芝草

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11/21/2024, 12:51:37 PM

『どうすればいいの?』


「どうすればいいの?」
幼い私は問いかけた。
父に、母に、先生に。
みんなそれぞれに答えをくれたけど、
どうして私は満たされないの?

「どうすればいいの?」
今、私は問いかける。
他の誰でもない、私自身に。
答えはぜんぜん出ないけど、
なぜか、私の心は穏やかだ。

自分自身に問い続けることが、
誰かから与えられる答えよりも
意味を持つ時がある。
いつからか、私はそう信じるようになった。
だから、かもしれない。

11/20/2024, 12:44:24 PM

『宝物』


昔々のお話です。

一人の旅人がいました。
旅人は、見つけた者は必ず幸せになれるという、
伝説の宝を見つけるために、
長い長い旅を続けていました。

いくつもの山を越え、谷を越え、
砂漠をわたり、森を抜けても、
宝の眠る地へは、中々たどり着けません。

「宝探しなんて大変ですね。
そんなに探しても見つからない物を、
それでもなお探すのは辛くないですか?」

旅人は、立ち寄った村の人から
そう尋ねられました。

「そうでもないよ。
最近思うんだよ。宝を探すこの日々こそが、
私の宝物かもしれない、とね。
君と出会ってこうして語らう今日もまた、
私の宝物になるだろうね」

旅人は微笑みながらそう言い残して、
村を去りました。

旅人は宝を見つけたかどうか、
その村人には分かりませんでした。

でも、旅人は幸せになれたかどうかは、
村人はわかったような気がしたのでした。


おしまい。

11/17/2024, 10:52:35 AM

『冬になったら』


冬になったら、雪が降るといいのにな。

お砂糖みたいな真っ白い粉雪が
ちょっぴりだけ降ったら

退屈な私の町だって、
ケーキのように、かわいくなれるかもしれないから。


冬になったら、北風が吹くといいのにな。

いたずら小僧みたいな北風が
並んで歩く私たちを、一撫でしたら

「見てるこっちが寒いから」って言い訳しながら、
彼に私のマフラーを巻いてあげることが、
できるかもしれないから。

11/14/2024, 12:31:52 PM

『秋風』

秋の風は寂しんぼ。
たぶん、1人で街を吹き抜けるのがイヤなのよ。
だって、あんなに綺麗に色づいた
赤や黄色の木の葉を連れていっちゃうから。

秋の風は寂しんぼ。
たぶん、その寂しんぼが私にうつったみたい。
だって、ちょっと風に頬を撫でられただけで、
あの人に会いたくなっちゃったから。


11/2/2024, 12:18:31 PM

『眠りにつく前に』


どうせなら、
やさしい言葉を残しておきたいの。

明日も私が
私を好きでいられるように。

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