『鳥のように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
鳥のように優雅に飛べたらな、と思うけど、
某錬金術師の漫画の、骨スッカスカでクソ垂れ流しだけどそれでもか?という話を思い出す。
それは……なんか嫌だ、と子供心ながら思ってたな。
#鳥のように
空を自由に飛んでみたい
自分の翼を使って鳥のように
風を感じて、己の思うがまま
誰のせいにもしない、自分の覚悟のもとに
自由に飛んでいく
〖鳥のようなに〗
鳥のようなに空を自由に飛べたのなら...
好きな人の所へ、好きな場所へ自分の翼で飛んでいけたなら...
誰しもが、一度は夢見たであろうこの願い。
私にもそんな事を願っていた次期があった。
ただ1つだけこの願いに反する願いがある...
虫は食べたくない...
[END]
もし空が飛べたなら、こんな息苦しい街、見下ろしてげらげら笑えたのに。
もし嘴があったなら、自分の鈍った心なんて、一突きでしゃっきりさせたのに。
飛べないあの鳥だって、強くありさえすれば高らかに愉しげに謳えるのだ。
鳥という生き物の美しさはなんだろう。鳥という生き物の気高さはなんだろう。
‥不思議だ。鳥なんて嫌いだったのに。
鳥って、私にとってなんなんだろう。
お題
『 鳥のように 』
鳥のように飛べればいいのにな
鳥のように優雅に生きられたらいいのにな
鳥のように、鳥のように、、、
私は鳥の何を知っているのだろう
言葉が通じないだけで同じなのかな…?
鳥にも学校があるのかな…?職場があるのかな…?
鳥のように…鳥のように…
飛んでみたいな
鳥のように、広大な空を駆け巡ってみたい…という、密かな夢、欲望があったりする。
「君はいいね
私も君みたいに自由になりたいよ」
君は僕によくそう話す
「鳥のように自由に空を飛べたらいいな」
人間は鳥を自由だと言う
でも鳥にだって悩みはあるものだ
小さい鳥には大きい鳥という天敵がいるし
大きい鳥には君たち人間という天敵がいる
その悩みを話せる言葉や
これを悩みだと認識する機能がないだけで
鳥だって自由じゃない
人間のように地を歩けたら
人間のように話すことができたら
人間のように何かに怯えることなく生きられたら
君が誰かを羨ましく思うように
誰かも君を羨ましく思っている
他の人間と笑ったり泣いたり怒ったり
ふざけ合ったり喧嘩したり愛し合ったり
その気持ちを表すことができる
人間って素晴らしいじゃないか
僕も人間だったら
君にこの想いを伝えることができるのに
あー人間っていいじゃないか
彼女
「鳥になってみたいな」
彼女は長い黒髪を緑風になびかせながら言った。
絵画のようだと思った。
私は鳥よりも、鳥になりたいと自由を願う、真っ直ぐな目を持った彼女に憧れた。
鳥のように。鳥のように自由に生きたい。いっそ貝に生まれたかった。別の生き物になりたい、そう生まれたかったという願望は誰もが一度は持ったことがあるだろう。
進撃の巨人でも主人公が鳥に生まれ変わったみたいな描写があったような。あの鳥がなんなのかは作者のみ知るのなのかどっかのインタビューとかで答えてるのか。どっちだろ。
まぁなんにせよ他の生き物を羨むほど人間の生というのはくそだということだ。俺は他の生き物に生まれ変わるよかさっさと死んで無になりたい。
短いけどお題はこれで終わりにしよう。しかし最近暑いな。残暑と呼ぶにはあまりにも暑すぎる。普通に夏の暑さだろこれは。直射日光は収まった気がするけど。
昨日はあまりにも暑すぎて結局不動産屋に電話してエアコンをどうにかしてもらうことにした。こんなことならもっと早くに電話しておけばよかったな。
エアコンを買い替えることにしたけどどこで買ってなにをすればいいかわからないから不動産屋に投げることにした。
自分で買ったり手続きするより高くつくだろうけどエアコン専用コンセントの工事やら色々と面倒だったからな。
てかエアコンは調べても結局合計でいくらになるのかがわからんかった。工事やらエアコンの設置代金にリサイクル。なにがなにやら。
結局わからんからお願いして不動産屋とつながりのある業者に全部任せるのが一番だというのが結論だった。代償としてお金は結構飛ぶけど。
しかし電話に限った話じゃないけど人と話すのって苦手だわ。昨日の電話はちょっと段取りが悪くて用件をうまく伝えられなかった。
