流れ星に願いを
「流れ星が消えるまでに願い事を3回言えたら叶うらしいじゃん。」
メガネをかけた男は夜空を見上げながら友に語りかける。
「あー、あれ誰が言い出したんだろな。」
「俺、その迷信おかしいと思う。」
「て言うと、どの辺が?」
少しわざとらしくメガネをクイッとあげながら男が答える。
「流れ星、流星って宇宙にある岩が地球の大気に降ってきて燃え尽きてる訳だろ。消えていくものに願い事をするって、馬鹿げてないか?」
ロマンスの欠けらも無い、実に地学的視点から見た考察だ。
「お前さぁ....そういうとこが女から冷たい言われるんじゃねーの。」
なにが?と、心底不思議そうに首を傾げる。
「願うなら、新しく誕生した星に願いをかけるべきだと思うぞ。」
その言葉を最後に、男はまた星空を見上げ出した。
その横顔を見ながら、隣の男はぽつりと呟く。
「....まぁ、俺はお前のそういうとこが好きなんだけどな。」
ルール
1.始業の時間とホテルの部屋に戻る時間を連絡すること。
2.同期との飲みの時は連絡すること。
10~20分に1回は返事すること。
研修の時、そう、約束した。
それをメモに残して、毎日見返した。毎日守った。
こんなに、私を心配してくれた時もあった。
別れてもうすぐ1年。
未だに、このメモの破棄ボタンを押せずにいる私は愚かだと思う。
届かぬ想い
すきだよ、それでも。
どれだけあなたがクズであっても。
そんな手紙を、あなたの誕生日に綴った。
神様へ
「神よ、雨をお恵みください!」
村民たちは列になり山道を登る。目指すは神社だ。
松明が光る神社で、村民たちは供物を順に出す。
酒、米、魚。そして、
「神よ、こちらを献上いたします!」
そうして引きずられたのは、若い娘。
村民たちがツギハギだらけの質素な服を来てる中、唯一ツギハギもない白い振袖を着た娘は、口元に紅を引いていた。
娘は青ざめており、酷く震えていた。
村民たちは娘を座らせると、刀で首を落とした。
「神よ、村一番の娘を献上いたします。何卒、雨のお恵みをくださいませ!」
そう言いながら深々と頭を下げる中、小さくすすり泣く声は娘の家族から漏れていた。
言葉にできない
「車借りる。」
そう、父にLINEを送って私は車に乗った。
どこに行こう。
ただ漠然と夜景を見たい気分だった。
調べても、遠いところが多い。理想は往復1時間半だ。
まぁ、いいかととりあえずマップを入力し、車を発進させる。
「いらっしゃいませ、ご注文お伺いします。」
「クーポン512のホットください。砂糖4ミルク2でお願いします。」
「かしこまりました、3番の窓口にお越しください。」
マップが到着しました。と言う。
ドライブのお供にコーヒーを買いにいつもドライブスルーへ行く。
「すぐわかった!久しぶり!」
会計口にいた女の子は嬉しそうに手を振っている。
ここは1番近くであり、元バイト先でもある。
「砂糖とミルクですぐわかる。」
「だよね....。」
またね。と手を振って車を動かした。
大通りに進み、結局気づけば、同じ道を辿っていた。
夜はいい。車が少ないからスピードを出せる。初心者マークには有るまじきスピードだと思いながら、音楽の音量を上げる。
山の麓のコンビニに車を止める。
いつもと同じようにタバコを取り出す。
吸い終わると、さぁ、山道だ。
山道はまだ怖い。道幅も狭くて、早い車が多いこの地域。私は道を譲ってばかりいる。
頂上へ着くと、また、タバコを取り出した。
煙が広がるのを見る。
この場所が、1番好きな山だ。程よく高くて、そばに植えられた木が遠近感を出す。車から見れるのも、1人で夜景を見るにはポイント高い。
気づけば、唯一マップ無しで来られる場所だった。
片道1時間15分。
いつだったか、このタバコを吸いながら、山道での道の譲り方を教えてくれた人がいた。
この場所でバレンタインのチョコを渡して一緒に食べた人がいた。
助手席に座ってこの山を眺めていた頃があった。
私が好きなのは山なのか、思い出なのか、それとも....。