『1件のLINE』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ピコン…僕は1件のLINEの通知で起きた。
「なぁ、今大丈夫?」彰からだった。
「まぁ、寝てたけど大丈夫だよ〜」
「そうか、今から会わないか?」
「いいよー準備するから待ってて」
ん゛ぁ〜彰から誘うの珍しいなぁ…何かあったのか…?其れより、今何時…
時計は夜の10時を指していた。
もう、夜か…夜の10時?!え、僕が寝た時間って……昨日の…3時…朝の3時か…そりゃそうか…さて、準備でもしますかな。
僕の自己紹介をしよう!
身長 167cm!泣きたい!体重は秘密!
名前、夢海雪!女の子っぽいって言われる!
ちゃんと男子高校生だよ!
はぁ、何してんの僕…準備しまーす……
財布持って、スマホに鍵と、水でも持っこう。
───15分後───
僕「お待たせ!こんな時間に珍しいね?」
彰「ん、ネカフェ行こ」
僕「何処へでも着いてくよ〜!」
彰「………あんがと…」
僕「彰さ、何かあった?」
彰「……んー何もない、かも」
僕「彰のかもはだいたい何かあるどうした?」
彰「あんね、親に出てけって言われた。」
僕「え…?ほんと…?」
彰「真面目にお前邪魔だから出てけって…」
僕「はぁー?彰の親最低過ぎ、行くとこあるの?良かったら僕の家泊めてあげるよ?」
彰「んー…しばらくネカフェかなって、たまに雪の家行くかもw」
僕「おいで〜やましい物なんて無いさ〜!」
彰「ははっ、あんがとね、マジで。」
──ネカフェ到着!──
彰「俺、飲み物買ってくるわ。好きなのなかったから、雪何かいる?」
僕「んー…いらなーい!」
彰「うぃ〜」
………いや、本当に彰の親最低過ぎる…彰だって成績学年と全校で1位だったし……意味が分からなすぎる……彰の家どんな感じだっけ?
彰「ただま〜」
僕「おかえり〜そういえば、彰の家ってどんな感じだっけ?そもそも僕行ったことある?」
彰「あ〜雪は呼んだことねぇかも。親と会ったことある奴しか呼べなくてさぁ」
僕「そうだっけ?」
彰「意味不ルールだろwマジでキモイ…」
僕「……ところでさ!何観るー?するー?」
彰「あ、このゲーム親に売り飛ばされた奴じゃん、これやろうぜ!」
僕「いいよ〜これ初めてなんだけど?ねぇ、僕不利じゃない!?ねぇ、彰?!」
彰「はははっ、俺もあんまやってねぇって!」
───結構遊んだ───
僕「やってないって…やってないって言ったじゃん!!20連敗2勝なんだけど!?」
彰「何か上手く行ったわww」
僕「…へっぐし!あぁ…くしゃみ…」
彰「雪ってくしゃみの余韻おもしれぇよなぁ」
僕「そう?てかさ、映画観ない?」
彰「いいね、じゃあこのワン〇ースのR〇Dでも観るか〜」
みんな、びっくりするかもだけど中盤で息絶えてしまったよ……起きたら朝の9時だったよ…
………彰が居ない…何処行ったのあの人!
ピコン
お、LINEだ。
「雪の家の前だから早く来いよ〜」
「は?え?せめて起こしてよぉぉぉ!」
「映画中盤で退場したくせに〜」
「………すぐ行くから待ってて」
──20分後──
彰「おせーぞ」
僕「はぁはぁ…しばらくネカフェって言ってたじゃんか……」
彰「雪の家来てみたかったんだよ」
僕「そうか、そうか…ではご開帳〜ただいま〜、お母さーん彰しばらく泊めていい?……………出張なの忘れてた…」
彰「馬鹿すぎw」
僕「まぁまぁまぁ、リビングでゆっくりしてて〜」
お母さんそう言えば、家出る時いなかったわ…今が、夏休み期間で良かったよ…彰学校どうすんだろ?1回、2階行ってカレンダー見てこよ〜
……2階暑っ!夏休みは後、8週間もあるのか。
お母さんは明日帰ってくる、住ませるか、彰。
僕「彰〜提案があるんだけどさ〜…彰ー?」
彰「んぁ?はい?何ー?」
僕「僕の家に住みなよ!」
彰「はぁ?お前、母親1人だろ?迷惑かけらんねぇって…部屋とかも色々あるし…」
僕「大丈夫!部屋なら幾らでもあるよ!此処見かけによらず豪邸さ!」
彰「ならいいんだけどさ…」
僕「お母さんは明日帰ってくるよ〜」
────お母さんに説明した後────
いやぁ、良かった良かった…僕の我儘を聞いてくれて…昨日からずっと、彰が日記付けてるけど…どうしたんだろう?
