『高く高く』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
青い空
どこまでも高く、遠く
絶好の運動会日和
祭り日和とも言う
さあ、青空に向かって踊ろう!
午後八時。夏祭りの花火が上がった。
市民公園が近所なので
花火は家から観ることができる。
小さい時から馴染みのある花火なので急にテンションが上がことはないが、
平和だなぁって感じてしまう。
ドーン ドーン
振動が耳からそして
身体中に広がっていく。
花火の音はかなりの爆音だ。
戦争をしているよその国では
同じ音でも人を傷つける砲撃音に変わってしまう。
花火よ、もっともっと高く上がって、
ミサイルが飛んでいる空に見えるよう花を咲かせて。
月のうさぎは跳ねる。
さらに高く、もっ高く。
銀河系の遙か彼方まで
流星となって高く跳ぶ。
夏は終わり、電車の中は、白いサラリーマンが黒いサラリーマンにコスチェンジしていく。
人の命まで奪いかねなかった灼熱地獄はどこへやら。
肌寒い風が吹き抜け、職場までの道のりがすでに冬めいている。
これからもっともっと、空を高く高く感じることだろう。
高気圧の影響で空気が澄みきっているからだろうけど、それにつられて心まで澄みきる季節がやってくる。
まさにちょっとココロオドル季節。
たぶん私は、人一倍暑がりで、人一倍寒さには強いから。
あとは、気温とともに懐が寒くならないことを願う。
そのためにも、今後も株価は高く高く、天井知らずで上がっていってほしい。
給料はまあ、限界が見えてるし。
これから、新しいスマホやPCや車が欲しいから、世界情勢も我が暮らしも、安定した状態を求む。
そんなどーでもいい個人事情でお茶を濁しつつ、欲しいものを手に入れるための志しだけは高く高く、その高みを目指して日々努力していこう。
いや…株価頼みだったりするが。
それでも、ギャンブルにドハマっていた頃を思えば、よっぽど生産性のある行為だと…信じている。
気持ちのイイ季節の話に戻そう。
清々しく澄みきった高い高い空を感じる秋を過ぎれば、その後は冷たい冬の時代が来る。
凍えるような物価高。
すべてのものが高く高く、身体を冷やし肝を冷やして、我々の生活はどうなっていくんだろう。
あれ…?話が戻ってない…。
その日は晴れていた。雲一つもない快晴である。秋の初め、まだ威力が強い太陽の光が地面や海面を照らし、上昇気流を作り上げていた。
それを待っていた者がある。
鳶である。
翼を広げると160センチにもなり、その翼に上昇気流を受けて高く飛ぶ。よい気流をつかまえればその高度も増すことができる。
次々と周囲の鳶が高く舞っていく中、その鳶はまだ松の木に留まっていた。その年に生まれ巣立ちから日も浅い若鳥である。
理屈はわかる。翼に風を受けることも何度もできてはいる。だが、あんな高度まで舞い上がったことはない。
若鳥は戸惑っていた。あんな高さでもしバランスを崩したら?気流を受け損なったら?自分がまだ知らない事態に対応できるのか?そう思うと踏み込めなかった。
そこへ、鴉がやってきた。鴉は鳶とは仲が悪い。鴉と鳶とは、求める餌が被ることも多い。知らずに鴉の餌を横取してしまい集団の鴉に追われることもある。鳥はどだい高度を取ったほうが心理的に優位になるものだが、そこは鳶の得意分野だ。
なので、鳶は少し身構えた。鴉は戯れに他の鳥や動物を突くこともあるからだ。
「あんたはなんでいかないのさ」
鳶は驚いた。鴉と鳶とは使う言葉が異なるため、互いに何を言っているのかはわからないものだ。だがこの鴉は自分にもわかる言葉で話しかけてきた。
「あの……なんでしょうか……」
恐る恐る鳶が尋ねる。伝わるのかな?
