『Love you』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
Love you
「アイラブユー」
「なんだよいきなり」
「だからアイラブユーだって」
「はあ?俺に向かってアイラブユーってなんだよ」
「アイラブユー」
「お前はそれしか言えないのかよ」
「アイラブユー。ドキドキした?」
「何言ってんだよ、男同士なんだからドキドキもなにもねえだろ」
「チッ。アーイーラーブーユー」
「舌打ちしたな!マジで、冗談きついからやめろ」
「、、、、、、きだ。」
「え?」
「大好きだ」
「言い方変えてもなにしても響かねえぞ?やめろよ、友達なんだから。そういう冗談は好きじゃない」
「へーい」
なんだよ、好きだって言ってんじゃん。俺は友達だって思えてないんだよ。いい加減気づけよ。
まただ。またキミのこと考えてる。
昨日はサッカー部休みなのにどうして居残ってたのかなとか。
さっき、廊下で一緒に喋ってた女の子誰なのかなとか。
いいなぁ、あたしも喋りたいな。話そうよって気軽に言えたらどんなにいいことか。それができないから、今日も暇さえあればキミのことばかり。
最近のあたしの頭の中の中心はほとんどキミ。
考えない日なんて存在ない。
それって、もしかして……そゆこと?
男友達Love you
世界のみんなたちLOVE you
I LOVE愛してあげよう
色んな情報を許して受け取ろう
失敗経験も受け止めてあげて
三、Love you
「ワルツを踊れるか」
窓から差し込む月明かりがぼんやり書斎を照らす夜。走らせていたペンの動きを止め、この部屋の主であるアルバートはふと思い出したようにすぐ傍に控えていたハウスメイドの少女に問いかけた。
「わるつ」
聞き慣れぬ三文字にミアは首を傾げる。
「ダンスだ」
「おどれません」
「だろうな」
今の流れでこの少女が踊れぬことを想像するのはアルバートにとって容易かった。
「近々公爵家主催の晩餐会がある」
主人のその言葉に、ミアは今朝方、この国有数の公爵家から速達で届いた一通の書簡を思い出した。
「招待状のやつですか」
自ずと答えを導き出したミアに、アルバートは小さく頷く。
「そうだ。先日十六を迎えた娘のデビュタントを祝うものらしい」
アルバートの口から自然とため息が漏れる。
「その娘のエスコート役を頼まれた。……公爵直々の頼みだからな。断ろうにもまず無理な話だ」
「それは素敵ですね」
「今の俺の顔を見てもう一度同じことが言えるのか、お前は」
「……お疲れですか? そろそろお休みになられてはいかがでしょう。夜も遅いです」
ズレた気遣いを働かせるミアに、そうじゃないとアルバートは苦虫を噛み潰したような顔で睨みつけた。
「晩餐会の余興としてダンスがある。エスコート役を買うということは初回のダンス相手も務めなければならないんだ。……考えるだけで気が滅入る。お前と話している方がまだマシだと思うくらいにはな」
またもため息を零す主人に何と声を掛けるべきかミアが逡巡していると、アルバートはそんな彼女を他所におもむろに立ち上がった。
「手を貸せ」
「えっ」
アルバートがミアに近付いたのもつかの間、気付けば二人は部屋の中でステップを踏んでいた。
「……あの、ご主人様」
自分の置かれている今の状況が理解出来ずに困惑するミアは、おずおずと己のダンスパートナーに声を掛ける。
「なんだ」
「私、踊れません」
「踊れてるだろ」
「それはご主人様がリードして下さっているからです」
「それがダンスだ。お前は何もせず、そのまま俺に体を預けていればいい」
そう言われてしまえばミアは口を噤むしかない。二人はそのまま、音のない部屋の中でワルツのステップを踏み続ける。ワン、ツー、スリー。ワン、ツー、スリー。
「……上手いな。踊るのは初めてなのか?」
「はい。初めてです。……わっ」
アルバートの問いにミアは答えるや否や、片足を踏み外してバランスを崩した。倒れ込むミアをアルバートは優しく抱きとめる。
「ご、ごめんなさい……」
せっかく上手に踊れていたのに。
