最初は誰もいない教室だった。
朝遅刻してきて、慌てて教室に向かったら、
1時限目が体育だった、みたいな。
そんなものがとてもこわかった。
ひとりで、くらくて、さびしかった。
次はパイプ椅子が並べられた体育館だった。
椅子を並べる手伝いをしに呼ばれたら、
もうすでに終わってみんな帰ったあと、みたいな。
そんなものがとてもきらいだった。
ひとりで、ひろくて、あかるかった。
最後は何もない四角い部屋だった。
初めて入るビルの、
屋上から一つ下の階、みたいな。
こわかった。
どれもこわかった。
信じてくれない悪夢だ。
誰も見てくれない悪夢を私は見てる。
『誰もいない教室』
9/7/2025, 8:43:27 AM