『Love you』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『Love you』
"ベイビーアイラブユーだぜ"
店内に流れるBGM、そのフレーズが突然耳に飛び込んできて、ハッと顔を上げる。あなたがよく口ずさんでいたこの曲は、いつの間にか私の記憶に刷り込まれていて。この曲を聴くと、私はいつもあなたを思い出す。
"ベイビーアイラブユーだ"
私たちはゴールに辿り着けないまま、永遠に分かたれてしまったから。宇宙ごと抱きしめたって、もうあなたには触れられない。
"アイラブユーだぜ"
あなたが待っていてくれるなら、抜け殻になってから会いに行くわ。
"アイラブユーだぜ"
いつものあの場所、あの時間に。私の今日までの意味があるから。
"アイラブユーだぜ"
主語がないから、これだけじゃ伝わりきらんよねえ。なんて。
しかし、きっちり伝え切るのがおしゃれではないことくらいはわかる。
言葉は使い方次第で完璧に伝えられたりもするだろうが、ちょっと曖昧にして不確定な文章にした方がドキドキしないだろうか。だからIを付けずにLove youなのです。
I love you
世界中で使われる最もポピュラーな愛の言葉。
最近勇敢な政治活動家が亡くなりました。北極圏の刑務所で亡くなり、死因がわからないとは尋常ではないお話。テレビでその方のご家族が彼の意志を継いで活動を止めないと話されるのを見ました。
これも、I love youの姿なのかと‥。
わたしには到底出来ない I love you。愛の型もいろいろです。
わたしのはぷにゅぷにゅしてて、優柔不断そう。絹ごし豆腐くらいかな。
『Love you』
職場にやってきた新人さんが外国の人だった。自国民ばかりのチームだったので自分も含めたみんながみんな緊張に震えたが、話をしないことには仕事は始まらない。歳が近いからということで教育係に任命された俺は彼に仕事を教えつつ言葉や文化の違いを感じ取り、それをみんなに共有するという立場になった。
翻訳アプリを交えながらも彼と話をしてみると自分がこれまで出会ったどの人よりも気が合うことがわかってきた。彼のことをもっと知りたくて仕事を抜きにして飲みに行くことも増えてきて、きょうも人で混み合うザ・居酒屋な店にふたりでビールをあおっている。
「缶ビールもおいしいけど、生ビールはやっぱ美味いね」
「それな」
とりあえずビールにとりあえず枝豆。むっしむっしと口に運びながらスラングもスラスラ言えるようになった彼ととりとめもなく話をする。彼がスマートフォンで見せてくるのは故郷に暮らす彼の婚約者の写真。とてもいい笑顔のツーショットは幸せそうだけれど、彼がいつかはこの国を離れるのだとわかって胸が少し痛んだ。少し曇った俺の顔を目聡く見つけてどうしたと聞かれるけれど、どう言い表せばいいのか。
「君がずっと、この国にいればいいのに」
「しばらくはいます。けれど、いつかは帰ります」
「俺は寂しいよ。君がいなくなることを考えただけで」
小さく感嘆の声を上げて彼は胸を押さえる。
「それは、熱烈な告白ですね」
「いや、どうだろう……そうなのかな?」
「私は、そう受け取りました」
人で混み合う居酒屋のカウンターの隣から大げさな音を立てて、彼が俺の頬にキスをする。外国の人はやることがストレートだ。すかさずおしぼりで拭うと彼は爆笑したので俺もつられて笑う。
「これは浮気になるんじゃないの」
「ノー。ノーカンです」
ふたりしてだらしなく笑う。酔いが回っているせいだ。
会社の既婚者男性
10年以上一緒に勤務してて、互いの性格もよく分かってる
職場で話すだけだし、恋のその感情はなくて
同士の1人なんだけど、
仕事を頑張ってる時とか、周りをおもいやる発言に時折love youの感情がほんのり心の片隅に上がるけど
私はそっと蓋をする
『背中越しのL』
新しい家が建った 最寄りのコンビニの近く 私は自転車でちらりと横見した あなたは先を行く 路面をカーキ色に染め上げながら 私は後を行く ペダルの重みが想いとリンクする 繋がりって色々だ 昨日整理した配線が頭に浮かぶ
もしも"次"を選べるのなら、
あなたの知らない私で会いたい。
それでもまた、好きになってくれますか。