おかげで不動産屋にちょっと機嫌悪そうに返された。その後訂正して話は普通に進んだけど少し嫌な気分になった。
俺の言い方がちょっとつたなかったのは事実だけど不動産屋もなんかちょっともう少し別の対応があったんじゃないかと思ってしまう。
そもそも俺の話し方がうまければ起こらなかった話ではあるんだけどね。話上手になりたいわ。
『鳥のように』
鳥のようになれたら
どれだけの仲間に会えるのだろうか。
今、小学 中学 高校 大学 大学院という道を
進んだと言うのならば
どれだけの仲間に出会う事が出来たのだろうか。
鳥は大人になって
この世からいなくなるまで人間と似たような
道を進んで行くのだろうか。
まるで鳥はそんな道を一切知らない。
その中で私達が生まれた。
私は鳥のようになりたいとならない、
仲間が居なくなっていまうからという
恐怖が心の底からこみ上げて来る。
鳥はそれぞれいろんな羽の大きさ小ささ
体の大きさ小ささがある。
それは人間もおんなじ、
だけど人間は絶対、羽だけは要らない。
なぜかって?それは羽が生えたとしても
飛べないんだから。
だって私は鳥なんかじゃない、人間だから。
鳥のように空を飛べたら…
誰もが一度はそんな夢を抱いたことがあるのではないだろうか。
かの有名なライト兄弟は、そんな人々の夢を叶え、初めて空に飛び立った。
今はパラシュートやパラグライダーなど、まるで鳥のように風を切り滑空できるものがたくさんある。
しかし、一番身近なのは “空想” ではないだろうか。
目を瞑り、思い浮かべてみる。
青くて広い空。
キラキラと光る大陽、そして海。
つかむことが出来ない雲の間をすり抜け、
気分は最高潮!
重力までもが空想によって操られ、よりスリルさが増して行く。
人は無意識のうちに、このような空を飛ぶ夢を見る。
自由を求める、
向上心、
現状からの脱却、
夢診断では、上記のような心理状態の時にそんな夢を見るらしい。
自分を鳥に置換え、夢の中だけでも自由を味わい、高みを目指したいのだろうか。
#118 ないものねだり
空を飛ぶ
鳥のように
自由になりたい
君は言う
空を飛ぶ
翼の代わりに
僕らには
自由を掴む
この手があるのに
お題「鳥のように」
鳥のように、どこか遠くへ行きたいとは思わない。
だって、私には羽はあっても羽ばたけないんだから。
鳥のように
深い深い森の中
声を響かせてみる
君に届くかな
「鳥のように翔んでみたい?」
彼は僕の口ずさんでいた歌の一節を聞き咎めた。
「何かおかしいかい?」
「あれは生きるために“飛んで”るのさ。僕らが勉学のために筆を取り、金のためにあくせく働いているのと何ら変わりない。それを自由を謳歌しているかのように捉えるなんてどうかしているよ」
「君には──」僕は肩をすくめて言った。「情緒ってものがないのかい」
「人びとがなりたいと思っている鳥だって、そんなもの感じないだろう」彼は嘲るように言う。
僕はまた口を開いた。
「人間だからこそ翼のある鳥に憧れるんだろう」
「憧れ?」
「そうだよ。私生活が煩わしくなったとき、空を無責任に舞うことを魅力に感じない人間はいないんじゃないかな」
僕の言葉に「そう、人間だ」と彼はつぶやいた。
「僕らはどこまで行っても人間なんだ。決して鳥にはなれない」
「だからこれは願望で、」
「皆、そんなに地上が嫌いなら、人間らしく機械を使って重力への反発に挑戦すべきなんだよ」
彼の態度は頑なだった。僕はあきれたように笑う。
「君の現実主義には負けるね。しかし僕は議論ではなくて、ささやかな雑談を楽しみたかっただけなんだ」
彼は呆気にとられたような顔をした。
「すまない」
しおらしい声でぽつりと謝罪するなり、表情がみるみる陰っていく。「病は、豊潤な想像力をも蝕むらしい」
僕は枯枝のような彼の腕と、食物を直接胃に運ぶための細いチューブを見た。これが彼を生かす生命線なのだ。
人間らしさとは、今となっては彼がもっとも渇望するものだった。
「いや、いいんだ」僕はそれ以上の言葉が出なかった。
彼は病室のベッドに背中を預けたまま、窓の向こうを見つめている。一羽の鳥が羽ばたき、天高く翔びあがったところだった。
▼鳥のように
「生まれ変わったら鳥になりたい」
彼女はそう言った。
