『1年前』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題【1年前】
1年前、私はまだ自分を知らなかった。
いや、知らなかったのかわからない。私は王子様のおかげで私を思い出しつつあるのだ。
今までの私も私。だが私は家族を守るために、私を見失った。そして、無理をし続けた。願望も、わからなくなっていた。
今、私の願望は家族で穏やかに幸せに不自由無く暮らす事だ。
それがあれば良かったのに、私は家族のために犠牲になり続けて全てを忘れた。
家族は私を愛してくれていた、私が犠牲になってロストしてしまったら家族は幸せになれない可能性が非常に高まる。それすらわからなかった。戦場しか知らなかったのだ。
私は、私として自然体で生きたい。
王子様(夫)を含む家族と共に。
これからは私を守る王子様が居てくれる。心から安心して、過ごせるのだ。
お姫様として、お嫁さんとして、性別は関係なく女の子として。
1年前の記憶はない。すっぽりと抜け落ちてしまっているらしい。そんなに何もなかったんだろうか。大まかなことでさえ思い出せない私は、今日も推測で過去を作り出す。
一年前の今頃は
「こんな仕事辞めてやりたい」
「あの人が退職するときには、この想いを伝えたい」
おそらくそう思っていた
一年が経って
私はずるずると今の仕事を続けているし
あの人は自分の道に進むために職場を去った
胸に秘めた想いは、伝えることなく干からびてきた
#51 1年前
1年前の今頃は、仕事が一段落ついたところだな。リーダーのプレッシャーでヒィヒィ言ってたなあ。
任期が1年だったので、今は平に戻っている。責任がないって、こんなに楽なんだなぁ。忙しさは変わらないものの、気楽さは否めない。
1年前。
その頃の彼女は、のびのびと遊んでいれば良かった。お膳立てされた環境の中、自分の欲求に従い、探究し団結し、そうして自分を満たし、ついでに相手を満たしていれば、それで良かった。
それが今はどうだろう。
用意された課題をクリアすることを求められて、自分の欲求に関係のない義務を与えられている。
それで一体、彼女の何が満たされるのだろう。
現に彼女は、その理不尽を表現しようと一生懸命だ。
何が起きるかわからない人生を生きることなんて、いつまで経っても慣れやしない。
だからといって、だからこそ、彼女には。
ちょうど最後の大会が終わったタイミングやったなぁ
卓球で近畿決まったって聞いたときにまじであいつ頑張ってたから良かったなって思ったと同時に、受験でリードしたなって思ったのがちょっと嫌やった
大会後の焼肉が1番楽しみ笑
君が居なくなって、もう一年が経ちました。
キッチンのカウンターの上に置かれた、写真立ての中の君に指を這わす。
その眩しい笑顔を見つめる度に、君の声が呼び起こされた。
心底愉快そうな笑い声、甘ったるく名前を呼ぶ声、「ただいま」と少しだけ疲れたような声。
スン、と鼻を鳴らす。
じんわりと君の笑顔が滲んでいき、乱暴に目元を拭う。
拭っても、拭っても、拭いきれない程の涙が、ポロポロと零れ落ちていった。
君を失って、もう一年が経ちました。
この哀しみに慣れることは、きっと無いだろう。
テーマ「1年前」
#020 『精霊の花日記』
旧街道沿いの古い屋敷の前には広大な庭があって、誰もが四季折々の花を楽しめるようにと開放されていた。屋敷の女主人は物静かな人で、自由に庭を散策する人々をいつも穏やかな目で見つめていた。
テーブルの上には香り豊かな紅茶と茶菓子、それに古びた表紙の一冊の本。中身は女主人が気まぐれに描く花の線画で、白紙のページがなくなれば大半の紙を入れ替え、抜いたものは製本して屋敷の書斎に保管しているのだという。
ただし本の最初のページだけは一度も抜かれることなく、ずっと同じ位置にあり続けた。他はすべてモノクロの線画なのにその一ページだけには花びらが一枚ずつ貼り付けられ、ところどころに数字が記されている。
好奇心旺盛な子供の頃、その意味を尋ねたら女主人は微笑んで言った。
「一年が過ぎたことをすぐ忘れてしまうから、その年最初に見つけた勿忘草から花びらを一枚だけいただいてるの」
よく意味も分からないまま「ふーん」と答え、それきり忘れ、その意味に不意に思い至ったのは十数年が過ぎ、すっかり大人になってからのことだった。
女主人は年をとらない。なんでも先祖返りなのだそうで、一族には時々、そういう性質の女性が生まれるのだそうだ。
ある時から突然食事量が落ち、睡眠時間が増えて、それから髪や爪が伸びなくなった。不老を悟ったその年から、彼女は花日記を始めたのだという。
その枚数を数えてみたいという誘惑は、頭をよぎっただけですぐに消えた。それは彼女だけが知っていればよいことだから。