──夏休みが終わったよ──
僕「彰〜起きて〜遅れちゃうよ」
彰「ん〜今何時〜」
僕「7時半!」
彰「はぁ!?もっと早く起こせや!」
僕「嘘だよ、6時半だわ!早く起こしてあげたから早く準備してね」
彰「お、おう…嘘かよ…」
────学校始まったよ────
僕「君達、彰を虐めるな!彰だって事情があるの!」
彰「雪、いいよ…ほっとこう…」
僕「ほっとけないよ!」
男子生徒A「何お前?彰クンのお友達〜?ちっちゃいね、可愛いね?お名前は?」
僕「僕はちっちゃくない!!」
彰「雪、いいよ」
ドカッ
僕「え…?痛い…?」
男子生徒A「あぁ〜当たっちゃった〜wごめんね〜www」
彰「は…?お前ら人殴っといてそれかよ?最低だな!帰るぞ雪!」
僕「う、うん」
────サボりで帰った────
お母さん「アンタらどうしたの?まだ、学校じゃない。」
僕「お母さん、学校さ、家庭教師じゃダメかな…?僕殴られちゃった。」
彰「すいません、俺が弱いから。」
お母さん「そう、いいわよ、ごめんね、先生にも伝えとくわね。」
あーあ、僕が挑発に乗っちゃったから…彰もお母さんも悲しませてしまった。彰は悪くないのにな。
ピコン
あ、LINEだ。
「雪」
「何?」
「ごめん、楽しかった、ありがとう」
「何が?ねぇ?彰!」
「今どこ!」
「2階、家庭教師と一緒に勉強したかった」
僕は嫌な予感がした。
彰が書いていた日記もずっと暗い顔したのも嫌な事を思い出して僕は泣いていた。ごめん、気付けなくて、彰は謝らないで、お願いだから。
僕「彰!」
彰「雪、ごめん、ごめんね。俺、どうすればいいかわかんなくなった…」
僕「死ぬなんて考えないでよ、彰…僕は彰とまた一緒に遊びたいよ。彰が謝る必要だってないよ……気付けなくてごめんね、ごめん。ごめんしか言えないよ僕!!」
彰「……………俺、死ねねぇよ、死にたくねぇよ!でも、このままだったら俺迷惑かける。」
僕「馬鹿!死ぬほうが迷惑かけるだろ!!」
彰「ごめん、俺、え、あっ」
僕「彰!」
ドンッ
救急車の音がする。彰は彰は無事かな?
目が覚めたら病院だった。僕はすぐ完治したけど、彰はまだかかるみたい。命に別状はなくて良かった。
僕は家に帰って彰が書いていた日記を読んだ。
8月9日
学校が明日から始まる。俺にとっては憂鬱だけど、雪が居るから頑張れる。本当に迷惑かけてる。ありがとう。
8月10日
雪が殴られた。俺が弱いせいだ。俺が虐められる位弱いから。雪の母さん、雪ごめん。そしてありがとう。
8月11日
俺は今日死のうと思う。迷惑はもう掛けられない。今、雪にLINEをした。雪と一緒に勉強したかったな。雪今までありがとう。
僕は泣いていた。ずっと、ずっと。
彰が完治したのでまた日記を書き始めた。
9月2日
雪、ありがとう。俺は明日も明後日も来年も生きていこうと思う。お前が居てくれて良かった
貴方は大切な人の為に命を落としてたまで助けようと出来ますか?
