溢れる気持ち
胸の奥で
言葉になりきれない光が
ふいに揺れた
触れればこぼれ落ちてしまいそうで
けれど
抱えたままでは
息が詰まりそうで
静かにしているほど
波は高くなる
黙っているほど
色は濃くなる
ああ
これはもう
隠しきれない
名前をつけられないまま
ただ
あふれて
あふれて
世界の端まで届こうとしている
それでも私は
そっと手を添える
こぼれた光が
どこへ向かうのか
見届けるために
眞白あげは
kiss
触れたのは
唇よりも先に、
あなたの名前を呼ぶ
わたしの鼓動だった。
夜の温度が
ひとつ分だけ近づいて、
言葉よりも確かな
約束が生まれる。
キスは
交わすものではなく、
そっと
“重ねる”ものだと知った瞬間、
世界は静かに
ふたりの形に変わった。
眞白あげは
千年先のあなたへ
千年先も
風は名前を持たずに吹き
誰かの祈りを
そっと運んでゆくのだろう
千年先も
海は深く息をして
忘れられた涙さえ
やわらかく抱きしめるだろう
千年先も
人は誰かを想い
誰かを失い
それでも歩くのだろう
そして
千年先のあなたが
もしも孤独に震える夜があれば
この言葉が
かすかな灯りとなるように
――千年の時を越えて
あなたの心に
静かに触れる詩でありますように
眞白あげは
勿忘草
風の隙間に
そっと揺れる青のひかり
名を呼べば
返事のように震える花びら
忘れないで、と
誰よりも小さな声で
春の土に根を張り
空の色を映しながら咲いている
手のひらにのせれば
すぐにこぼれてしまうほど儚くて
それでも
心の奥では消えずに残る
別れのあとに
静かに芽吹くものがあるなら
きっとそれは
勿忘草のような
やさしい記憶なのだろう
眞白あげは
ブランコ
風の手に
そっと背中を押されて
空へゆらりと浮かび上がる
地面と空のあいだを
行ったり来たりするたびに
胸の奥の小さな不安が
ひとつずつほどけていく
遠ざかる景色は
昨日の悩みのように淡く
近づく空は
まだ知らない未来の色をしている
足を伸ばせば
もう少しだけ高く
もう少しだけ自由に
世界が揺れて見える
降りるとき
ほんの少し名残惜しいのは
あの一瞬だけ
自分が風になれた気がするから
眞白あげは