届かぬ想い
すきだよ、それでも。
どれだけあなたがクズであっても。
そんな手紙を、あなたの誕生日に綴った。
神様へ
「神よ、雨をお恵みください!」
村民たちは列になり山道を登る。目指すは神社だ。
松明が光る神社で、村民たちは供物を順に出す。
酒、米、魚。そして、
「神よ、こちらを献上いたします!」
そうして引きずられたのは、若い娘。
村民たちがツギハギだらけの質素な服を来てる中、唯一ツギハギもない白い振袖を着た娘は、口元に紅を引いていた。
娘は青ざめており、酷く震えていた。
村民たちは娘を座らせると、刀で首を落とした。
「神よ、村一番の娘を献上いたします。何卒、雨のお恵みをくださいませ!」
そう言いながら深々と頭を下げる中、小さくすすり泣く声は娘の家族から漏れていた。
言葉にできない
「車借りる。」
そう、父にLINEを送って私は車に乗った。
どこに行こう。
ただ漠然と夜景を見たい気分だった。
調べても、遠いところが多い。理想は往復1時間半だ。
まぁ、いいかととりあえずマップを入力し、車を発進させる。
「いらっしゃいませ、ご注文お伺いします。」
「クーポン512のホットください。砂糖4ミルク2でお願いします。」
「かしこまりました、3番の窓口にお越しください。」
マップが到着しました。と言う。
ドライブのお供にコーヒーを買いにいつもドライブスルーへ行く。
「すぐわかった!久しぶり!」
会計口にいた女の子は嬉しそうに手を振っている。
ここは1番近くであり、元バイト先でもある。
「砂糖とミルクですぐわかる。」
「だよね....。」
またね。と手を振って車を動かした。
大通りに進み、結局気づけば、同じ道を辿っていた。
夜はいい。車が少ないからスピードを出せる。初心者マークには有るまじきスピードだと思いながら、音楽の音量を上げる。
山の麓のコンビニに車を止める。
いつもと同じようにタバコを取り出す。
吸い終わると、さぁ、山道だ。
山道はまだ怖い。道幅も狭くて、早い車が多いこの地域。私は道を譲ってばかりいる。
頂上へ着くと、また、タバコを取り出した。
煙が広がるのを見る。
この場所が、1番好きな山だ。程よく高くて、そばに植えられた木が遠近感を出す。車から見れるのも、1人で夜景を見るにはポイント高い。
気づけば、唯一マップ無しで来られる場所だった。
片道1時間15分。
いつだったか、このタバコを吸いながら、山道での道の譲り方を教えてくれた人がいた。
この場所でバレンタインのチョコを渡して一緒に食べた人がいた。
助手席に座ってこの山を眺めていた頃があった。
私が好きなのは山なのか、思い出なのか、それとも....。
これからも、ずっと
楽しそうに隣で笑う君。
その笑顔を、守りたいと思う。
「ねぇねぇこれみてぇ!」
正直、それには興味が無い。
興味があるのは、君が好きなことだ。
これを見せたかったと笑う姿は私だけの宝物だ。
これからも、ずっと。君は私の宝物だ。
沈む夕日
いつもと変わらない教室。
いつもと変わらない1日。
いつもと変わらない友人達が隣にいる。
いつもと変わらない、何気ない話に花を咲かせながら私たちは楽器を片付け、帰る用意をしていた。
「今日は少し遅くなっちゃったね。」
そう、友人の1人が言う。
「ほんまに。でも、この時間もいいね。」
私は窓の外を見て返す。
程よく雲があり、暖かな日差しが空を茜色に染める。
あ、飛行機!
私たちは同時に声を上げた。
綺麗な景色の一部を切り取り、スマホに収める。
「なんか楽器も写真映えしそうじゃない?」
そう言い出した友人は、楽器を取り出して、1番日が差している机へ置いた。
カシャと心地よいシャッター音が聞こえる。
それに続いて、皆スマホと楽器を手に各々写真を撮り出す。
パシャ。
何気なく、私も写真に収めた。
お互いに写真を見せ合い、笑みをこぼす。
気づけば夕日も沈んでおり、教室は暗くなっていた。
何気なく撮った写真は、大切な写真になった。
翌月、学校が閉鎖され、私たちは楽器に触れることなく高校を卒業することになった。
それが、6年前の出来事だった。