夜空の音

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3/3/2026, 11:26:03 AM

ひなまつり

『あかりをつけましょ ぼんぼりに』
私は帰ってきた暗い部屋の電気をつける。

『お花をあげましょ 桃の花』
写真に手を合わせて、私はさっき買ってきた花を隣に置いた。

『五人囃子の 笛太鼓』
何もない空間を、ただただ見つめる。

かつてはそこに、毎年のように五人囃子まで出ていた雛人形は、ここにない。
いつも嬉しそうに飾ってたあの人が、亡くなってから、毎年ここを見つめてしまう。

3/2/2026, 10:38:38 AM

たった1つの希望

「ありがとう。」
授業の度に提出物の回収で、毎回そう言いながら渡してくる彼は、私が好きな人だ。
クラスの中心で辺りを照らすような笑顔の持ち主で、教室の隅で集まる私と違って、眩しい太陽のようだ。
共通点の無さそうな私たちだけど、彼とは幼なじみで、昔はよく公園とかで一緒に遊んでいた。

他の人が回収する時はただ渡すだけの彼は、私が集める時必ずありがとうと言ってくれる。
成長するにつれて会話の無くなった私には、ありがとうと言う彼。
自惚れていいだろうか。
私だけは、特別なのだと。
この気持ちが叶うと、信じていいだろうか。

2/26/2026, 10:59:06 AM

君は今

“君は今なにしてるの?”
頭の中で声が聞こえてくる。
「勉強してる。もうすぐ期末試験だから。」
“そっか、中学生だもんね。”

“君は今なにしてるの?”
また頭の中で声が聞こえてくる。
「部活してるよ。」
“そっか、部活動楽しそうだね。”

“君は今なにしてるの?”
また頭の中で声が聞こえてくる。
「大学の入試の結果発表待ち。」
“そっか、大学生になるんだ。大きくなったね。”

“君は今なにしてるの?”
頭の中で声が聞こえてくる。今日は、少し苛立っているようだ。
「20歳になったから、お酒を飲むんだよ。」
“そっか。”
頭の中の声は、いつものようにそう言った。

その後、
“ずるいね、私は小学生で時間が止まったのに。君は大人になったんだ。楽しかったでしょ、色んな経験したでしょ。お酒の味はおいしい?ずるい、ずるいね。いいなぁ、うらやましいなぁ。”
次々に私を責め立てる声が聞こえてくる。
“ねぇ、なんで私が死んで君が生きてるの?”
私は開けようとした缶チューハイから手を離す。
“代わりに死んでくれたら良かったのに。”
あの子はそんな事言わない。だからこれは私の幻聴でしかない。残された罪悪感から生まれた虚像だ。
それを分かっていながら、この歳までこの幻と生きてきた。
「....私が、死にたかったよ。」

せっかく買った缶チューハイは開けられることなく冷蔵庫へ戻されていた。

2/23/2026, 10:36:34 AM

Love you

愛を叫ぶ歌はこの世界に何百とある。
愛を呟く歌もこの世界に何千とある。
愛を求める歌もこの世界に何万とある。

あなたを愛してる。なんて歌詞は何百万回も使われてるだろう。
それなのに、溢れ切った愛を歌う音楽の海で、私の心に寄り添ってくれる曲は見つからない。

だから、私は今日も譜面に向かう。
今日は、愛を歌おう。今のこの気持ちを歌詞に乗せて。

そう、これが私の作ったラブソングの歌詞だ。

2/21/2026, 11:42:32 AM

0からの

仕事用の携帯が、ピロンと音を鳴らす。
恐る恐る開いてみると、またお小言満載のメールだった。
お手数おかけして申し訳ありません、承知いたしました。と返事を送る。
この直通番号0番は恐怖でしかない。

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