路側帯を歩くことを余儀なくされる。
そのくせこの道は交通量が多い。
飛び出したい。
そのためではないが、僕は右側を歩く。
歩行者の右側通行って、
僕みたいなやつしか守っていないのではなかろうか。
飛び出したい。
でも、僕は不幸なわけではない。
ただの衝動だ。
幸せな僕の自分勝手だ。
しばらく歩くと、
少し道路が広くなって、歩道を歩けるようになる。
この縁石を飛び越えていきたい衝動にかられる。
僕の視線は回るタイヤにのみ向かう。
タイヤがはっきり見える。
信号が赤になった。
この期に及んで交通法規に従う自分が嫌になる。
青になったら進もう。
飛び出したい気持ちを抑える。
『信号』
9/7/2025, 8:42:56 AM