終電、電車の音が響きつづける。
ちょうど眠りに落ちようとしたころ駅に着き、
いつものように電車から降りる。
もう慣れた道を通り抜け、帰宅した。
眠ろうと寝室に入る。
横になっても眠れない。
まるで心残りがあるように。
空白の日常、空白の心。
美しい桜。
桜が舞っていた。
台風がとおり、花びらを連れていく。
濁りのない空は、みずたまりを照らす。
木陰から見上げれば青一色、薄紅のない空。
台風は春を連れ去った。
うるさいセミの声。
一匹のスズメが誰とも仲間になれなくて独りになった。群れはすでに過ぎ去った。
仲間の温もりのない夜、スズメは道端で凍えていた。スズメは仲間同士寄り添って暖を取るのだ。
呆然と美しい星々を見つめる。そこで二つの黄色い光が見えた。ネコの瞳である。ネコはスズメの天敵だ。ネコの視線はは独りの鳥に注がれていた。
スズメに飛ぶ体力はもうない。だがネコ、いや野良ネコも飛びつく体力はない。ネコは捨てられからずっと何も口にしていない。
早朝、スズメとネコ、共に温もりを失った。
美しい夜の空に星明り存在しなかった。深夜の信号機に照らされて、交差点を渡る。辺りに人はいない。
ビルに寄りかかり、私の口に含んだタバコの煙が空を舞う。信号機の明かりは赤く光っていた。
癒やしは夜の街にはなかった。酒飲んで寝る。酒は私にとって娯楽ではなく、気を紛らわせるものだ。タバコもそうだ。
決して綺麗とは言えない信号機の光源が星の代わりとなり夜空を飾る。変わり映えしない景色が少し鮮やかになった。
言い出せなかった「 」は僕の中で溶けていく。それは僕にとって最大の後悔となった。
後悔は夕暮れになっても消えず、セミの声がうるさい。カラスの「カー」という、つぶやきも耳障りで仕方なかった。
あれから何年もたった。
「 」なんてどうでもいいではないか。だって「 」の中身はもう忘れたのだ。後悔が原型を留めなくとも、理由や償えるものがなくとも、「 」という枠組みだけがのかされていた。
そして「僕」はそこに囚われた。