自分の片目が見えないことを悔やんだのは、果たしてこれで何回目だろうか。ミアは俯いた。
「気にしなくていい。寧ろ、どこぞの令嬢と踊るより先にお前と踊りたかった俺の我儘を聞いて貰えて助かったくらいだ」
「えっ?」
それは、どういう。
顔を上げるとアルバートと目が合う。
「……その昔、 "I love you"の一文を『愛してる』ではなく『月が綺麗ですね』と訳した男がどこかの国にいたらしい」
アルバートの口から唐突に紡がれた台詞に、ミアは窓から覗く白金色の月を見上げる。夜の空に静かに佇むそれは、いっとう美しく輝いていた。
「ご主人様は物知りですね」
「……もういい」
相変わらずズレた返答をするミアにアルバートはたまらずそっぽを向く。気持ちを切り替えるべく軽く咳払いをすると、アルバートは再び目の前の少女に向き合った。
「もう一度、私と踊って下さいますか。レディ」
差し出された手に自分の手を重ねる。言葉はなかったが、それがミアの答えだということは明白だった。
そうして始まる軽やかなステップ。いつまでもワルツを踊り続ける二人を、夜の空に浮かぶ月だけが、優しく見守っていた。
昼休みのことだった。購買で買ったリーズナブルな弁当を食べ終えて市立図書館から借りた文庫本を読み進めていると、本の真ん中辺りに、栞程度の大きさに切り取られたルーズリーフが挟まっているのを発見した。手に取ってみると、見えなかった裏側に文字が書かれている。
"Love you."
ルーズリーフの螺線をベースラインに見立てて、その一文だけが短く、しかし丁寧に書かれていた。
前の借り主が挟んだまま忘れてしまったのだろうか、ルーズリーフは比較的新しいもので、まだ白さを保っていた。何となく光にかざしてみたけれど、秘密の暗号が浮き出したりは、当然ながらしなかった。
「何見てるの?」
ルーズリーフを落としそうになるのをなんとか堪えて、声の方へ振り向く。
そこには、クラスメイトの鈴原が立っていた。
「何見てるの?」
重ねて訊ねる鈴原に「別に、なんでもない」と答えてから、ルーズリーフを元の頁へと挟み直す。
「何か用か?」
「なんか、ルーズリーフを熱心に眺めてるなーと思って」
「借りた本に挟まってたんだよ」
鈴原は気のない相槌を打って「何か書いてあったの?」と続けた。
机に置かれた文庫本に一瞬、視線を落とす。
「書かれてはいた。でも内容は言えない」
「なんで?」
「もしかしたら、前の借り主の忘れ物かもしれないし、一応な」
見てしまった後では説得力はないけれど、あんまりぺらぺらと話すものでもないだろう。
「そっか」
「悪いな」
なんで君が謝るの。と鈴原はくすぐったい感じで微笑んだ。
「でもそれ、前の人のやつかは分からないんじゃない?」
文庫本を指さしながら、鈴原はそう言った。
「というと?」
「例えばさ、君の机にある文庫本に、誰かが挟んだ可能性もあるんじゃない?」
なるほど。今朝、高校に持ってきてから文庫本を常に持ち歩いていたわけではないし、可能性としては一理ある。
「でも、それはない気がする」
「どうして?」
「わざわざ文庫本を選ぶ理由がない。万が一そのまま読まずに返してしまったら、台無しだからな」
個人的な心情としても、あれが自分宛だと考えるのは、変に自惚れているようであまり感じいいものではない。
「その手紙を入れた人は、君が読書を好む人だと知ってたのかも」
「いや、仮にそうだったとしても、」
言いかけて、違和感に気づく。
「何で、手紙だと分かった?」
鈴原は悪戯のバレた子供のような表情を浮かべた。心当たりがあるようだ。
「何かが書かれているとは言ったけど、それが文章だとは言ってないぞ」
そうやって一つ思い当たってみれば、鈴原は最初から、栞程度の大きさの紙切れをルーズリーフだと言っていた。まぁ、それはよく観察すれば分かることだから、考えすぎかもしれないけれど。
「お前が入れたのか?」
「だとしたらどうする?」
だとしたら、どうするだろう。
「理由を聞くかな」
鈴原は「そっか」と呟いて、頬をかいた。
「放課後さ、その本返しに行こうよ」
「まだ読んでないんだけど」
