言葉にできない
胸の奥で
そっと灯るものがある。
触れれば消えてしまいそうで、
離れれば遠ざかってしまいそうで、
ただ、そこに在るだけの気配。
名前もなく、
形もなく、
声にすれば崩れてしまうから、
私は黙ったまま抱きしめている。
夜の深さに似た静けさと、
春の風のようなあたたかさが
同時に息をしている場所で、
言葉にならないものだけが
いちばん確かに
私を動かしている。
眞白あげは
春爛漫
ひらひらと
風にほどける花びらが
道の上に、そっと光を落とす。
淡い桃色は
誰の心にも触れずに
ただ、季節の呼吸だけを映している。
足もとに積もる花影は
過ぎていく時間のやわらかな証で、
触れれば消えてしまう儚さを
そっと抱きしめているよう。
空を見上げれば
枝先は満ち、
もうこれ以上咲けないほどに
春があふれていた。
その真ん中で
胸の奥の小さな願いが
ひとつ、またひとつ
静かに芽を出していく。
春爛漫。
世界が微笑むようにひらけて、
心の奥のまだ名もない想いまで
そっと照らしてくれる季節。
眞白あげは
誰よりも、ずっと
誰よりも、ずっと
あなたの影を見つめてきた。
光の中でも
曇り空の下でも
変わらずそこにある輪郭を。
触れられない距離のまま
それでも離れなかったのは
名前より先に
心が覚えてしまったから。
季節がいくつ巡っても
思い出が薄れていく日が来ても
ひとつだけ
揺らがないものがある。
誰よりも、ずっと
あなたを想っていた時間が
私の中で
静かに息をしている。
眞白あげは
今日の心模様
今日は
胸の奥に 薄い雲がかかって
その向こうで
小さな光が ゆっくり瞬いている。
晴れきるでもなく
雨に沈むでもなく
ただ
静かに揺れているような
そんな心模様。
言葉にすれば壊れてしまいそうで
けれど
そっと見つめれば
確かにそこにある温度。
今日の私は
この曖昧さごと抱きしめて
夜の風に
そっと預けてみる。
眞白あげは
沈む夕日
赤く滲んだ空の端で
今日という日がそっと息をひそめる。
言葉にしなかった想いだけが
光の名残をまとって揺れていた。
帰り道の影は長く伸び
触れれば崩れそうなほど脆くて、
それでも確かに、ここにある。
沈んでいく太陽は
終わりではなく、静かな約束。
また明日、違う色で
私を照らすための。
眞白あげは