眞白あげは

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5/8/2026, 1:46:37 PM

一年前

あの日の風は
まだ指先に残っている
少しだけ冷たくて
少しだけ優しかった

思い返せば
あの頃の私は
今よりも少し幼く
今よりも少し迷っていた

けれど
胸の奥で灯った小さな光だけは
消えずに
今日まで連れてきた

一年前の私が
そっと背中を押してくれる
「ここまで来たね」と
静かに微笑みながら

そして私は
あの日より少しだけ強く
あの日より少しだけ穏やかに
新しい季節を歩いている



眞白あげは

5/7/2026, 1:42:43 PM

初恋の日

風のない午後
校庭の隅で
そっと名前を呼んだだけで
世界がひとつ揺れた

指先よりも
心のほうが先に震えて
言葉はまだ幼いのに
想いだけが大人びていた

帰り道
夕焼けがやけに優しくて
影がふたり分に見えたのは
きっと気のせいじゃない

あの日の鼓動は
今も胸の奥で
小さな灯りのように
消えずに息をしている


眞白あげは

5/6/2026, 10:57:46 AM

明日世界が終わるなら……

明日、世界が終わるのなら
今日という一日を
そっと両手で包み込み
落とさぬように歩いていく

風の音は
いつもより静かで
どこか懐かしい
遠い記憶を撫でていく

誰にも言わないまま
胸の奥にしまっていた言葉が
ふと、あたたかく息をする
「生きてきてよかった」と

涙は流さない
悲しみよりも
この世界の美しさを
最後まで見届けたいから

夕暮れが沈む瞬間
空の色がゆっくりと変わる
その移ろいを
心に刻むように見つめて

そして
終わりが訪れるそのとき
静かに目を閉じて思う
「どうか、この一瞬が
 永遠でありますように」


眞白あげは

5/5/2026, 10:35:30 PM

君と出会って、

君と出会って、
世界はひとつ深呼吸を覚えた。

朝の光が少しだけ
やわらかく差し込むようになり、
見慣れた景色の輪郭が
そっと色づきはじめた。

君の声を聞くたびに、
胸の奥で小さな灯りがともる。
それは急がず、騒がず、
ただ静かに私を照らす光。

君と出会って、
「ひとりで大丈夫」と言い聞かせていた日々が
少しずつほどけていった。
強がりの隙間に、
あたたかい風が吹き込んだ。

もしあの日、
君とすれ違ったままだったらと思うと、
少しだけ怖くなる。
だって今の私は、
君と出会った私だから。

君と出会って、
世界は前より少し優しくなった。
そして私もまた、
前より少し優しくなれた気がする。


眞白あげは

5/4/2026, 11:58:47 AM

耳を澄ますと

耳を澄ますと
世界は そっと
本当の声を思い出す

風が触れた葉の震え
遠くで揺れる誰かの足音
夜の底で 水がひとつ
静かに落ちる気配

言葉ではない
けれど確かに
胸の奥に届いてくるものがある

耳を澄ますと
沈黙さえも
やさしい光のように
こちらを包んでくれる

そして気づく
何もしていない時間ほど
いちばん豊かに
心が息をしていることに


眞白あげは

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