「理由、聞きたくないの?」
文庫本を手に取って、おそらくは鈴原が挟んだであろうルーズリーフを確認する。頁は残り半分程度残っている。
「放課後までに、読んでおくよ」
「うん、じゃあ放課後ね」
頁を捲る手を少しだけ早めながら、文庫本を読む。主語も宛名もない手紙が、風になびいて小気味良い音を立てた。
濃いブラウンのバーカウンター。
片側のコーナー部分は丸くカットされており木目調のデザインが光沢を放っている。
このバーカウンターは、シラギが自宅の隅に設置したもので、せいぜい2人、もしくは3人が横並びに座るのが限度の小さめのサイズのものだった。
シラギが立つ後ろの壁には、趣味で集めた酒が綺麗に整頓されていて、遊びに来た友人に振る舞ったり、時には自分で楽しんだりもしている。
「でもさ、なんだかこう...うまく逃げ道を作られてるような気がしてさ」
シラギの正面に座りカクテルが入ったグラスを上から下へとつぅっと人差し指でなぞりながら、ふぅと一つ溜め息をついてモモセはそう言った。
「ズルいよなぁ、なんか。別れの際に、愛してるなんてさ」
俺何も言い返せなかったよ、とバーカウンターに突っ伏してモモセが呟いた。
確かに、とシラギはそんなモモセを見ながら思った。
愛しているけど一緒にはいられない、と言われ別れを告げられたらしい。そんな都合のいい文言を言う女だ。きっと他所に男がいるのだろう。そして今までもそうやって男女関係を終わらせてこれからもそうして続けていくのであろう。
「まぁ、そんな女だったってことじゃない?」
到底慰めにはならない言葉がシラギの口から紡いで出た。
「まぁ、そう思うしかないというかなんというか…」
モモセはすっかり酒が回ったのか目が虚だ。
そしてはぁ、と大きなため息をつき、愛してたのにな、とボソリと呟いた。
愛というのは不思議だ。人は愛という言葉にひどく惑わされて生きているように思う。
何が愛なのかは分からないままに、いつからかそれを知った気で生きている。そしてまた、誰かに愛を求め、そして与えようとする。
それはシラギ自身も同じで、目の前のこの男に、もう随分前から愛を奪われているのだ。
”愛している“
シラギはその言葉を、カクテルグラスを傾けてグッと飲み込んだ。
窓の外を見やれば、冬の夜の冷たさが闇に溶け込んでいる。
遠くに見えるネオンの極彩色が、ひどくうるさく感じた。
あなたは世界を愛していた。人を愛していた。
自分を犠牲にしても誰かの為にできることをする。
本人曰く、みんなが喜んでくれることが自分の喜びだと。一度、無理をしないよう言ってみたが、無理なんてしていないと。それに、誰かの為じゃなく、自分がしたいからしているだけだと、心からそう言っていた。
そんなあなたが死んでしまった。悪い人間の餌食にされて。ずっと心配だった。あなただけが損をして、酷い目に遭いやしないかと。そして、それが現実になってしまった。
あなたは世界を愛していたけど、私はあなたが犠牲になる世界が嫌いだった。この世界を滅ぼしたいとすら思っていた。
あなたが夢に出てきた。
いつも通りに笑っていた。いつも通りに笑って、いつも通りに誰かを助けていた。
わかっていた。
あなたはきっと自分の選択を後悔していないことを。そして、私がこの世界を恨むのを望まないことも。
あなたは世界を愛していた。
だから、私は愛するあなたが愛していた世界を愛することに決めた。
『Love you』
Love you
Hello Hello
愛しい人元気にしていますか?
こちらは、今 夜です。
夜空に星々がまんべんなく降り注いで
います。
日本は、朝かな?
君は、朝が弱いからまだ寝てるかな?
スマホで星空を撮ったので送ります
本格的なカメラではないのであまり
写りは、良くないかもしれないけど
君にこの景色を伝えたくて
ついスマホを翳してシャッターを
切ってしまいました。
あともう一つ報告があります。
もうすぐ長期で 進ませた
プロジェクトが終わります。
あともう少しで帰国出来ると思います。
早く君に会いたいです。
愛しい人... Love....you!!
