「うわぁ〜!!!!!ねぇ!綺麗だよ○○!!」
「笑笑、ホントだね〜」
夕日が綺麗と有名なインスタ映えスポット。付き合って1年目、ここ行きたいね〜って話してて、予定を何とか空けて来た場所。
彼女がこんなに喜んでくれると、予定を立てた俺も頑張った甲斐があったなぁと思わせられる。
「ねぇ、○○....。この夕日も今はこんなに綺麗なのに、もうすぐで沈んじゃうんだよね、?....私、すっごく悲しい。」
彼女が俺の手をぎゅっと強く握って呟いた。横髪が彼女の顔を隠す。
いや、見なくてもわかる。きっと彼女は悲しい顔をしているに違いない。
夕日が沈みかける。
さっきまで凄かった人混みもだんだんと減ってきて、カップル、俺たちを合わせて3組ほどだ。
夕日が沈む。
彼女はしんみりした雰囲気を纏う。
「ねぇ、△△ちゃん。夕日沈んじゃったね、。」
「.....うん、そうだねえ。」
「ねぇ、△△。怖い、?」
「....うん、ちょっと。」
彼女を抱きしめる。
彼女の華奢さが俺の守りたいという気持ちをより一層強くさせる。
「夕日沈んじゃったけど、俺がいるから、これからも。だから、結婚、しよ?」
夕日が沈んだら......。💍
俺が君の目を見つめると顔を真っ赤に染めて目を潤ませる。そして、ふぅぅと震えた息がゆっくりと吐き出される。
不安や恐怖。彼からじわじわと滲み出ているものですぐに分かった。
ジャラジャラと鎖と鎖が当たる金属音が、薄暗い部屋に大きすぎるほど響く。
監禁ネタ、注意......
「ん笑、ねぇ.....○○くん、...。怖がらないで....?」
「、ッッ.......。ふぅぅぅぅ.........。」
低くてどこか硬い声で話しかける。
そうすると彼の顔から冷や汗がポロポロと溢れてくる。学校指定のワイシャツは汗でびっしょりと濡れていて、服の色が濃く染る。
𓏸𓏸くんは俺が椅子から立ち上がった瞬間、息をすっと止めて、少し力んだようにも見えた。
「笑笑......。𓏸𓏸くんがさぁ、俺の言うことしっかり聞いて大人しくしてれば殴ったりもしないし、君を気づつけることもないんだよ、?笑」
「っ、ぁ...泣、ごめんなさいツ........泣」
△△が○○の前髪を引っ掴む。おでこや頬っぺには若井に殴られたであろうたんこぶが、痛々しい程に腫れ上がっている。
...........美しい。これは全部、俺のものって主張するための跡付けである。
「あ、www...そういえばさぁ。𓏸𓏸くん、昨日から何も食べてないよねぇ?ご飯の時間にしよっか!」
「ッァ......」
「.......ほらぁ、こんなにげっそりしちゃって....。今日こそちゃんと食べなきゃ....."お仕置だよ”、?笑」
○○くんの頬に俺の手を添えてあげる。
あぁあ〜....せっかくぷくぷくしてて美味しそうだったのに...。結構痩せちゃったなぁー食わせないと。
ジャラジャラ.....
