『香水』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「香水、いい匂いだね。買ったの?」
「ああ、いや。うん。買ったよ」
私は知っている。
彼は香水なんて買っていないということ。
彼が動くたびに香る香水は女物だと言うこと。
出張から帰った日は必ずこの匂いがすること。
ああ、この人と早く別れないといけない。
あの人の香水はなんだったのだろうか
すれ違うときのあの匂いは
忘れられなくて
夢の中でも
ぼんやりと窓を見ていたあのときも
思い出しては消えていく
結局匂いだけでは検索できなくて
自分ではあの匂いは言葉にできなくて
今もあの香水の名前を知らない
香水
昔は流行なんて気にしない君だったけど、
今はネックレスに、香水に、ピアス。
都会に染まってしまった君は、
匂いも横顔も雰囲気も、
何もかもが違った。
それなのに、
私の脆い心はまだ、
折れることはなかった。
私の事を想っててくれたのは、
優しい優しい君だけだったんだもん。
だから早く隣の女じゃなくて私にしてよ。
忘れられない香りがある。
その人の名前は忘れた。
顔もぼんやりとしか覚えていない。
それは、みずみずしいフルーツのような、少し甘く澄んだ香り。
初夏に出会ったその香りは、大人の自由な感じがした。
今までにも、過去はいらないとか思い出は捨てたなどと書いてきた。その人の思い出も痕跡も
何も残ってはいない。
でも、香りの記憶だけは今も消えない。
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せっかくの「香水」というお題なので、もう少し。(延長戦)
少し前に海っぽい香水を買った事を書いたけど、私は香水が好きで時々買うんですが、結局好きな香りばかりを買ってしまうんです。香りの好き嫌いが結構あるんで、あまり冒険はしないんですね。普段はフローラルやフルーティ、あと紅茶の香りが多いので、ちょっと違うタイプのものを、と思っての先日の海っぽい香水だったんです。
ジョーマローンのウッドセージ&シーソルト。
これは単体で使ってもいいのですが、重ね付けもお勧めですよ、という事なので、最近は色々試しているのです。
香水のランキングでよく上位にいるアレ。
私には世間が絶賛する程の好きな香りではないのですが、このウッドセージを重ね付けすると、なんかまろやかになるというか、海に咲く花みたいで良い感じになるのですよ。
例えるなら、カレーを作る時の最後に牛乳を入れるとまろやかになる事に似てるでしょうか。(多分違う)
そういう訳で新たなる発見を求めて、日々実験してるのです。
もしも興味を持たれた方がいらしたら、重ね付けの相性の良い香水を恋人同士で付けてみては如何ですか。新しい世界が見えるかもよ。
「キッツ……」
臭う。強烈な花の匂い。ハッとして、思わず出た悪態を急いで飲み込んだ。居間で寝転ぶ母から香るものだ。そうに決まっている。こんな悪態を聞けば、直ぐにでも頬を張りにくるだろう。だが幸い、母は寝息を立てていた。派手な服を着たまま、派手な化粧を落とさないまま。
母は美しい。少々、毒々しい見目と態度だが。同年代の女性に比べたら美人である。もっとも、周囲の比較対象の女性達は第一子を授かり、産んだ直後であることが多い。慣れぬ育児に翻弄され、自身の見目を気遣う余裕のない人々だ。そのような人々と、見目に全神経を注いでいるような女では土俵が違う。
「……ただいま、母さん」
返るはずもない返事を期待して、声をかけた。部屋に充満する、この匂いは嫌いだ。多分、大人になっても嫌いなままなのだろう。
だが、母に成り得ぬ女の芳香を、いつか私も身に纏うだろう。霧中の未来であれ、それだけは確かだ。
「香水」
君の香りが忘れられない
抱きしめた時に噛み締めたい
ずっと嗅いでたくなる
変態だって思うかな
でも君のその"香水"が忘れられないんだよ…
君と同じ香水を身にまとい今日も
誰もいない部屋に一言
「行ってきます」
香水
あの日、初めて香水を買いに行った。
あの子と一緒に。
そのお店は重ね付けでオリジナルの香りを作るというコンセプトだった。
ボディミストしか買ったことがなかったけれど、大学生になったし香水くらい買ってみようかってふたりで入った。
