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ひなまつり

桃の香の
やわらぐ宵に
小さき灯りが
ひとつ、またひとつ
紙の肌を透かして揺れる。

段に並ぶひとびとは
遠い昔の息づかいを
そっと抱えたまま
微笑みをたたえ
春を待っている。

手を合わせるでもなく
祈るでもなく
ただ、静かに見つめるだけで
心の底に
あたたかな水脈がひらく。

春はまだ
戸口の向こうに立つばかり。
けれど、灯りの中で
わたしは少しだけ
やさしくなれる。



眞白あげは

3/3/2026, 1:26:44 PM