17.逆さま
ある日、逆さまな世界になっていた。全てが逆さま。
家も逆さま。言葉も逆さま。
みんな普通に暮らしていた。
まるで今までこれが当たり前のように。
でも僕は違和感を感じていた。
いつも通り僕は、学校に行った。いつも言われない、
「かっこいい〜!すごー!」っていう声が
聞こえてきた。すごく嬉しいと思ったが、すぐさま
逆のことを言っているんだと思い出した。
僕の憧れている好きな人が初めて声をかけてくれた。
「ずっと好きだったんだ。大好き!」って言って
僕から離れた。 僕はとても悲しくなった。
だって好きな人から好きって言われたけど
今は逆の言葉で話しているのだから
「嫌い」って言われたってことじゃないか。
次の日、僕は学校をサボった。
この世界から消えようと思ったが全てが夢だった。
僕はホッと胸を撫で下ろした。
16.眠れないほど
夜になると今日の出来事を振り返ってしまう。
今日はこれができなかった。
この時こうしておけば良かった。
とか…色々考えてしまって眠れなくなる。
誰にも会いたくなくなったり、話したくなくなったりもする。
そのせいで体調が悪くなって学校を休んでしまいがち
こんなことはしたくはない…
だけど自分に自信がないせいか考えることを
やめられずに毎日を過ごしている。
いつか何も考えずにぐっすり眠れるようになりたい。
15.夢と現実
僕は夢に出てくる男の子に恋をしてしまったようだ。
制服を着ていて、多分僕と同じ高校生なのだろう。
色白で金髪がよく似合う。なぜかいつも寂しそうな顔をしているが、その顔がとても美しい。
なんだろう、今にも触れて消えてしまいそうな…
そんな雰囲気…
君と夢の中でくだらない話をし、海で遊んでる夢だ。
君に触れようとすると目が覚める。とても楽しい夢だが、現実ではないんだと悲しい気持ちになる。
目が覚めても君のことで頭がいっぱいになって、
何も手が付かない。君に夢中だった。
でも現実出会えることもないから触れることもできない。せめて、夢の中だけでもって思って触ろうとするが目が覚めてしまう。
この感じがもどかしくて胸が苦しい。
君に触れたいのに触れられない。現実じゃなくて夢。
こんなに苦しい話があるのだろうか。
だから僕は君とずっと会えるように薬を沢山飲んだ。
「これで、ずっと一緒だね。」
そう笑って僕は倒れた。とても幸せそうに…
14.さよならは言わないで
僕は君が好きだった。
高校生の時、君と僕はずっと一緒だった。
何をしようとも必ず隣には君がいた。
僕達は2人だけの約束をしていた。
『何があってもさよならは言わない。』
いつか僕たちが離れ離れになるかもしれない。
そうだとしても絶対「さよなら」じゃなくて
「またね。」って言おうって。そう約束したけど…
君は僕の前から消えた。
君は亡くなったんだって後から知った。
葬式の時、みんな泣いていたが僕は泣かなかった。
実感がなかった。
君の顔はすごく穏やかに笑っていた。
でも触ると冷たい。
君が亡くなってしまったことを実感する。
涙がでてきた。
「またね。何があってもさよならは言わないよ」
2人だけの約束をまた君と約束をした。
13.距離
いつも吐きそうになるほど満員な電車。
身長が低いせいかいつも埋もれてしまう。
とても苦しい。だけどいつもあなたが私を見つけて
苦しくないように隙間を空けてくれる。
制服を着ているから学生なのだろう。
あなたと僕は話したこともない。
それでも私を気にかけてくれるあなた。
この1cmしかない距離…
とても近くて心臓の音が聞こえてしまいそう。
電車が揺れるたび、縮まる距離。
私じゃない心臓の音が聞こえてくる。
上を見るとあなたの顔は赤くなっていた。
あなたと目が合う。鼓動が早くなる。この時間がずっと続いてほしいと思った。
降りる駅になり降り、トイレへ向かった。
鏡を見ると顔が赤く熱い。
あなたはどう思ったのだろう…
私と同じ気持ちなのだろうか。
同じならいいなと思いながら学校に行った。
この出来事は忘れたくない。
覚えておきたいと思った。