芝草

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12/4/2023, 12:03:22 PM

『夢と現実』


ある夜、私は夢を見た。
そこでは、私はお姫様。

豪華なドレスに身を包み
宝石みたいなケーキを食べる。

お城のみんなは私にお辞儀し、
「姫は今日もお美しい」と言ってるの。

そして、朝がやってきて
私は夢から目覚めたの。

そこでは、私はただの少女。

お姉ちゃんのお下がりの制服に身を包み
いつもと同じ、豆腐の味噌汁をすする。

母さんは笑いながら
「まだ寝癖がついてるよ」と、櫛を差し出すの。

夢の私も良いけれど
こうして家族とご飯を食べてる私だって悪くない。

そんなふうに思える私のことが、私は結構好きなのだ。

12/3/2023, 12:01:52 PM

『さよならは言わないで』



さよならは言わないで欲しかった。
まだ、出会って間もないというのに。

アタシはガックリとうつむいていた。
ランチタイムの公園の地面は、昨日の大雨で、すっかりぬかるんでいる。

「いやぁ、……それはもう無理でしょ」
公園のベンチに並んで座る友人が、気の毒そうにアタシに言う。
「残念だけどさ……仕方ないよ。それはバイバイしよう」

友人の言葉に、アタシがキュッと唇を噛んだ。

と、その時。
未練がましく、アタシのお腹がぐうぅっと鳴った。

友人は「ほら、私のを半分あげるから」と、それを差し出した。
「熱いから気をつけなよ。もう落とさないようにね」

小さくお礼を言うアタシの足元には、水たまりに浸かった大きな肉まんがプカリと浮いていた。

12/2/2023, 12:14:12 PM

『光の闇の狭間で』



本当はいけないことだって、わかっているの。
もう、良い子はベッドで夢を見てる時間だもの。

でも、わたし、見ちゃったの。
母さんが「小学生は寝る時間よ」って言いながら、わたしを寝室に追いやった後のことよ。

わたしは、真っ暗闇の寝室を背に、まぶしい光が漏れ出ている戸の狭間をそおっと覗いたの。

目に飛び込んできたのは、明るいリビング。
そのテーブルの上にあるのはーー。
間違いない。夕飯前に冷蔵庫で見つけた、アレだわ! 2つしか無かったから、おかしいと思ってたの!

「ズルい!」
思わず叫んだわたしの声に、リビングにいた父さんと母さんがビクッと飛び上がった。
「わたしも食べたいよ! そのプリン!」

8/18/2023, 11:43:41 AM

『鏡』


もしも、おとぎ話のように僕が喋れたら
毎朝顔を合わせるお嬢さんに教えてあげたい。

毎朝、毎朝、僕の前で
「今日も寝癖が直らない」ってイラついたり、
「制服のネクタイの流行りの締め方がわからない」って頭を抱えたり、
「またニキビができちゃった」って嘆いたりしてるけどね。

僕は思うんだよ。

毎朝最後に「まぁ、いっか」ってニコッて笑うその顔が
1番キレイに映っているんだよって。

7/17/2023, 3:52:29 AM

『空を見上げて心に浮かんだこと』



じっとりと背中に張り付くTシャツをバタバタさせて

耳の中を溢れてしまいそうなくらいに蝉の鳴き声で満たして

胸いっぱいに、もわりと暑く薫る空気を吸い込み

まぶしく輝く入道雲がむくむく広がる空を見て思うこと

近くにコンビニ無いかなぁ
アイスクリームが食べたいよ

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