不器用で面倒見が良くて
意外としっかり人を見てて、
頼れる貴方を愛してました。
別に恋愛の好きではなかったけれど
アナタのほうが先輩でしたけど
愛してました。
ありがとうございました。
『天井』
「クドア」という寄生虫らしい。アニサキスなら知ってるけど、知らないわ。一昨日に釣ったヒラメを刺身にして食べたが、そこにいたらしい。酷い吐き気がして食欲も無いが、自宅で2日も安静にしていれば治るとか。
大したことはない、そう思って布団に入っても寝つけない。熱があるわけではないから、そう寝れるもんでもない。天井を見て思うことなどない。でもそういえば、爺ちゃんが晩年、病室で模様のある天井を見て、「魚が泳いでる!」と看護師を呼び止めていたと聞いたな。
そうか、初めて釣りに行ったのは、爺ちゃんとだったな。朝4時、起きるとは言ったがいざ起こされるとぐずる俺を、叩き起こして海へ向かう。釣ったのはハゼだったか。リールも使わないような気楽な釣りも、良いもんだった。
釣りの話を、小学校の帰りのスピーチでよくしたものだ。大方みんな興味がない釣りの話を、やれこの前はカサゴが釣れた、船に乗せてもらって太刀魚を狙いに行った、だの長々と喋っていた。喜々として喋っていたから、担任も止めるに止められなかったんだろうか。木津が日直の日は帰りが遅れると言われ、特に女子には嫌がられた。
1人だけ、俺のことを好いてくれる女子がいたな。俺が夢中で自分の好きなことの話をするのがかっこいいと。バレンタインの日にチョコをくれたはずだ。いつしかくれなくなったけど。思えばあれが、明確に人に好意を向けられた初めての経験だったか。
吐き気がおさまらない。頭も痛い。天井の次はトイレのドアを見る。
俺の記憶はどこまでが本当か?なんか今思うと美談になっているが、当時こんなに楽しかったか?子どものころは正直釣りなんて行きたくなかった。学校で嫌われている自分が嫌だった。女の子が好意を向けてくれたような気はするが、チョコなんかもらったか?俺の思い込みか?
トイレのドアは、染みだらけの天井よりも愛がない。無機質だ。
I Love Youとか
月が綺麗ですねとかじゃなくて
ストレートに好きって言って欲しいのは
わがままかな?
君からのI Love Youも
月が綺麗ですねも
嬉しいけど
好きの2文字は
まだ聞けてない。
今日は言ってくれるかな。
─────『Love you』
「Love You」
愛してる、
愛してない、
コレを片思いという
愛してる、
愛してる、
コレを両思いという
不思議なんです。どっちも愛じゃないですか
両思いは、果たして本当にもう片方は、思いを伝えているだろうか。
愛してるなんて口だけだ。
だから浮気とか離婚とか起きちゃうじゃないですかねぇ?
ほらそこの貴方も、
『I Love You』
君から僕に送られたその言葉
いつも笑顔で誰にでも親切
こんな僕にも話しかけてくるような物好き
毎日告白してくる勢いの君だが
僕に君は釣り合わない
「I Hate You」
僕から君に贈るこの言葉
教室に無言で入り、無言のまま板書する。
「I love you.」
「意味わかる?はい、じゃあ明日香」
「わたしはあなたが好き」
「違う」
「じゃあリサ」
「わたしはあなたを愛してます」
「違う。好きと愛してるの違いではない。たしかに好きと愛してるは違う。先生は好きな女性と愛してる女性がいる。たしかに違う」
「先生、浮気じゃん」
「愛してしまったものは仕方ない。浮気ではない。話しを戻そう。youには二人称単数と二人称復数があるんだよ。知ってた?」
「知らなかった。あなたたち、ですか?」
「そうそう。文法書にはそう書いてある。ただ、ネイティブスピーカーはyouを復数では使わないらしいが。復数の時にはyou guysとかいうらしい。もう一度、じゃちひろ。訳してごらん」
「わたしはあなた達が好き」
「そう。そうなる場合もある。状況次第なんだろね。英語史を話すと〜。」
てな感じで授業は始まった
好き、
大好き、
愛してる、
世界で1番好き、
宇宙で1番大好き、
あーーー愛おしいよ、
なんて言ったらこの大きな気持ち、伝わるの!!!
I love you sooooo much !!!!!!