《Loveyou》
すきです
これを言うのにどれだけ掛かるか
喉に言葉がつまり、言葉が出てこない
息ができない、焦る
それならかっこ悪いけど手紙で伝えよう✉️
手紙でかっこ悪い分すこしカッコつけたくなった
ならば……
《𝐼 "𝑙𝑜𝑣𝑒 𝑦𝑜𝑢"》
こっちの方がダサいかもな…(笑)
「すきだよ」
どういう意味で?
恋的に。
愛的に。
性的に。
人間的に。
ぜんぶ。
でもそれだけなのかな。
今のこの体温。上がる心拍数。あなたの潤んだ目。
そのすべてを、私の腕の中に抱きしめていたいの。
Loveyou (愛している)
と言ったら君は
『me too』(私も)
なんて言ってくれるのかな。
○○ちゃんらぶー⸜❤︎⸝
ネット上の人からのコメントだ。
それって本当に私の事好きで言ってる?
疑うのは良くないと思うけど「ワロタwww」というLINEの返信をしていても実際には笑って居ないのと同じなんじゃないかと思う。
『Love you』
Love you
愛してるって言えるはずもない
私はあなたと敵対している
そうでなければ私は心を保てない
ほんとうよ、心は惹かれているけど
あなたは私を滅ぼすものだから
心を許すのは死への近道
私を殺すのはあなた
だから、「だいきらいよ」
【Love you】
もう嫌
何もしたくない、考えたくない
消えたい、死にたい。
もう全て終わりにしたい。
そんな気持ちから救ってよ、貴方の愛で。
【LOVE you】
心置き無く胸いっぱいに、私は愛を吸い込んだ。
ふー、と一息つくと、今度は愛する相手を角度を変えて抱きしめる。ふわっとする柔らかさの先にある温もりに、いつも私は絆されるのを感じていた。
お腹の触り心地がたまらない。
本当に大好きだ。
彼の手も好きで思わずモミモミしていると、少し怒ったのか彼は不機嫌な視線を投げてきた。
「にゃーーっ」
「あはは、ごめんごめん」
けどそんな顔も好き。
猫バカでごめんね。
君の喜ぶ顔を見たくて、猫用お菓子でご機嫌取り。私の指まで一緒に舐められたら、ざらつく感覚に思わずにやけちゃう。
今日も、明日も、君のために仕事を頑張れる。
そこに見返りはないけど。
君は行ってらっしゃいの一言も言ってくれないけど。
「にゃーん」
「うん、気遣ってはくれてるんだよね。ちゃんと休憩もしてるよ、ありがとう」
「にゃうん」
君のために成長したいと思える日々は、私にとっての愛なのだ。
愛する君へ。
「にゃおーん」
「うん! 私も大好き!」
今日もありがとう。
「あなたが好きです」
その言葉が言えないまま、あなたは都会へ行ってしまった。
そのうち忘れると自分を慰めるが、日に日に思いは強くなる。
ある日、勇気を出してあなたに会いに行った。
久しぶりに会ったあなたの隣には、私と違う女の人が立っている。
でも、告白しなかったことを後悔はしていない。
なぜなら、あなたはあの頃と比べて太りすぎていたから。
「先月お題として出てるのよ。1月29日。
『私が愛する、ちょっと気取ったホットミルク』みたいなハナシ書いたわ。『I LOVE…』だった」
今度は「Love you」か。某所在住物書きは今日も相変わらず、天井を見上げてため息を吐く。
このアプリにおいて出題の重複は毎度のこと。恋愛にエモに天候に空、それから年中行事。
今回は恋愛のそれだった。次は何だろう。
「AがBに対して『I love you』でひとつ、
文法変だけどAがBに、あなた自身を愛せの命令形で『Love you』、本来なら『Love yourself』。
第三者込みなら『They love you』もアリか。
太宰治なら『津軽』の序編で、『汝を愛し、汝を憎む』とか書いてたが。……他には?」
ぼっちの物書きは不得意な恋愛ネタを嘆く。
「お前自身を愛せ」とか、どんなシチュだ。
――――――
三連休の2日目、都内某所、昼。
某不思議な不思議な稲荷神社の近所、「化け猫惣菜店」なる名前の、少し小洒落た店内。
雪国出身のぼっち、藤森が、ショーケースの前で立ち尽くし、指で口元を隠して、長考の様子。