私は「何故?空が飛べるから?」と聞くと
「それもあるけど、鳥って水陸空全てに対応出来るのよ。すごいじゃない」
と答えた。
彼女は今鳥になって何処かを飛んでいるのだろうか。はたまた水の上を泳いでいるのか。
***
昔から少し変わった人だった。
初めての出会いは小学5年生の頃。同じクラスになったのがキッカケだった。
彼女は学校でも噂の人物だった。良くも悪くも目立つ。そんな印象の女の子。
艶やかな黒髪を腰まで伸ばし、いつも1本の三つ編みにして束ねていた。髪に飾りは付けず、前髪は目の上でのぱっつん。
色白で目鼻立ちがしっかりしていて、大きな瞳は薄青い色をしていて余計に映える。
華奢な体躯、スレンダーな手足。整った容姿と浮世離れの存在感を放つ、まるでお人形の様なその少女を大人達は可愛いと持て囃し、子供達は怖い気持ち悪いと距離を置いた。
子供からすると自分とは違う存在というだけで恐ろしく、除け者の対象にするには充分だった。
私が初めて同じクラスになった時も、彼女は1人席で本を読んでいた。
噂には聞いていた。同じ学年にハーフの綺麗な女の子が居ると。
学校行事などで遠目から顔を見る事はあっても、話をした事は無かった。廊下で会う事も、放課後外で会う事も無かった。
朝は一番に登校し、帰りも授業が終わるとすぐ帰る。
私は朝遅刻ギリギリに登校し、帰りは友達と遊び暗くなってから帰っていた。そんな私と彼女が出会うはずは無かった。
しかし出会ってしまった。
なり出席番号順の席で隣通しになった私と彼女が打ち解けるのに、そう時間は掛からなかった。
不思議だった。彼女と自分が合う事など無いと思っていたから。私にとっての彼女は、遠くから眺める綺麗な物。ショーウィンドウに飾られた人形と同等のような存在だったから。
自分が彼女と話をする事など、まして隣に居ることなど夢にも思わなかった。それくらい私にとっての彼女は憧れであり、崇高的な存在だったのだ。
同い年の綺麗な少女。お人形の様に整った美しい容姿。それでいて飾らない服装が、当時の私には輝いて見えた。
***
彼女と仲良くなりその後中高を経て大学に進学する頃には、すっかり綺麗な大人の女性へと変わっていた。
私はそんな彼女の隣にまだ居られる事がとても嬉しかった。
彼女と長く過ごせば過ごす程彼女のことがわかり、同時に彼女の事がわからなくなった。
昔から変わった人だった。
集団行動は苦手。兎に角マイペースで、センスが人とズレていた。こういう人間が新しい物を生み出すのかもしれないと思ったりもしたが、何にでも牛乳を入れる食べ方だけはどうしても受け入れられなかった。
他人と同じ事をするのが苦手、集中して話を聞くのが苦手。授業中は常に何か別の事をしていた。私が何故授業を聞かないのかと尋ねると「他の考える事が忙しい」と答えた。
他の事をしていても授業の邪魔をしないからか、次第に教師も何も言わなくなった。勉強は学年でも上位に入る秀才だった。
その代わりなのか運動は全く出来ず、体育の評価だけはいつも酷かった。よく転び、よくぶつかるので、怪我の絶えない子供だった。大人になてもこれは変わらなかった。
着飾らない理由はオシャレがわからないからだった。毎日同じ髪型に似た様な黒い服を着ていたのもそれが理由だったらしい。「お母さんが選んでくれないの?」と尋ねたら「お母さんもお父さんも居ないから」と返ってきた。年配の祖父母と3人暮らしなのだと、その時初めて知った。
「中高は制服があるから楽だったのに」
そう文句を言う彼女に私が服を選んだ。大人になっても人形の様に美しい彼女を、リアル着せ替え人形だと思いながら私は彼女に着て欲しい服をたくさん選んだ。彼女には何を着せても似合うので私は楽しかった。彼女は「似合うの感覚はよくわからないけど、この服は可愛いと思うわ」と答えてくれた。
私はそれだけで満足だった。
***
それは大学2年生の秋だった。
来年からは就活が忙しくなるが、合間を見て旅行に行きたいねと話をしていた時のこと。
彼女がふと「生まれ変わったら何になりたい?」と聞いてきた。
「唐突だね」と答える私に「人生において唐突に始まらない物などないのよ」と返す彼女は、やはり変わっていて文学的な思考の彼女の将来が私は楽しみだった。
何故なら、彼女の書き溜めた小説はどれも面白くお世辞抜きで今すぐにでも作家になれそうな実力があったから。
