旅路の果てに
風が背を押すたびに
私は少しずつ 誰かを置いてきた
砂に埋もれた約束
雨に流れた言葉
それでも 歩みは止まらなかった
見送る背中に 言えなかった「ありがとう」
振り返るたび 胸に残る「ごめんね」
旅路の果てに 何があるのか
誰も知らないまま それでも進む
地図のない道を選んだのは
誰かのためじゃなく
私自身のためだった
そして今
ひとりで立つこの場所に
静かな誇りが そっと芽吹いている
眞白あげは
あなたに届けたい
あなたに届けたい
言葉になる前の
胸の奥のあたたかさを
朝の光に溶けていく不安も
夜の静けさに沈む願いも
ひとつ残らず拾いあげて
そっと手のひらにのせたい
強くなくていい
完璧じゃなくていい
ただ、あなたがあなたでいることを
まっすぐ抱きしめられるように
この声が
あなたの明日を少しでも照らせるなら
それだけで
私は十分に幸せだ
眞白あげは
街へ
街へ向かう
まだ夜の名残をひきずった空気のなか
信号の青が
ひとり歩く私を
そっと押し出す
アスファルトに落ちた影は
昨日より少しだけ
まっすぐで
少しだけ
強がっている
開きはじめた店の灯りが
胸の奥の不安を
ひとつずつ拾い上げて
温めてくれるようで
私は今日も
街へ向かう
誰かの声に触れるため
誰にも触れられない私を
確かめるため
街はいつも
私の知らない顔をして
それでも
私を迎え入れてくれる
だから私は
また歩き出す
街へ
まだ見ぬ私へ
眞白あげは
優しさ
ひとさし指でそっと押す
閉まりかけたドアの隙間
誰かのために開けておく
それだけで、風が通る
言葉にしない気づかいは
空気のように見えないけれど
呼吸のたびに沁みてくる
心の奥に、静かに灯る
優しさは、強さじゃない
でも、折れない
優しさは、光じゃない
でも、照らす
誰かの涙に触れたとき
自分の手が、あたたかいと知る
それだけで、世界は
少しだけ、やさしくなる
眞白あげは
ミッドナイト
真夜中は
世界がそっと息をひそめ
時計の針だけが
静かに時を削ってゆく
闇の底で
ひとつだけ灯る思いが
胸の奥を
淡く照らし返す
眠れぬ夜に
耳を澄ませば
遠くで揺れる
未来の気配
ミッドナイト
誰にも見えない場所で
わたしは今日の続きを
そっと抱きしめている
眞白あげは