実は彰が死んで雪の守護霊にする予定でしたが変えました。
彰:あきら 夢海雪:むかいゆき
何処:どこ 此処:ここ
実在する人物とは関係ありません。
◤◢◤◢⚠️注意⚠️◤◢◤◢
私の作品は男の子がメインです。
なので、微BL展開やもろBL展開やんけって言う事があるかもしれません。
なってしまった時は1番上に書いておきます。
私も持っていかないように頑張ります。
初めましての方こんにちは。
よかったら他の作品も見ていってね。
長いけどごめんね。見てくれてありがとう。
掌の上 ふたりだけの 小さな秘密基地
言葉に音はなくて それだけで充分で
既読の二文字 付かないLINE 何度も確かめる
付くはずないよ 解ってた 溜め息で曇った画面
虹色侍&晋平太&ゆゆうたさんの
「LINE」という神曲がある
心に響く歌詞と歌声、
メロディラインも演奏も完璧で。
即興で作ったとは思えない完成度。
この曲に逢わせてくれてありがとう!
好きすぎる歌詞を抜粋。
※※
押せない 解せない
君掴むための最適解
※※
「待ち合わせに遅れる」
そんなLINEならいつでも送れるけど
「君との待ち合わせは遅れない」
ってLINEはできない
※※
親指からはじまる
君へのストーリー
#1件のLINE
好きな人とか、嫌いな人とかどっちか分からないけど、好きな人からだといいなって少し期待してしまう。でも、期待するのは当たり前だからずっと期待しておこう。でも期待しすぎるとやっぱり絶望するから、丁度いい感じで期待しよう。
遠い記憶…私がまだスリープする前の記憶…。
人間は、LINEと言うアプリを使っていた。
連絡手段だそうだ。
私の中にも、LINEのアプリがインストールされていた。
ほとんど破損して修復出来ない状態だった。
でも、1件のLINEがあった。
「生 き て」
世の中、本当に生きづらい世の中でございます。
えー、数多くある小噺のなかで、『一件のLINE』というものがございます。
これは現代落語といわれる、ごく最近作られた噺でございます。
まあ、LINEというのは、皆様もご存じの通り、ぽつ、ぽつ、と小雨のような短文をこう、相手に送りまして、相手のほうも、
「おっ、来たかあ」
と気づき、送り返してくるという、連絡ツールといいますか、まあそういうものになります。
いやもう、生きづらい世の中の中で唯一と言っていいほど進化したものでございます。
昭和のころは文通とか、もっと昔では電報という、電報……、最近の若者はわかりますかね、
「チチキトクスクカエレ」「サクラサク」など代表的なものがありますが。もはや古典落語でしょう。
「チチキトクスクカエレ」というのは、これはわかりやすいですね。
父が危篤であぶないから、今すぐにでも実家に帰ってきなさい、という緊急性を伝える慶弔電報。
では「サクラサク」というのは?
開花宣言……電報で?
と思うかもしれませんが違いますよ。桜が咲くのは春先、つまり学生の合格発表を意味するんですね。
そんな感じで当時では最も速達性に優れた情報伝達ツールですが、もうちょっと笑えてきますね。ダイイングメッセージみたいな感じじゃないですか。
しかも、「スグカエレ」じゃなくて「スク」ですよ。
濁点が使えなかったんですからね。
文字数に応じて金額が決まってきますから、必要最低限の文字数で内容を伝えようと短くする。そうなると濁点なんて使えるものか! と我慢すると。ケチなものです一文字なんてそんな! ――と。
まあでも、了解のことを「り」とかで送ることがあったとかないとか……。
それを考えると昔の人をバカにできなくなりましたね。本当に生きづらい世の中になりました。
それで昨今の、なんといいますか、Z世代とでもいえばいいんですかね。
そのようなキッズが、ある日押入れの奥から電報の紙を見つけまして。
これが忘れ去られたように保管してあったわけですよ。
「けほっ、けほっ。な、何だこれえ、古びた紙だなあ、ばっちいぞお」
と物珍し気に目を凝らしてみますと、なにやらダイイングメッセージみたいなものが書かれている。
これを見て、好奇心が刺激されたんでしょう。
三度の飯より好きなスマホを使って、解読することにしたのです。
まずはGoogleレンズ。
ご存じですか、すごいですよねぇ。