しかし、彼女はその原稿をただ溜める事しかしなかった。「その時が来たら本になるわ」とだけ言い、封筒に入れて保管していた。
生まれ変わったら何になりたいかという質問に「人間」と答えるのは野暮だろうか。私はこの質問が苦手だ。生まれ変わった先など自分では無くなるのだからどうでも良いというのが本音だ。それをありのまま彼女に伝えると「貴女らしいわ」と返っ惹かれたのよ」
その言葉に、私は思わず照れてしまう。私も彼女のそういう飾らない言葉を紡いでくれる所に惹かれたのだと、言えたら良かった。
「私は生まれ変わったら鳥になりたいの」
「鳥?」
「そうよ、鳥。鳥と一口に言っても色々あるけれど、私は渡り鳥になりたい。季節と共に国を縦断するのよ。きっととてつもなく大変な旅路だと思うわ。だけど、その土地それぞれの空気を味わえて、世界を見られるって素敵だと思わない?」
私からすると、そんな考えを持つ彼女自身が素敵だと思うのだが、彼女は自分自身を魅力的だと思わないので、何を言っても響かなかった。
「鳥ってね、すごいのよ。水陸空全てに対応しているの。空も飛べて、水の中も泳げて、陸も歩ける。すごい事よ、これは。渡り鳥なんかはこれが顕著に現れている。だから、私は鳥になりたいの。いえ…なるのわ。生まれ変わって鳥になるわ」
なら本当にそうなってしまいそうな気がした。
「素敵だね」と私が言うと「そうでしょう?」と言って微笑んだ。
「生まれ変わったら、貴女に会いに行くわ。必ず。約束する」
そう言って彼女は小指を立てる。私は彼女の小指に自分の小指を絡めた。
「私は…もうあと数年も生きないわ」
「何故そんな事言うの?」
「わかるのよ。だけど、渡り鳥になって毎年貴女の元へ会いに行く。だから、忘れないでね。私の事。私が貴女をどれだけ大事に想っているかって事」
彼女が言うと冗談も本気に聞こえてくる。いや、彼女は冗談など言わないのだ。いつだって本気で、本当の事しか言わない。だから、きっと彼女は本当に数年後にこの世には居ないし、渡り鳥になって私の元へと来てくれるのだろう。
馬鹿げた話だと思われるかもしれないが、本当にそうなのだ。
私はその日彼女と指切りをした。生まれ変わった彼女と再会する事を。
***
約束から3年後…卒業して1年足らずで、彼女はこの世を去った。
彼女を育ててくれた祖父母は既に他界、身内の居ない彼女の代わりに私が葬儀から埋葬まで全てを行った。
生前彼女から託されていた事だ。いつの間に預けていたのか、弁護士に託した遺言書まであり、私の手元には彼女の残した財産の全てが移った。
財産と言っても金銭いう意味では殆ど残っていない。彼女の葬儀と埋葬代、学費の為に借りていた奨学金の返済等々、彼女に関わる金銭関連は彼女の貯金で全て賄われた。それだけの額を貯めていたのだ。やはり彼女は自分の死期を悟っていたのかもしれない。
死因は事故死とされている。自殺が事故か判断できかねぬ状況だった為だ。しかし、自殺と断定する手掛かりも遺書などの証拠も無かった為、事故として処理された。
真相は彼女だけが知っている。
彼女の遺言に則り、私は彼女の死後彼女が書いた全ての小説を持って出版社へと向かった。
やはり私の目に狂いはなく、本となり出版され人気を博している。全部を一気に書籍化では無く、1本ずつ出版していくので暫くは彼女の本が書店に並び続けるだろう。
そして人々は渇望し嘆く筈だ。これだけ面白い作品を世に放っているのに、新しい作品はもう生まれないという事実に。
何故なら私がその1人だからだ。
***
彼女の死後、私はこの自伝を書き連ねている。
いつか彼女の書き溜めた小説が全て出版し終わった際の留め本として出版予定だ。それも彼女の遺言である。
「貴女の言葉で私を記して」
遺言書の文末にそう書いてあった。それだけで、彼女が何を求めているのか、私にはわかった。それ程私は彼女と深い仲になれたのだ。
憧れのショーウィンドウに飾られた綺麗なお人形の様な存在だった彼女は、いつの間にか私の横で笑うたった一人の大事な親友となり、渡り鳥になって消えた。
私は彼女が好きだった。
それが親愛なのか友愛なのか恋愛的な意味を孕むのか。最早確かめる術も無い。
今年も渡り鳥がやってくる。
また彼女が会いにきてくれる。
#渡り鳥【鳥のように】