目の前には真っ赤な、小さくて丸い、
イクラではない。えびっ子でもない。
筋子である。しかも、醤油漬けではない。
比較的珍しい、塩漬けの筋子である。
「雪国の方でしょう」
ほら。買っちゃいなさいよ。
食文化知ったる惣菜屋の店主が、にゃーにゃー、商売的スマイルで藤森に話しかけた。
「新潟?北海道の方かしら」
藤森は答えず、すいませんすぐ出ます、の申し訳無さで会釈した。
かつて都内、多摩の三鷹に住んでいた雪国出身、文豪の太宰治は筋子を好んだという。
己の著作の中、具体的には『HUMAN LOST』、
太宰は筋子納豆への愛を、それがあれば「他には何も不足なかった」と綴った。
彼は故郷の味を愛していたのだろう――多分。
で、その筋子である。
太宰の故郷青森のほか、北海道や新潟、岩手等々、
納豆や青のり、各種調味料を添えるかどうかに関わらず、それは白米のオトモとして、あるいは酒のツマミとして、今もよく愛されている。
そのわりに、都内であまり見かけない。
特に塩漬けは。
藤森も筋子のおにぎりを愛する雪国の民であった。
(プリン体は、別に、気にしちゃいないんだ)
ため息ひとつ。視線を落とすと、店の子であろう、
藤森の腰くらいの背丈の少女が、とびっきりの笑顔でにゃーにゃー。こちらを見つめている。
(塩分だよ。……塩分なんだ)
WHOの提案する塩分摂取量、1日5g未満をなんとなく、それとなく意識はしている藤森。
塩分で漬け込まれた魚卵は愛する故郷の思い出であり、時折無性に食いたくなるものであり、
しかし、すなわち、要するに高塩分であった。
汝を愛し、汝を憎む。 『津軽』の序編である。
太宰はこの葛藤を指して上記を綴ったワケでは断じてないだろう。
「お客さん、おきゃくさん」
駄目だ。これ以上長考したところで、食いたいけど塩分だけど食いたいが堂々巡りなだけだ。
藤森は小さく首を振り、揚げたてのフキノトウの天ぷらを手にとって、会計のため振り返ると、
「試食だけでも」
店の子である、例の背丈の少女が、やはりとびっきりの笑顔で、スクエア型の小皿に小さなスプーンをのせ、藤森にそれを両手で差し出している。
スプーンの上には当然、小さな赤い宝石の美味。
少女の輝く瞳は藤森の心の奥の奥を、猫のそれのように、見透かしているようであった。
「愛しの愛しの、故郷の味。どうぞ」
再度ため息。藤森は小皿を受け取り、パクリ。
甘い。塩っ辛い。昔ながらの、昔から受け継がれてきた、愛しい愛しい馴染みの味だ。
礼を述べた藤森は結局敗北して、筋子のおにぎりと筋子単品のパックを手に取り、レジに出した。
Love you…状況で違う意味合いになる表現だ。親愛の気持ちと言えば確かにそうだけど、一緒に居る恋人同士や、家族の中での言葉。その場の状況を前提として巻き込んだ上で発される口語表現だから、文章には向いてないと思われる。
日本人の日本語による同系ニュアンスの表現だと、「大好き」なのかな…? 次女がよく言ってくれる。「ママ、大好きー」と。かなり栄養になってる。長女は…うん、おねえさんになったね…
それにしても、英語だと提示情報量が違う。文化の違いなのだろうけど、日本語と英語では一文に含み示されるものの量が違うのだ。英語の構造はとても物理的な印象だ。
以前にも「大好き、で良いのでは?」みたいなことを書いた。お題の文言に比べてほわっとしている印象があるけれど、親しい間柄ではしっかりと「心の活力源」になるのはウケアイだ。
愛があれば生きていけるなんて、そんなの紛い物。
愛でメシが食えるわけではないのだから。
なんて、そう思っていたけれども。
最近側にいるパートナーが居てくれている時から「しにたい」って言わなくなったな、とふと思い返した。
前までは事あることに言っていたのに。
迷惑を掛けたくないという思いもあるのかもしれないけれど。
だから、愛があれば生きていけるのかもしれない。
love you.
不安で不安で不安で、この世から消えてしまいそう。
それでも、大切なものがここにはある。
たとえ全てを失っても
それがあれば生きていけるよ。
愛。