「いやね、鳶の皆さんは気流を掴むのが上手いなって。そりゃ儂らも気流を使って高くまで飛ぶよ?でもあんたらには敵わないなって、いつも惚れ惚れして眺めてんだよ」
変わった鴉だな、と若い鳶は思った。鴉は鳶を見ると集団でぎゃあぎゃあ騒ぎ立てるものなのに、そんな相手に惚れ惚れだなんて。
「心配なんです。あんな高くまで飛んで、もしバランスを崩したらどうなってしまうんだろうって」
まだ巣立って間もない頃、台風の名残の強風を受け損ない、木の枝に打ち付けられた事がある。幸い羽に怪我はなかったが、打ち付けた腹はしばらく痛かった。
「大丈夫だよ、あんた鳶だろ?風にさえ乗ってしまえば、あとはあんたの本能が教えてくれるさ」
本当だろうか。本能は確かに翼の使い方を教えてくれたが、あんな高度での身のこなしまで教えてくれるものだろうか。
「まあいいさ、儂も少しは風に乗れる。ちとあんたに教えてあげれるだろ」
なんでこの鴉はこんなに世話を焼くんだろ、と不思議がる若鳶に、鴉は翼を広げてみせた。
「ほら、気流はわかるだろ。そこに羽を被せれば」ふわりと浮かぶ。「まずはやってみな」
訝しながらも若鳶も羽根を広げる。言われなくとも昇る気流はよく感じる。そこに翼を被せるようにすると、ふわりと体が浮いた。
「そう、その調子」
鴉の声に合わせて、昇る気流の角度に合わせて右へ、左へと翼を傾けているうちに、ずいぶん高く上がってきた。
ふと見ると、鴉は自分より下にいる。
「どうしたんですか」
「儂らにゃあここまでだ。やはり鳶は上手いね」
慌てて鳶が鴉に尋ねた。
「あの、どうしてこんなに親切に」
「いやあね、」と鴉がきまり悪そうに答えた。
「あんたの前の年に生まれた、同じ親御さんの卵。昔割っちゃってね」
あの日もいつものように鴉と鳶とで揉めていた。きっかけは、鴉が狙っていた獲物を鳶の誰かが掠め取ったことだった。それを知った鴉達は、集団でその鳶を追いかけていた。たまたまその鳶が止まったのが、目の前の若鳶の両親が営巣していた巣であった。気が高ぶっていた鴉たちは鳶に次々と体当たりをしていたが、揺れた木が巣の中の卵を全て落としてしまった。あともう少しで孵るとこだったのに。
「あんたの兄弟は死なせちまったけど、あんたは元気そうだし、そうやって餌を取って卵を産めれば」
もう鴉の声は聞こえなかった。若鳶は高く高く飛んでいた。他の鳶たちと合流し、上昇気流を舞っていた。
鴉はその姿を眩しそうに眺め、やがて去っていった。
「高く高く」
秋の空が大好きだ
どこまでも澄んでいて
雲もゆったりとしているように感じる
冬が近づいている淋しさはあるけれど
心が自由になるかんじがする
さて
始めようか
僕は底辺な人間です。
下から見る景色は、黒い。
鳥のように高く飛んでいる人達を見ると、
「やっぱり僕は底辺な人間なんだ 」
と、思ってしまいます。
僕もみんなのように、
鳥のように高く高く飛んでみたいです。
輝いている人達は、今の人生を
精一杯楽しんでいるように見えます。
僕は飛べない。
翼がついてないから、
飛べない。
「ダメ人間」ずっとそう思っていました。
変わらない僕。
飛べない。
でも、飛べなくてもいいと思います。
みんな違ってみんな違うのです。
顔も性格も何もかも
みんな違うのです。
僕の人生です。
僕が楽しいと思える人生です。
まだ生きたいと思います。
ありがとう。
君はあの日星になった。
僕を1人にした
『君に会いたい』
そんなこと言っても会えないことくらいわかっている
わかってるけど、君に会いたくて仕方がないんだ
この思い届いてるかな
君がいるところに
僕も今から行くよ
そう思って、僕は屋上から飛び降りた。
あ、君の所へは行けないみたい。
向かい風がA男に遠慮なく吹き付ける。
急勾配の坂、一歩一歩進んでいるが正直かなり身体に堪える。
それでもこの歩みを決して止めてはならない。
高みを目指してあの方の元へ、仲間との誓いを今こそ守るのだ。
随分早めに来たというのに既に長蛇の列が出来ていた。
最後尾に並び、A男はリュックサックから宝の地図なるものを取り出す。
入念に書き込まれたそれを再度チェックした。
大丈夫、あの方は普段よりもたくさん刷っているとツイートしていたではないか。
自然と早鐘を打つ心臓を落ち着かせるように深呼吸を一つ。
地方勢にとって都会でのイベントは戦いだ。
飛んでいく交通費、宿泊費。あとは慣れない土地で彷徨いながら人混みに揉まれつつ、着々と削られる体力とか。
そんなものを差し引いてでも今回はどうしても参戦したかった。
同じく地方勢の仲間達の応援と願いとその他もろもろを背負ってA男はあの方に会いにいく。
普段のお礼をお伝えし、必ずや戦利品を持ち帰るからな!