一年前、自分は今より一歳若かった。
そんな当たり前のことが当たり前ではない時間の中を、彼女はただ一人過ごしている。
お題/1年前
2023.06.17 こどー
『海』
蝉が煩く鳴き、雲は白く、青空が広がっていた
あの日、君は突然姿を消した。
街の人に聞いても誰も見ていないし覚えていなかった。とても奇妙だったし、君が居た痕跡すら無くてまるでまやかしに掛かっていたのかと思うほどで。
でも確かに君は居たし、
僕はこの手で君の手を引いた。
情報もないまま1年が過ぎた。
去年と同じように蝉が煩く鳴き、雲は白く、青空が広がっていた。
僕は君を探す気分転換に海へ来ていた。
目の前にはとてもとても綺麗な青い海。
その砂浜に、ただ一人の少女が佇んでいた。
君だ、と直感がそう言った。
僕は必死になって砂を蹴った。
やっと見つけた。
「レイ!!!!」
僕の声に反応して君が振り向く。
そして、ふんわりと笑った。
「…………久しぶりだね」
第一声がそれだった。久しぶりだね、じゃないよ。こっちがどれだけ心配したか。もう二度と会えないかと思った。言いたいことを全部のみ込んで、
「うん、久しぶり」
と返した。
そして聞きたかったことを聞いた。
「街の人たち、君が消えた次の日から君そのものの記憶がなかった。君はいったい何者なの?どうして僕だけが覚えてるの?」
君は少し困った風に笑って
「…んー、海の人間?だからかな。記憶が操れるの。君が私のことを覚えてるのは、私が忘れて欲しくなかっただけ。
…まぁ、だからこそ君には辛い思いをさせたかもしれないけど」
「ほんとだよ。1年も探したんだよ。
居なくなるにしても突然、なんもなしに居なくならないでよ」
「次からは気を付ける。」
「そうして。ところで何してたの?今まで」
「海の世界に帰ってた。」
お題:《1年前》
◇
美しきの定義を、海と宇宙の関連性を、我が音楽を問う。
(神は悪魔よりも人を弄ぶ結構な趣味をお持ちらしい。目映い救いは己が認めた者にしか与えぬ、と。偏愛。
だがしかし、下手な博愛主義者とそれ等を比べるとすれば、言ふまでもなく信用出来るのは前者であろう。)
╶╶╶╶╶╶╶╶╶╶
カトラリイで舌を切る。味蕾一つ一つ噛み潰せば其処から言葉は溢れいづるのかしら?ナンテ幾許かの疑問に首を傾げているの、あたし。馬鹿ね。そんな事したって愚者へのアイロニが届く訳でも無いのに。......エ、そんなだから見放されるのよオ、オホ、ホ、ですッて、まア、趣味が悪いですコト、羊の腸詰め肉みたいな指にぎんぎら光る指環をお付けになって?ご覧になりました?キリストの肉をお食べとも言えませんわ、アア云うのッて天罰とやらが下るんデショ。ご存知。まるでAliceの追ったウサギの皮を剥いでいる老婦みたいでしたわ───蹲って満ちた潮にみづから溺れている様に見えたンですもの。カアイソウにラムプも揺れてました。ティー・カップを逆さにして平気で居られるなんて夢みたい。もう、イチ、ニイ、サン、ニイ、ニイ、サン。ア、ダメ、落っこちそう。
1年前
何も知らずにただ好奇心のまま冒険者になった
それから1年
仲間ができた
仲間を失った
友ができた
自分をかばって死んだ
自分の手で友を殺した
沢山の人を殺した
沢山の生き物を殺した
歴史を知った
過去を知った
宇宙の広さを知った
思えば遠いところに来たけれど
未だ知らぬことばかり
未知を求めて今日も歩みを続ける
1年前
私たちが生きているこの世界は心のうつし世と言われます。おそらく、人は心の欲する所へ移動するものだからでしよう。この1年で私も大きく変わりました。急に老けてしまった気がいたします。物ごとが大きく変わる境目のことを臨界点と申しますが、社会も私もこの臨界点を通過したようです。人は安定した生活を望みますが、外部からの力で変化を余儀なくされることがあります。思えば、一転して戦争へ向かうことは歴史が教えるところであります。この世は心のうつし世でありますから、心を清らかに、そして明るく保ちたいと肝に銘じました。
1年前に何があったかなんて覚えていない。
それほどボクは苦痛に耐える日々を送っていたから。
内容なんて思い出したくもないから、口には出さない。
本当に、本当にしんどかった。
だけど――
今は、笑ってる。
心の底から笑えるようになった。
これも全部キミのおかげ。
ありがとう。
ボクを救ってくれて。
〜1年前〜
1年前の僕は
自己肯定感なんて1ミリもなくて、
カーテンも窓もドアも
全部閉めて
真っ暗な部屋で布団を被って
縮こまっていた。
だけど、今は
自己肯定感はあまりないけれど、
毎日外に出て
お日様にあたって
毎日楽しく過ごしている。