─────Love you
LOVE
愛
を本当の意味で理解したのは
初めて我が子を抱いた時だ。
産んですぐに呼吸不全でNICUに運ばれた
我が子を抱いたのは産んでから5日目のこと。
管だらけで保育器に入っていた我が子を
ほんの数分間抱かせてくれた。
こんな小さな我が子はたくさんの機器に生かされながらも
懸命に生きていた。
ちっちゃい手、ちっちゃい足
だけど抱くと思いの外ずっしりと重く
命の重さと親になる覚悟を肌で実感した瞬間だった。
このか弱き存在を何が何でも守り抜きたい
そしてなにより愛おしい。
このちっちゃき存在は
ずっと自分を愛せなかった私に
自分を大切にする意味さえ教えてくれた。
ちっちゃき命
に私史上の愛を。
私の愛するもの。
旦那との時間。
静寂。
穏やかさ。
好奇心。
時に冒険。
蝋燭やランタンの薄明かり。
白湯。
たぬきのぬいぐるみ。
温かい毛布。
手帳に書き込むこと。
タブレット。
農園での仕事。
洗濯。
手芸や工作。
何かを作りだすこと。
人の役にたつこと。
子ども達の笑顔。
自分のための時間をもつこと。
変化しながら続いていく日常。
いつかは、自分自身を愛せるようになれますように。
ありがとうと言うと
ごめんねと返ってきた
大切にすると言うと
馬鹿だなあと返ってきた
好きだよと言うと
同じだねと返ってきた
忘れないよと言うと
思い出にしてと返された
いつまでもと言うと
死ぬ迄で良いと返された
毎夏君に会いに行く
墓石は何も応えないけど
<Love you>
向日葵、という言葉が並ぶ中に、
一人だけ、違う花の名を上げた子がいた。
「向日葵はお日様に向かって咲くのよ。
それじゃあ別個体じゃない」
成る程、そういう考え方も有ろう。
とはいえ、その子の上げた名前も、
星空ならまだしも、連想は付きにくい。
「そう?直視出来るのなんて、
木漏れ日くらいじゃないかしら」
常緑の隙間を埋め香り立つ金銀。
はらはらと落ちる小花。
やわらかな秋の日差しに、
確かによく似ていたのかもしれない。
<太陽のような>
Love you
歯ブラシ2本 コーヒーカップ2つ ハムトースト2枚 りんご4分の1を2つずつ
美術館大人2枚 パンフレット1枚
イタリアンのパスタ2人前
カフェのいちごパフェ1つ チョコレートパフェ1つ
新しいネクタイ一本 新しいYシャツ一枚 新しいブラウス一枚 新しいスカート一枚
猫の餌一箱
ハンバーグ2つ ナイフとフォーク2本ずつ サラダ用の皿2枚 ワイングラス2つ
笑顔ふたつ。
「月が綺麗ですね」って
ほんとに月が綺麗だからって言うもんじゃないのよ
それは愛の表現でもあるのだから。
漱石先生をちょっとだけ恨んだ。
お題:Loveyou
『月が綺麗ですね』
透華は、親が迎えに来るらしい。
あの後は全ての授業は自分が付き添った。
俺以外の奴らでもいいかと思っていたんだが、皆行ってしまってオロオロしている透華を見ていたらほっとくのはダメだと思ったからだ。
授業が終わって放課後になったらすぐに帰るかと思っていたが、親が仕事の関係上すぐに迎えにこれないとの事で部活もしていくことになった。
まぁ、部員の少ない弓道部だから見学になってしまうだろうが。
楽しんでくれたら嬉しいな。
部活が終わって帰る準備をしているが、透華はもう少し待つことになりそうだ。
先生に透華を1人にしないでと言われたので、クラスメイトに一緒に帰ろうと言われるが、断ってそばに居る事にした。
断って騒ぎやがったあいつらは一旦〆といたがいいよな。
「ありがとう。」
透華にお礼を言われた。
タイミング的に、残った事だよな。
「別に、大丈夫だ。」
さっき、親にすぐ帰らないってLINEしといたし、多分大丈夫だよな、門限ないし。
「透華ちゃん。暇だからさ、課題して待ってようぜ。」
解き方分からなかったら俺が教えればいいし、覚えているんだったら教えて欲しいからな。
「そうだね。私、これあんまり分からなくて。」
なるほど、なるほど。
俺も苦手だけど教えることになりそうだ。
透華のためにも頑張ってみようか。
「じゃぁ、教えるよ。どこからつまづいてるの。」
そう言って顔を上げたら、透華が月を見ていることに気がついた。
「月、見てるんだね。」
そう俺が言うと透華がこちらを見て言った。
「うん。多分、好きなんだと思うよ。」
その笑顔を見たら言いたくなった。
「月が綺麗ですね、透華。」
遠回しな『I LoveYou』を。
「うん。綺麗だね、秋太くん。」
まだ、気が付かなくていいよ。
敬語になった訳も、名前を呼び捨てにした訳も、全部、まだね。