私が鳥だったら、すぐに飛んでいけるのになあ。
先月電話をした時、アイツはそんなことを言っていた。俺はそれに対して、何馬鹿なこと言ってんだよ、と言った気がする。その後鼻で笑ったと思う。鳥になって飛んでいくだなんて。そんな夢見がちなセリフ、今どき学生でも言わないんじゃないのか。
あれからアイツからの電話がかかってこない。月に最低でも3回程はかかってくるのに。今月は来週で終わろうとしているが、今のところ1度もアイツからの着信はない。最初のうちは特に気にもとめず、アイツも社会人なのだから忙しいんだろうぐらいに思っていた。だが今月半ばに差し掛かる頃には、さっさとかけて来い、と思うぐらいの苛立ちに変わっていた。俺と話したくて仕方ないんじゃないのか。俺の声が聞きたいくせに。鳥になったら、真っ先に俺のもとへ飛んでくるくらい好きなくせに。いつまで強がりを気取ってやがる。そう思いながら自分の携帯を操作する。アイツの番号を表示させ“発信”をタップした。ここまでほとんど無意識の行動だった。
『……ふあい』
「なんだその声は。まさか寝てただなんて言わねぇよな?」
『……え、あ、あれ?』
電話の向こうは間抜けな声を発した後、突然慌てだした。なんで、とかどうして、ばかりが聞こえてくる。どうして、だと?お前がさっさとかけてこないからに決まってんだろうが。そう言ってやろうと思ったが寸でのところで言葉を呑み込む。嫌味を言うより先に、聞きたいことがあった。
「なんで電話してこねぇんだよ」
『え、あの』
「本当に鳥になろうとでもしてたのかよ」
嫌味を言わないようにしていたのに、珍しく大人しいもんだから我慢できなくなる。別に俺はお前を虐めたくて電話をかけたわけじゃない。それくらいは、分かっているだろう?
『鳥になんて……なれるわけないよ。だから、すぐに会いに行けない』
「それが分かってるなら、以前のように電話してこいよ」
『うん……』
「なんだよ。言いたいことがあるならはっきり言え」
今は顔が見えない。でもどうせ暗くて冴えないツラしてるんだろう。柄にもなく我慢しやがって。さっさと言ったらどうなんだ。
「おい――」
『さびしいよ』
蚊の鳴くような声だった、けれどはっきりと俺の耳に届いた。ついでに鼻をすする音も。
「バァカ」
馬鹿は俺なのかもしれない。今、まさしくお前と同じことを思ったぜ。この瞬間俺が鳥だったなら、真っ先にお前のもとに飛んでいく、ってな。
「お前がならないのなら俺が鳥になる」
『え?』
コイツは何言ってんだ、とでも言いたげな間抜けな声だった。俺だってそう思う。お前が言い出したことなのに、なんでそんなことを言うんだろう。自分でも良く分かっていないのに口をついて出た言葉だった。
「来週末にそっちへ帰る。だからお前のもとに飛んでいってやるよ」
鳥になるなんてもともと簡単なことだったんだ。そばに居られなくなったことで改めて気付く。どこにいても空は1つしかない。たとえ今俺の見ている空が青くて、お前が見えるのが夜空であろうと。
飛ぼうと思えば、いつでも飛べる。
「鳥のように」
風にのり 上に下に翼を広げ
この町を見下ろし
沈んだあの子を見つけよう
空に目を向けさせよう
今日は青空だから
在り来りだけれど
鳥のように空を飛んでみたい
私は鳴く事の出来ないカナリアだ。
飛ぶ事も出来ない。
何もかも失ったカナリアだ。
先生の話を聞き流しながら見る外が好きだった。
窓側の席にいる私は外を見ても
誰とも目が合わないと思っていたのに目が合った。
椅子から落ちるところだった。
綺麗な羽を持った君は誰?
思わず仲良くもない隣の席の子に話しかけた。
「あれ、見える?」
窓を指さして聞くが
「何が?」
「人飛んでない?鳥みたいに」
「見えない。大丈夫?具合悪いの?」
見えない?
有り得ない
自分にははっきりと見えているのに
「ううん、なんでもない。」
そう言ってまた私はまた外に視線を移した。
やっぱり君は
私をじっと柔らかい笑みを浮かべて見つめていた。
太陽が高く上がって窓から日が差している
君の影もしっかり写っている
これが見えないなんてどういうこと?
でも私はこういう状況にドキドキしていた。
もし私にしか見えていないなら
そのわけがきっとあるはずだから。
どうしよう
鳥のように飛ぶ君の笑顔に一目惚れ
─────『鳥のように』