握りしめた拳にぐっと力を込めて開場の拍手がなるのを只管待ち続けた。
……後にコミケの洗礼を受けることになるとは、この時のA男はまだ知る由もない。
ジョバンニはボヘンミアンピルスナーを手に、グーフォに向かって言った。
「そうか、君の人生は旅なんだね。君はいつだって高みを目指している。
気負わず、素直なままで高く高く、その高さに向かって進んでほしいと思うよ。
いつか君が僕の手の届かない場所に行ったときには、一生分の涙とともに君を送り出す覚悟はあるんだ」
グーフォは穏やかに答えた。
「でも、君と僕が今ここにいるというのは、切り離せない事実だよ。
だから、今晩のこの今を乾杯しよう」
「高く高く」
思いよ 願いよ 祈りよ
高く高く空を翔けて
遠い地の
苦しみに 悲しみに
光となり 支えとなって届け
あなたがそこにいることを
健やかに 生き続けることを
強く願うこの波動よ
どうかどうか
空翔けて届け
「高く高く」
#490
“ここまでだ”なんて一言でキミを見送るにはあまりにも寂しいではないか
共に生きて笑い困難に立ち向かい酸いも甘いも語り合った仲ではないか
充分生きたではないか
いや、まだ死ぬ訳ではないが
もしも此処で死ぬのであれば
キミに何かしらの言葉を送りたい
己のやるべき事を即座に行動に移せる判断力
目標も目的も見失わない強い信念
その為に手を差し伸べ朽ちていく仲間に向ける優しさも
何もかもを兼ね備えたキミに何かを送りたい
どうか何処までも
何処までも昇ってくれ
高く高く
神にも届く程に
天高く
そこにあるキミの幸せを願って
〜あとがき〜
見送る側の視点って書くの難しいですよね
あまり長くしたくない
見上げてると首が痛くなりそうだから
お題『高く高く』
推しているアイドルグループの総選挙が始まった。一位になれば、そのメンバーはセンターになれる。
Twitter……いや、Xにはすでに積み上げられた投票券入りのCDの画像があげられている。
私はそれを見て、焦燥感に駆られた。
前まで、某有名アイドルグループがそれをやるたび、正直ばかじゃないのとか思っていた。が、今はそうも言っていられない。
私が推している子は、人気ランキングとしてはグループ内でも下から数えたほうが早い。推しはいっつも自分が目立つよりも、他のメンバーが映えるように立ち回るのが異常にうまいのだ。だが、それゆえに「誰だっけ?」だの、活躍したとしてもコメントされることがあまりない。
私は、それがいつも歯がゆかった。さっそくCDを百枚購入した。高すぎる対価に心臓が痛いほど高鳴る。
もっと、もっと積み上げて推しをセンターにするんだ。残業、頑張らないと。
暗い空を高く高く飛ぶあなたに憧れた。
凛とした顔をしたフクロウさん。
人間の私は貴方にはなれないから
眺めてるだけ。
君にこの思い届くといいのに
─────『高く高く』
高く高く空高く上がった風船は
一体どこまで行くのだろうか
一度離せば二度は戻ってはこない
のかもしれない
あの風船
どこまで旅立ったのだろうか
階段を駆け上がる、高く高く上り詰める。三階の窓から急いで、あの人の姿を捜す。上がった心拍数のことなど忘れて、捜す。やっと、あの人を見つけた時には、あの人は、他の人達と門から出ていく姿だった。ギリギリかは分からないが、諦めずに窓を開け、今は、恥ずかしさなど捨てて、あの人に向けて叫ぶ。
「文化祭の願い事」
文化祭の後夜祭には伝説が付きものだ。
文化祭の準備が始まると、中庭にツリーが設置される。折り紙に願い事を書いて好きな形に折り、ツリーに飾りつけていく。
そして、後夜祭のキャンプファイヤーでツリーを燃やすのだ。
このとき、煙が高く上がれば上がるほど、願いが叶う確率が高まる、と言い伝えられている。
『もうすぐキャンプファイヤーが始まります』
放送委員のアナウンスが響く。
注意事項が伝えられているが、真面目に聞いている生徒はいるのだろうか。騒がしい。
「なぁ、何て書いたの?」
しつこく願い事の内容を訊いてくるのは、片想いの相手である幼馴染。
