通量が多い。
飛び出したい。
そのためではないが、僕は右側を歩く。
歩行者の右側通行って、
僕みたいなやつしか守っていないのではなかろうか。
飛び出したい。
でも、僕は不幸なわけではない。
ただの衝動だ。
幸せな僕の自分勝手だ。
しばらく歩くと、
少し道路が広くなって、歩道を歩けるようになる。
この縁石を飛び越えていきたい衝動にかられる。
僕の視線は回るタイヤにのみ向かう。
タイヤがはっきり見える。
信号が赤になった。
この期に及んで交通法規に従う自分が嫌になる。
青になったら進もう。
飛び出したい気持ちを抑える。
『信号』