自動読み取り機能があるので、かざせば自動で読み取ってくれる。
最近のキッズは自分で文字を打たないんです。
全部機械。全部スマホ。
でも、古びた紙ですし、よくある黒いシミだらけですから機械の目では無理な話です。
「あれー、おかしいぞー。いつもならこれで、宿題を、終わらせられるのに」
とか言って、悪戦苦闘するんですが、読み取ってくれないポンコツなので、写真に撮ってLINEで友達に送ることにしたのです。
※アプリが重くなったので残念ながら終了。
『一件のLINE』という現代落語はありません。
【1件のLINE】
普段自分のスマホはならない
決して友達がいない訳では無い
ただならないだけ…うん
珍しくLINEがきたことを知らせる音が鳴った
すぐさま飛びつき
わくわくしながらスマホを覗く
そこにいたのは公式LINE
同じ音がどこかで聞こえて
そのたびに画面を開いて
まだかなって待ち続けて
違ったなってため息吐いて
あたしの感情は
揺さぶられてるのに
このスマホは
少しも振動しない
駆け引きなんてできないよ
きみの いま が 知りたい
【1件のLINE】
こういうお題に[LINE]って単語が選ばれたことに
正直少し驚いている。
手紙、ポケベルのメッセージ、携帯電話のメール…
その時代を表す連絡手段の一つとして
もうLINEは確立されてるんだな。
LINEなぁ…
いつも軽いやりとりで
あっちの都合だけで来るから
こちらも待つしかしなかった
面白くないからゆっくり会話を引き延ばしてたんだ
仕事も頼んで修正作業をひたすらやらせた
それがある日音沙汰すらなくなったから
慌ててルールを捻じ曲げた
あっちからの『1件のLINE』を貰うために
その、なんだ
かなり本気で探り出して、越境したな
連絡は知ってる手段で何度も送った
家にも行って話も聞いた
前と同じで飯が食えなくて眠れもしてないってな
それで思ったんだが、
理由、…これじゃないか?
わたしが夜中に目が覚めてスマホの通知を見ると1件のらいんがきていた
それは「おやすみ」
わたしはその1件だけでもうれしかった朝おきたときには元気よく「おはよ!!」って言おうと思う
「1件のLINE」
待って待って、デートのお誘い既読にしちゃった!
瞬速で返信。突如にして始まるファッションショー。
【1件のメッセージ】
coming soon !
たった1件LINEが届いただけで、何かが変わるような気がしてわくわくできるから不思議だ。
1件のLINE
作品No.102【2024/07/11 テーマ:1件のLINE】
赤いバッジは、未読メッセージがあるという表示だ。〝1〟を表示したまま、アプリアイコンの右上に鎮座している。私はずっと、その一件のメッセージを読めていない。
それは、今も同じ職場でそれなりに頼りにしている先輩からの謝罪メッセージなのだけれど、私はずっとそれを開いていない。だからずっと、そのバッジは付いたままだ。もう、五年くらいになるのだろうか。
ここまで来たらもう、読まなくても構わないかと、開かなくてもいいかと、そう思っている。何よりも、あの一連の出来事を思い出したくないのだから。
これからもきっと、赤いバッジの〝1〟は、そこに居続けるのだろう。
─1件のLINE─
相棒と、喧嘩した。
その相棒ってのは一緒にシェアハウスしている、俺の中で一番仲の良い奴だった。
喧嘩のきっかけは些細なことだったと思う。
そこで謝ればいかったものの、ムカついてたせいか昔のミスを指摘したんだ。
そこから段々エスカレートしてって、今までで一番大きな喧嘩になった。
自分でも、過去の話を持ち出すなんてださいって分かってた。
でも、疲れが溜まってたんだと思う。俺も、あいつも。
それから3日間、相棒は帰ってこなかった。
流石に心配になって、ずっと無視していたLINEを見た。
そこには「3日前:世界一の相棒!からの1件の通知」と示されていた。
嗚呼…たしかふざけてこんな名前にしたんだっけ。
そんなことを考えながら、その1件のLINEを見る。
そこには「○○病院 305号室」とだけ残されていた。
俺は嫌な予感がして、急いでその病院へ向かった。
一瞬、なにかの悪戯なんかじゃないかと思った。