そうやって過ごせるようになったのは、
半年前に出会った
愛しい君のおかげだね。
だから、僕は今日も君に
『ありがとう』を伝えるよ。
【1年前】
#52
【1年前】
こうして行くあてもなく気の向くままに歩くのはいつぶりだろう。
越してきて1年が経ち、ここにもだいぶ慣れてきているはずなのに1つ小さな路地を曲がったらもう知らない景色だ
『にゃーん』
いつの間にか猫が着いてきていた。
真っ黒な毛に目を奪われるような澄んだ瞳
『おまえも散歩?』
返事をするかのように猫は小さく
「にゃん」と鳴き、僕の横に並んで歩き始めた
朗らかな日差しを感じながら目的もなく彷徨っていると、いつしか広場に出た。
何か遊具があるわけでもない、遊具どころかベンチの1つもない ただ開けた空間
そんな広場に何故かデジャブを感じる。
「チリン」
鈴の音が聞こえた気がして振り返ると
着いてきていたはずの猫がいなくなっていた
風にそよぐ一本の木が目に付く。
半ば引き寄せられるように木へと近づく
あぁ、思い出した。
1年前のあの日も僕はここに来た。
そして今日、導かれるかのようにここに訪れるまで全て忘れていたんだ。
僕は 黒猫も 広場も 樹木も
全部知っていた。
越してきたばかりで入り組んだ住宅街に迷い込んでしまい、困り果てていた僕が偶然見つけた広場。
あの日も僕は黒猫と共にここへ来たんだ。
またこの場所を忘れてしまうかもしれない
でも、きっと大丈夫だという根拠の無い自信がある。
僕が忘れたらまた君が連れてきてくれるでしょう?
「にゃーん」
風に揺られる葉っぱの音に紛れて
猫の鳴き声が聞こえたような気がした。
1年前、噂や印象などであまり好きではなかった先生が担任になった。最初の話し合いの授業では早速怒られ、悪口や陰口に厳しく、問題児が転入し、その問題児が最後の最後に英語の教科担任を泣かしてしまい、担任の先生は即座に謝ってくれた。そのことて怒られていた時は、「自分は関係ない」と思っていて、少し苛立っていた。だが、今考えてみると、先生は、買い出しに連れて行ってくれたり、ほんの小さな悩みでも真剣に考えてくれたり、差別をしないでみんな同じように接してくれたり、とても良く、優しい先生だなと思った。私は、先生のおかげで陰口や悪口をあまり言わなくなったり、悩みがなくなり気が軽くなったような気がする。私は今、先生に「ありがとう」と思えるようになった。
#1年前
「もう、出会って1年も経つんだね」
「まだあとちょっとあるけど」
「もぉ、そんなこと言わないでよ」
「折角思い出に浸る時間作ろうと思ったのに」
「や、いらないその時間」
「なんでそんなこというのーっ」
「今までの俺振り返ってみ?」
「あー、、確実に泣くね」
「そ。だからこの話はやめ」
「ふーん、でもさっ、2人との時間もみんなでの時間も、泣くほど良い1年だったってことでしょ?」
「………まぁ、そういうこと」
ああ、ちょうど転職する為に
就職活動していました
結婚でそれ迄の仕事場が遠くなり
週一で通っていましたが
其れも限界となり
代わりの方も程よく習得されたので
晴れて就職活動へ
歳が歳なので
特殊な技術スキル経験はかなり長いですが
なにぶんまだまだ男性社会な為
なかなか受け入れて貰えませんでした
今の会社が拾ってくださったので
何とか就職出来ました
もうすぐ一年経ちますが
まだまだ勉強が必要だと感じます
感謝です
良かった良かった
#1年前
1年前の今日、僕は事故にあった。
起きた時には全て終わったあとで、僕を轢いた人は捕まっていた。
家族は僕が事故にあったっていうのにいつも通りギスギスしてた。父と母は口喧嘩ばかり。妹はずっとスマホをいじっていた。
ある意味いつも通りと言えばいつも通り。
だけど息子が事故にあったんだからこんな時くらいは喧嘩をやめろよな。そう言ったけど無意味だった。
妹は妹でスマホを弄っていたかと思うと誰かと電話を始める始末。
1年、1年だ。
僕は1年我慢した。それでも何を言っても無駄だった。それならもう僕は諦めるよ。あなた達と家族でいることを。――バイバイ
その日、とある家族の家が火事で焼けた。
その一家の住民で生き残ったのは唯一、1年前に事故にあい、ずっと植物状態のまま病院で眠る息子だけだったそうだ。
季節が巡るごとに、イベントがあるごとに、この部屋は何度も、まるで洋服のように衣装替えをされてきた。
ここで迎える夏も2度目になった。少しくらい家具や色が被ったって文句なんて言いやしないのに、サボり癖のある彼だけど、インテリアに関しては手抜きは無しだ。
1年前、はじめてここで迎えた夏を
時を戻せるのならば一年前の自分に伝えたい
今のわたしは幸福だということを
一年後のわたしも幸福であることを願おう
#1年前