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1件のLINEが届いた。

通知マークの隣には、馴染のある名前とアイコンが並んでいる。

上得意様からのご依頼だ。

今回の荷物は、小包。
以前の依頼の時も小包だった。
…小包が好きな御仁だ。

荷物の場所は、いつも通り。
ハイハイ。あそこですね。了解です。

お届け先は…研究所?
初めての場所だ。後でよく調べなくては。

お届け日は、明日の10時?
珍しい。いつもは当日の夜とかぬかす御仁のくせに、なかなか常識の範囲ではないか。
以前、休日出勤の夜間配達が度重なった際に送った、値上げの要求LINEが功を奏したのかもしれない。

当時は怒りのまま「友情割ならぬ、友情増しを要求します」と、皮肉な文面を送りつけたのだが──

「友情増しの有償増しですね。金で買うお友達とは、実にディストピア感溢れてよろしいですね」
皮肉に皮肉を重ねられて、余計に腹が立ったのは未だに記憶に新しい。

厄介な客ではあるが、届け先の人物たちは興味深いものがある。

学生カップル、海に佇む男性、遠距離恋愛のカップル、傘を忘れた女性…。
それぞれ個性があって面白い。
今回のお届け先である研究所の受取人は、どんな人物だろうか。
受取人の名前は、男性の名前が記されている。

研究所+白衣+男性=博士=おじいさんという連想の等式が浮かんだのだが、実際はどうなのだろうか。

俺は、上得意様に了承のLINEを返すとマップのアプリを開き、研究所の場所を検索することにした。

7/11/2024, 2:14:58 PM