305号室。3月5日と捉えると、俺の誕生日だった。
だから、やり返すためのドッキリだと、何処かで信じていた。
しかし現実は残酷で、そんな理想は呆気なく壊された。
病室にはベッドに横たわって、管がたくさんついた相棒の姿。
見ているだけで痛々しい相棒の姿を見て、俺は後悔した。
なにも出来ずに突っ立っていると、医師らしき人が入ってきて、
一瞬驚いた様子をしながら、別室に案内された。
相棒は、3日前。つまり、喧嘩した日に、事故にあったと。
なんでも、手にはコンビニの袋を持っていたからコンビニ帰りらしい。
「その袋を一応」と渡されたが、その中には俺と相棒が好きなアイスが1本ずつ入っていた。
同じ袋には手紙も入っていて、「ごめんな 世界一の相棒へ」と書いてあった。
「はい」の2文字を送るために要した苦悩の合計は、
「いいえ」の3文字のそれらよりもきっと多いだろう。
断ることはあまりにも簡単だ。
1件のLINE
芸能人が個人的に送りあった内容が
週刊誌にバレるのはどうしてですか
どちらかの人が情報を売ったのか
身近な人がこっそり覗き見たのか
それとも第三者がお金を出せば
情報をあぶり出せる誰かがいるのか
まあ自分がLINEやらない理由は
チャットのようなやり取りが面倒だから
つまり今のところ
1件のLINEすら受け取ったことは無い
今までで一番親しみの無いお題だ(笑)。
ごめんなさい、LINEやってないんですー。
END
「1件のLINE」
1件のLINEが届いた。
通知マークの隣には、馴染のある名前とアイコンが並んでいる。
上得意様からのご依頼だ。
今回の荷物は、小包。
以前の依頼の時も小包だった。
…小包が好きな御仁だ。
荷物の場所は、いつも通り。
ハイハイ。あそこですね。了解です。
お届け先は…研究所?
初めての場所だ。後でよく調べなくては。
お届け日は、明日の10時?
珍しい。いつもは当日の夜とかぬかす御仁のくせに、なかなか常識の範囲ではないか。
以前、休日出勤の夜間配達が度重なった際に送った、値上げの要求LINEが功を奏したのかもしれない。
当時は怒りのまま「友情割ならぬ、友情増しを要求します」と、皮肉な文面を送りつけたのだが──
「友情増しの有償増しですね。金で買うお友達とは、実にディストピア感溢れてよろしいですね」
皮肉に皮肉を重ねられて、余計に腹が立ったのは未だに記憶に新しい。
厄介な客ではあるが、届け先の人物たちは興味深いものがある。
学生カップル、海に佇む男性、遠距離恋愛のカップル、傘を忘れた女性…。
それぞれ個性があって面白い。
今回のお届け先である研究所の受取人は、どんな人物だろうか。
受取人の名前は、男性の名前が記されている。
研究所+白衣+男性=博士=おじいさんという連想の等式が浮かんだのだが、実際はどうなのだろうか。
俺は、上得意様に了承のLINEを返すとマップのアプリを開き、研究所の場所を検索することにした。
教えたはずがないのに
突然アイツからLINEがきた。
「次の活動はいつ?(^ー^)」
既読にしてしまった自分を恨んだ。
この前、思わぬところでアイツと遭遇した。
大概、制服姿しかお互いに知らないから、てっきり、からかわれるかと思ったのに。
アイツは、割と本気だったんだとLINEの文面を見て首肯した。
『推し活』
「ホントに、興味があるのね…。」
なんとなく複雑なのは、なぜなのか。
聖地巡業に同行させたら、予想外の失言に雰囲気を壊されるかもしれないから?
いやいや
アイツだって仮にも同じ文藝部だし、文豪を貶めるようなことを云うだろうか?
私はハッとした。
アイツが原因じゃなくて、私に原因があるとしたら?
焦がれた殿方の軌跡を辿る、その道中に同行するにふさわしいと、私が納得していないのではないのか?
推しが崇高すぎて、無意識に人選までするなんて、なんて傲慢なんだろう…。
当たらずとも遠からずな推察に、私は唇をへの字に結んだ。
「貴方たちにはちゃんとお相手が居て、私は同じ時代に生まれなかっただけなのに…」
私は、何度も読み込んで擦りきれた文庫本を撫でた。
もうすぐ、彼の命日だ。
アイツは、彼の作品をどこまで読んだことがあるだろうか。
「まぁ、訊いてみるか」
私は誰にともなく呟き、アプリを起動させた。
#1件のLINE