文化祭前から何度も訊かれていたけど、今日は五度目だ。しつこいなぁ……
でも、言えるわけがない。
『それでは、点火します。十からカウントしますので、みなさんも一緒にカウントお願いします!』
点火のカウントダウンが始まると、それまでの騒がしさが収まっていき、数字が小さくなるごとにカウントする声が増えていく。
『さん、にー、いち……点火ぁー!』
歓声が上がり、打ち上げ花火も一発上がる。
あぁ、終わってしまう。
ここ数ヶ月間、準備してきた文化祭の、後夜祭の、クライマックス。
三年生たちが「上がれ、上がれ!」と火の周りに集まり始めている。来年の私たちの姿だ。
『もうすぐフォークダンスを開始します』
わらわらと火の周りに生徒が集まっていく。
「私たちも、行く?」
「あー、まだいいや」
夜空に向かっていく煙を眺める幼馴染の横顔に、胸がざわついた。
マイムマイムが流れ始め、輪になって踊る生徒たちを眺める。
去年は無邪気に踊っていたんだよなぁ……
今年は、なんだか少し寂しさを感じる。
「なぁ、願い事、何て書いた?」
「……しつこい」
ため息混じりに言い、立ち上がろうとすると手首を掴まれた。
視線が交わる。
「俺はさ、お前とずっと一緒にいられるように、って書いたけど、ダメだった?」
────高く高く
「ご安心ください、命に別状はありません」
分かっている。私の父と妹は交通事故でついさっき怪我をしたらしい。幸いな事に命は無事で、後遺症は残らないかすり傷ばかりらしい。
どんな車に轢かれたのか聞くと、それはどうやらかなり激しい運転をしていた車らしい。
普段は穏やかな人柄で、親友がいるらしく、今は親友の人が傍にいる。偶然、近くにいたから不安で、なんとか警察に頼み込んで着いて来たらしい。
しかし、彼は身内でも無いのにどうして態々着いてきたのか。いるだけで大した意味もないように見える。
「申し訳ありません」
「何故、激しい運転を?」
できるだけ、平静を、冷静を保っているように見えるように振舞った。どうしていいか分からないし、もう大人なんだから。
彼は今、松葉杖があってようやく歩けるような骨折患者に見える。親友に背中を摩られながら、ようやく息をしているような声で息を吸い込んで、喋ろうとしている。
「…父が、倒れたって妹から連絡が来て…気が動転しました」
嗚呼、成程、家族を大切にしている人だ。急いで病院に行きたいんだろう。
どうして彼を責めればいいか分からない。責める必要があるのかも分からない。
ただ、目の前の彼は非常に寂しく、悲しい存在に思える。このまま私が彼に何もしなければ、彼はこれから先どうなるんだろう。
「修理代さえ頂ければ、実際かすり傷だらけで…」
私は彼を責めるつもりにならなかった。
ただ、彼を忘れることはこの先ないだろう。
高く高く
私は天使として生まれた。
天使は自分の翼を真に信じた時に飛べるようになる。
私は自分の翼を信じることができなかった。
天界に生きるものにとってそれは、…「不信」は忌むべき感情であり、故に飛べぬ者は嘲笑の対象であった。
しかし、貴女だけはいつも隣にいてくれた。
「焦らなくていいのよ」と言ってくれた。
私はいつも貴女に救われてばかりだった。
そんな貴女が今、大罪によって翼を失っている。
貴女の優しさが犯した罪だった。
そして堕ちた貴女と共に落ちている。
貴女が行くなら私も、そう思った。
「…違う、違うだろう。今こそ舞い上がるのだ。」
私は翼に力を込め思い切り羽ばたいた。
飛べぬことによって貴女に救われていた私の翼は、貴女のためにあるべきだろう!
「ああ、自分の翼を信じられるようになったのね」
「はい、今度は私が貴女の翼です…!」
あんなに遠くなった天界が今度は段々近づいていた。
もっと、高く、高く。
今ならきっと、天界よりも高く飛んで行ける気がする。
今日もまた言えなかった。
明日もまた言えないのであろう。
会う回数が増えるごとに、
会っている時間が多くなるたびに、
ハードルが高く高くなっていく。
高い空に手が届かせるような気持ちで。