愛染

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6/12/2025, 3:09:16 PM

I love

きっと、甘いのでしょう
きっと、恋しくてたまらないのでしょう

溺れてしまいそうなほどの愛情と
ほんの少しのいじらしさを込めて
ずっと注ぎ続けるのでしょう

ひとくち、またひとくちと
誰かの愛を艶やかに舐めとるのは
それはもう幸せなことでしょう

目が眩んでしまいそうね
虜になってしまうわね
ほらほら、たんとお食べなさい

ぽぽぽと色付くまんまるほっぺに
熟れた果実の小さなお口に
ずっと夢中なままなのでしょう

あなたをことこと見つめるうちに
私のよくばりが甘く煮詰まって
あなたを食べたくなるのでしょう

愛に飢えた獣のように
甘美に酔いしれるなんて
性に合わないのでしょう

それでも、食べてしまいたいわ
飲み干してしまいたいわ
溶かしてしまいたいわ

6/8/2025, 2:54:50 PM

君と歩いた道

隣を歩いて良いのかわからないから
少し後ろを歩いてみるの

もうすこし、あとすこし
1歩先のあなたに追いつけない
手を伸ばしたら届くのに
小さな背中に怖気付く

おいていかないで、ふりむいて
てをとって、つれていって
私の手は
私の腕は
あなたをずっと待っているのに

私を置いて消えるあなたが
ちょぴり寂しいなんて言うのね
私を気にしていないようなあなたが
来るのが遅いって頬を膨らますのね

あぁなんて罪深い人かしら
わたし、あなたがわからないわ

あなたの背中ばかりを見ていて
何も楽しくないというのに
何かを期待させるあなたは
愛らしくて憎たらしい

わたし、あなたを嫌いになりそう

6/1/2025, 3:50:53 PM

雨上がり

私が見据えた空は
泣いていた

無我夢中で飛び込み
空よ空よと共鳴す
ぼろぼろと溢れ出したそれは
次第にうごめく雷(いかずち)となりて
思考を溶かし、刃となる

おもいのままに我を忘れ
叫び全てを燃やせばいい
空の涙に消されるほどの
ちっぽけな熱など流されてしまえ

涙を拭っただけのまばらな
光に喧嘩をふっかけた

細くも強かな燦々たる光は
ただ一点に降り注ぎ
私の大きな不安を曝け出し
私の小さな背を照らした

隠れられるのならしてみろと
言わんばかりの空を睨み
燃やし続けた中心を
その空へと掲げて見せた







1/7/2025, 12:48:43 PM

追い風

大きく手を広げ
瞳を閉じ
背中に翼があると信じ
瞳を開ける

大きく息を吐いて
髪を風に揺らし
すっと空に魅入られる

遠く果てしなく眩しいあの空が
欲しくて欲しくてたまらなかった

さぁ、飛べ

背中を押し上げる風に
身を任せ
空よ空よと
手を伸ばす

誰のものでもない空を
渇望するなど傲慢か
誰もの希望の光の空を
独り泳ぐのは無謀であるか

されど風は考えなしに
高く高く押し上げてゆく
どんどんどんどん
上がれよ上がれ

もう視界は青いというのに
もう世界は丸いというのに

空を掴めず空(くう)を切るこの手を
どう憎めば良いだろう


12/3/2024, 1:39:33 PM

さよならは言わないで

美しく濁った過去の世界を
強くて脆かった己の心臓を
溺れて求めた貴方の瞳を
掴んで囚われる思考の幻想を

何もかも忘れたいと
何度も切に願ったけれど

暗く透き通る未来の世界が
砕かれてなお輝く心臓が
もう少しと手を伸ばす君が
自由で無限の物語が

さよならなんて嫌だと叫び
子供のようにくっついて

色を深くに染み込ませては
戻れないことを告げるから

あぁ、お願いだから消えてくれよ


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