桜散る
ひらり
音もなく落ちる花びらは
誰にも触れられず
ただ、自分の行き先だけを知っている
風に逆らわず
流されるままに
それでも美しく
最後まで、淡く光る
足もとに積もる薄紅は
別れの色ではなく
静かに続いていく季節の
やわらかな余韻
散ることは
終わりではなく
そっと形を変えて
次の春へと息をつなぐ
眞白あげは
夢見る心
夢見る心は
夜明け前の空に
ひっそりとかかる
一筋の光。
まだ形のない願いでも
胸の奥でそっと息をして
消えずに
あたたかく
未来を照らしている。
誰にも言えない想いも
昨日の痛みも
その光の前では
静かにほどけていき
「もう一度、歩けるよ」と
小さな声で
背中を押してくれる。
夢見る心は
弱さではなく
まだ見ぬ景色を
信じ続ける強さ。
今日もまた
その光を抱いて
私は静かに
前へ進んでいく。
眞白あげは
届かぬ想い
指先からこぼれ落ちる
名もない祈りのように
あなたへの言葉は
いつも空へと消えていく
呼べば届く距離なら
どれほど楽だったろう
けれど 声にした途端
壊れてしまいそうで
胸の奥でそっと抱きしめたまま
夕暮れの色が滲むたび
あなたの影だけが
やさしく 遠く 揺れている
触れられないからこそ
こんなにも愛おしい
届かないからこそ
こんなにも強く願ってしまう
もしも
この想いが風に乗る日が来るなら
どうか
あなたの心を傷つけず
ただ静かに
そばを通り過ぎていきますように
眞白あげは
神様へ
見えない誰かへ
そっと手紙を書くように
胸の奥で言葉が灯る。
「どうか」でも
「お願いします」でもなく
ただ、静かに息を整えて
今日という一日を差し出す。
涙の理由を
うまく言えない日もある。
それでも、
空の向こうで聞いてくれる存在が
どこかにいると信じられたら
少しだけ歩きやすくなる。
神様。
私は強くありません。
でも、弱さを抱えたまま
前へ進むことならできます。
どうか、
明日の私が
今日より少しだけ
やさしくありますように。
それだけでいい。
それだけを
あなたに預けます。
眞白あげは
遠くの空へ
遠くの空へ
まだ名もない願いが
ひとすじの風となって流れていく。
触れられないはずの青さが
なぜだか胸の奥をあたためて、
歩き出す理由を
そっと思い出させてくれる。
昨日までの私は
小さな影の中で
迷いを抱えたまま立ち止まっていた。
けれど、ふと見上げた空の向こうに
かすかな光が揺れていて、
その揺らぎが
「まだ終わりじゃない」と囁いた。
遠くの空へ
手を伸ばすたび、
届かない距離が
逆に私を強くしていく。
届かないからこそ、
歩き続ける理由になる。
風にほどけた髪が揺れ、
胸の奥の痛みが
少しだけ軽くなる。
あの日の涙も、
あの時の悔しさも、
すべてが私の背中を押す力に変わっていく。
遠くの空へ
まだ見ぬ私がいる気がして、
その姿を追いかけるように
今日も一歩を踏み出す。
たとえ誰にも気づかれなくても、
たとえ道が細くても、
たとえ心が揺れても、
空だけはいつも
私の歩みを見守ってくれる。
夕暮れの赤に染まる雲が
静かに沈んでいくころ、
私はそっと目を閉じて
明日の光を思い描く。
遠くの空へ
願いはまだ旅の途中。
けれど、確かに進んでいる。
昨日よりも、
少しだけ遠くへ。
少しだけ強く。
そしていつか、
あの青さの向こう側で
微笑む私に出会える日を信じて、
今日もまた
遠くの空へ歩き出す。
眞白あげは