深夜2時。真っ暗な部屋にスタンドライトの明かりだけが灯る。その横には比較的シックなデザインであるデスクに頂垂れて座っている男性。
艶のいい黒髪。
長髪、とまではいかないが、全体的に長く、特に襟足が伸びているのが特徴的。
いわゆる、"ウルフカット”である。
デスクにはPCの他に、紙やら鉛筆やらがデスクの底を見えなくするくらい乱雑し、散らかっていた。
「はあ...........」
この家には誰もいないのであろう
物音ひとつもせず、彼の重く深いため息だけが部屋中に響いた。
僕はミュージシャンという職業柄、曲作りをしていて、今は制作の佳境に入っている。
「もう、時間もないのに.....全然いいフレーズが浮かはない.......。」
デモの提出期限は明明後日の午前9時。
今日で僕がデモの仕上げまで作らないと恐らく間に合わないであろう。
この後、2人にはできあがった音源を元に、曲のアレンジを考えてもらわないといけないからだ。
ふと、目の前のスマホが気になって画面を開くと、インスタや公式LINEの通知がどっさり溜まっていた。
その中に、
「あ、え、あっ......」
𓏸𓏸から着信とLINEが5件ほど入っていた。
どうやらこの通知が来たのは2日前のようだった。
💬『大丈夫、?無理しすぎないでね。 』
「あっ.......。」
僕の中に溜まっていたいろんな感情がこの𓏸𓏸からのLINEで少し軽くなった気がして、
気がついたら涙が止まらなかった。
涙を拭きながら𓏸𓏸に電話をかけるとすぐに出てくれた。
📞...あ、うん、大丈夫。
📞...LINE、ありがとう、うん、
📞...うん
📞...僕、頑張ってるよね、?
📞...えへへ笑、、じゃぁ、今日は一つだけわがまま言っていい、?
一つだけ、一つだけでいい、
僕にご褒美を、ちょうだい、?
4/3/2024, 2:50:43 PM