あ、手首の鎖....。
手首には漆黒で硬い鎖が部屋の鉄格子に繋がっている。
ここは動物園の檻の中に似てるような部屋。
ま、彼が逃げないと限らないし、まだつけっぱなしかな。
「はい。お水とご飯召し上がれ。」
「ハゥッ泣.....ヒグッ泣」
出されたのはペット用のボウルに入った水と、シチュー...のようなご飯。
「......これっ、何、?ッ..........」
「いいから。全部食べて、?」
「ッッ.....お腹すいて、ない.....。」
「だぁめ、完食しないとお仕置だよ。?」
ッッッ......。
また△△が○○の目を見つめる。
「ッッ.....わか、った.....。」
これで彼は俺の言うことを聞く。
先生と昔見た天の川は今でも鮮明に僕の頭の中に映ってて。
先生と話した星の話は今でも僕の脳内に繰り返し流れてて。
あの時、先生と交わした約束もまだ忘れられなくて。
20𓏸𓏸年、5歳の僕は△△先生と星を見た。
深夜2時。真っ暗な部屋にスタンドライトの明かりだけが灯る。その横には比較的シックなデザインであるデスクに頂垂れて座っている男性。
艶のいい黒髪。
長髪、とまではいかないが、全体的に長く、特に襟足が伸びているのが特徴的。
いわゆる、"ウルフカット”である。
デスクにはPCの他に、紙やら鉛筆やらがデスクの底を見えなくするくらい乱雑し、散らかっていた。
「はあ...........」
この家には誰もいないのであろう
物音ひとつもせず、彼の重く深いため息だけが部屋中に響いた。
僕はミュージシャンという職業柄、曲作りをしていて、今は制作の佳境に入っている。
「もう、時間もないのに.....全然いいフレーズが浮かはない.......。」
デモの提出期限は明明後日の午前9時。
今日で僕がデモの仕上げまで作らないと恐らく間に合わないであろう。
この後、2人にはできあがった音源を元に、曲のアレンジを考えてもらわないといけないからだ。
ふと、目の前のスマホが気になって画面を開くと、インスタや公式LINEの通知がどっさり溜まっていた。
その中に、
「あ、え、あっ......」
𓏸𓏸から着信とLINEが5件ほど入っていた。
どうやらこの通知が来たのは2日前のようだった。
💬『大丈夫、?無理しすぎないでね。 』
「あっ.......。」
僕の中に溜まっていたいろんな感情がこの𓏸𓏸からのLINEで少し軽くなった気がして、
気がついたら涙が止まらなかった。
涙を拭きながら𓏸𓏸に電話をかけるとすぐに出てくれた。
📞...あ、うん、大丈夫。
📞...LINE、ありがとう、うん、
📞...うん
📞...僕、頑張ってるよね、?
📞...えへへ笑、、じゃぁ、今日は一つだけわがまま言っていい、?
一つだけ、一つだけでいい、
僕にご褒美を、ちょうだい、?
「はぁ、今日も疲れた...」
社会人になって4年目。朝の5時、プラットホームから電車に乗り、商談やらなんやらで残業。誰もいない電車で帰る。
いわゆる、俺の職場は"ブラック"だ。
今日も書類に誤記があって上司に罵声を浴びせられた。
まぁ仕方がないだろう。
後輩がした失態は先輩が庇わなければならない、そんな理不尽で矛盾している社会のマナーだ。
真っ暗な道をヨボヨボと歩く。どうやら、乱れた自分のネクタイを直す気力もない程、疲弊しているようだ。
家の近くのコンビニに寄り、ビールとサンドウィッチを買って帰る。
社会人になって初の就職場所が入社して1年で倒産。
そこからこの会社の社員になって信じられない程、生活、体調、メンタルが一気に崩れた。
そして、俺の中の大切なものも壊れた。
愛して、いたよ、愛していたんだ。
「グスッ...本当に私、の事、愛してる、の、?泣」
深夜、残業を終え、帰宅すると、リビングで泣いている彼女。そして、開口一番、そう告げられた。
しんみりした空気をただただ立ちすくむしか出来なかった俺は、本当に惨めだと思った。
おそらく、深夜に帰ってくる俺が彼女を蔑ろにしていると思ったのだろう。
なんで伝わらないのかなぁ、、
ちゃんと愛してたのに、毎日、毎日、こんな夜遅くまで働いてるのに、これでも愛せていないというのだろうか。
そこから別れを切り出され、俺は大切なものを失った。
胸の奥のいちばん深いところがギュッと傷んで、何かが張り付くような感覚。
泣いて、
泣いて、
涙が枯れるくらい泣いた。
そんなとき、
「大丈夫、大丈夫。言いたいこと全部、僕にぶつけてごらん?」
俺をずっと励まし続けてくれたのが君だった。
そのおかげで俺は少しずつ立ち直って行くことが出来た。
あの時は気づかなかったけれど、この時には、芽生えてたんだ。
彼を自分のものにしたい、
独占欲
ガチャッ
「ん、お疲れ様。」
俺「あ、ただ、いま」
あの時、支えてくれた彼が家に帰ると笑顔でおかえりと、出迎えてくれて、ギュッと暖かい抱擁をくれた。
これが俺の心の充電器。
すき、だよ。
好き、大切にするよ、。
彼女にできなかった愛の続きを、
君に全部、ぜーんぶあげるよ、愛してる。
あぁ、暖かい。
愛おしい。
やっと"俺のもの"になったんだね、。
あぁ、やっと気づいた。
これが俺の"大切なもの"なんだ。