君と出逢って、
初恋。10年の片思い。そして、失恋。
そんな経験をした私は、こじらせていた。
彼の好きだった部分ばかり思い出して、ため息を吐く。
だから、もう他の誰かを好きになれないと思っていた。一生彼だけを好きなのだと。この呪縛からは死ぬまで逃れられないのだと。
付き合う相手に、好きだよと嘘を囁く。
嘘では無い。人として、好きだよ。その言葉を切り取った好きだよだ。
付き合っては直ぐに別れるのを繰り返して3年。君に出会い、付き合った。
君は、今までの彼氏と違って、彼と似た部分なんて少しもなかった。
それなのに、惹かれた。
君と出逢って、私は他の人を好きになれるのだと知った。
君と別れて、私は諦めの悪い女だと知った。
耳を澄ますと
「まって、ほんとにどこ?」
駐車場で車を探して15分。完全に迷子になってしまった私たち。
「5階じゃなくて、6階?」
5階、6階、7階と、行ったり来たり続けて探し回る。だが一向に見つかる気がしない。
「あ、まって!鍵使ったらいいんじゃない?!」
そう言い出して、隣では車の鍵の解錠ボタンを連打しだした。
どこどこ?とキョロキョロする隣と、立ち止まって目を閉じ音を探す私。
7階、6階、5階。
ピピ
「「あったぁ!」」
私たちは目を合わせた。
最初に探していた5階で、車は見つかった。
二人だけの秘密
あの子が亡くなったらしい。
盲腸だったらしい。
そんなこと、小学生の私には受け入れられなかった。
母親に伝えないといけない。報連相だ。でも。
『口にしたらホントになりそう。』
私はぬいぐるみに相談した。
『言わなかったら、明日あの子と会えるかもしれないよね。』
そうして、私は言わなかった。
明日も、来週も、来月も。
私はあの子が現れるのを待ち続けた。
母親にバレた、その日まで、私とぬいぐるみの、二人だけの秘密だった。
優しさだけで、きっと
優しい言葉は人を笑顔にする。
優しい言葉は人を傷つけない。
そう信じて、優しい言葉を選んできた。そんな生き方をする彼女と出会った。
彼女は優しい言葉を使い、優しく接する。
僕に優しく、喜ぶ言葉を選ぶ。
「大好きだよ。」
綺麗に微笑みながら愛を囁く彼女はいつも完璧な笑顔だった。
その言葉を、本音だと思っていた。
だから、彼女が別の男のことを引きずってることを知った時、世界が壊れる音がした。
「どうして、嘘ついたの?」
僕は耐えきれず、彼女に問いかけた。
「好きって言ったら、喜んでくれるでしょ。好きと言われて嫌な人はいないでしょ。」
彼女はコテンと首を傾げながらそういう。
「それに、嘘はついてないよ。君のこと好きだもん。すごく、尊敬してるよ。」
また、彼女は完璧な笑顔を僕に見せる。
「....優しすぎるよ。」
僕は、そうとしか言えなかった。
彼女の優しいさは僕の心を殺した。
カラフル
空は青。
木々は緑。
太陽は赤。
月は黄。
雲は白。
私は写真が好きだった。
空や花の写真を撮るのが好きだった。
鮮やかな景色を切り取ると、華やかな一瞬が永久になる。
「懐かしい....。」
部屋の掃除をしていると、隅の方から懐かしいカバンが姿を表せた。
カバンを開くと、黒い一眼レフがこちらを見る。
手に持つと、ずっしりと心地よい重さを感じる。
カシャ
窓の外に向かって、私はシャッターを切った。
切り取った景色を見て、ため息が出る。
このところ、ずっとそうだ。色褪せて見える。
白黒の世界になって何年経っただろう。鮮やかな世界が懐かしい。
それでも今日は、重たい身体を動かして、ベットに近づく。
お気に入りのぬいぐるみを、お気に入りの仕草で座らせた。
カシャ
最期の1枚は、お前がいい。