これからも、ずっと
楽しそうに隣で笑う君。
その笑顔を、守りたいと思う。
「ねぇねぇこれみてぇ!」
正直、それには興味が無い。
興味があるのは、君が好きなことだ。
これを見せたかったと笑う姿は私だけの宝物だ。
これからも、ずっと。君は私の宝物だ。
沈む夕日
いつもと変わらない教室。
いつもと変わらない1日。
いつもと変わらない友人達が隣にいる。
いつもと変わらない、何気ない話に花を咲かせながら私たちは楽器を片付け、帰る用意をしていた。
「今日は少し遅くなっちゃったね。」
そう、友人の1人が言う。
「ほんまに。でも、この時間もいいね。」
私は窓の外を見て返す。
程よく雲があり、暖かな日差しが空を茜色に染める。
あ、飛行機!
私たちは同時に声を上げた。
綺麗な景色の一部を切り取り、スマホに収める。
「なんか楽器も写真映えしそうじゃない?」
そう言い出した友人は、楽器を取り出して、1番日が差している机へ置いた。
カシャと心地よいシャッター音が聞こえる。
それに続いて、皆スマホと楽器を手に各々写真を撮り出す。
パシャ。
何気なく、私も写真に収めた。
お互いに写真を見せ合い、笑みをこぼす。
気づけば夕日も沈んでおり、教室は暗くなっていた。
何気なく撮った写真は、大切な写真になった。
翌月、学校が閉鎖され、私たちは楽器に触れることなく高校を卒業することになった。
それが、6年前の出来事だった。
それでいい
そう言って欲しかった。
誰かに。
そのままでいいんだよ。
そんなあなたでいいんだよ。
仮面を被らない“じぶん”を、受け入れてくれる人はいるのだろうか。
傷だらけのあなたでも、大丈夫だと言ってくれる人はいるのだろうか。
1つだけ
「お母さんがお腹痛めて産んでくれたんだから自分の身体をもっと大事に扱いなさい。」
そう、大きな声で言う人がたくさんいる。
「この世で1人しかいない、唯一無二の存在なんだから!」
そう、だね。
私の身体は1つしかない。
替えもない。
命も、この1つしかない。
声を大にして言いたい。
「私は産んでくれなんて頼んでない。」
私の傷を見て怪訝そうに顔をしかめる人に言い返したい。
「無数の身体の傷は見て、心の大きな傷は見ないのはどうして?」
替えのないこの身体は、傷を作ればもう元には戻らない。
その上から、何度も、何度も、傷を作る。
ボロボロな身体、ボロボロな心。
1点もののこの身体は傷だらけで、心にもヒビが入っている。
もし、1円で売ったとしても、誰も買ってくれはしないだろう。
ハッピーエンド
「まだ好きなの。復縁してほしい、おねがい。」
「そーなん。俺も、忘れられなかってん。」
2人の視線が重なる。
私は呼吸も忘れて、次の言葉を待つ。
「もう1回、やり直そか。」
その言葉がずっと欲しかった。その言葉が嬉しすぎて、私の視界は歪み出した。
「今度は、間違えないから。大事にする。」
ポロッと溢れる雫が頬を伝う。
こんなに嬉しいのに、なんで涙なんて....。そう思うけれども止まらない。
「....ありがとっ。」
やっと絞り出した声は掠れていて、なんとも情けない。
「お前、あいっかわらず泣き虫。」
その言葉を聞きながら、私は暖かい腕の中にいた。
ポンポンと頭を軽く叩くその手があまりにも優しくて、やっと帰ってきた手の大きさに、私はまた胸がいっぱいになって、涙が出てくる。
大好きだよ。と、その言葉と共に、頭にキスがひとつ落ちてきた。
そんなハッピーエンドを何度も夢見て、覚めない悪夢の中にいる。