あの子は、友達の誕生日プレゼントに買うと言っていて、少し複雑な気持ちだった。
私といるのに、他の誰かのことなんか見ないで…。
なんて言ったら、友達なのに重い、かな。
他の誰かのこと考えて、誰かのために迷っている君を見ているのは案外苦しいんだよって。
気づいてくれればいいのになんて思ってしまった。
あの子は金木犀の香りを探して、香って、香りをまとっていた。
私はヴァニラとサボンの香りの物を探した。
サボンは爽やかで、なんだか夏みたいな香りがした。
ヴァニラは重くて優しくて、冬みたいだと思った。
2つを合わせたら、どんな香りになるのかなって興味を惹かれて選んだ。
合わせるとどこか爽やかで優しい香りになった。
なんだか楽しく思いながら、帰路についた。
帰り際。
「おまけです」ってもらった小さいボトルの香水と、選んだ香りのついたカードを交換した。
あの子が私の選んだ香りを纏うときがあるのかな、なんて嬉しく思いながら。
「虫除け、してあげようか」
『……提案ではなく、宣言なのですね』
「どうせ拒否なんてしないでしょ?」
『香水はせめて出かける三十分前にしてくださいと、以前にもお伝えしたはずなのですが』
「ふふ、お説教? 出かけるまで、あと十五分もないのに?」
『……意地悪なお方ですね、私の主人は』
「虫除けなんだから、このくらいでいいの」
『虫くらい、自分ではらえますよ』
「べつに信用してないわけじゃないけれど、ね」
『……何度嗅いでも、私には少々甘すぎます』
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「香水」
鏡を見て、化粧をする。それが女の子の日常である。
二重を作って、涙袋に星をつけて、
花より弱い乙女を作る。
乾かすのがめんどくさい長い髪。
160℃の拷問にかけ、可愛さを作る。
お気に入りのワンピース。
気分だけは西洋のお嬢様になる。
鏡の前に立つ。
数時間前はパジャマでダメな女だったのに、
“みんなの理想である女の子”が作れてる。
みんな甘い匂いが好きでしょう。
髪に香水をふる。歩く度に“女の子”の跡を残すのだ。
私自身が消えてゆく。
遺書の笑顔を忘れずに。
、香水
【香水】*84*
そういえば…今日酒のつまみに瑛人出てたなぁ
瑛人の曲これしか知らないけど
流行ったよね
同時にチョコプラが浮かぶし笑
香水は好き
あんまキツいの苦手だけど
ほのかに甘いのは気分が上がる♪
後、香水なのか…洗剤なのか…柔軟剤なのか…
好きだった人を匂いで思い出すことはあるなぁ
何気に匂いって大事だよね
匂いでバレることも多いのでご注意を笑
ckoneの香りを嗅ぐと、世紀末の東京に時が戻る。
あの頃の退廃的な時代の空気や、諦めるしかない現実を、強がりながらも受け入れている高校生達の表情がまざまざと思い浮かぶ。
それなりに頑張るしかなかったんだよね。それで十分だよ。
大丈夫、1999年に世界は終わらないし、すぐ景気がいい時代も来るよ。好きな事を好きって言える時代もすぐそこだよ。
自分の為に生きていいんだよ。
あの頃、若者だった皆さんへ
あなたのことが好きでした。
顔も声も仕草も、その少しキツイ香水の匂いも。
あなたは私をよく抱きしめてくれましたね。
そのたびに甘ったるい匂いが私の鼻を刺すものですから、本当は嫌だった。なんて…今更言っても仕方がないことですね。でも、好きでしたよ。なんだかんだ。
あなたはある日突然消えてしまった。
その少しキツくて甘ったるい匂いだけを残して。
あなたが置いていったあのTシャツ。あれ結構高かったのに。もったいないので、私が着ています。肌と布が擦れるたびにふわっとあなたの匂いが香って、涙が出るのはここだけの話です。
でも、最近そのTシャツからあなたの匂いがしないの。私が使う柔軟剤の匂いしかしないの。何でかな。あなたが私のなかで匂いとともにどんどん薄れていく。辛い。だなんて…柄にもなく弱音を吐いてしまいます。
早く帰ってきてください。あの匂いを連れて。もう一度抱きしめてください。もう嫌だなんて思わないから。
あなたのことを忘れたくても忘れられないんです。あなたがあんな香水使うから。匂い、覚えちゃったじゃないですか。
せめて、あなたの使っていたあの香水の名前を教えてください。今度探してみようと思っています。
作品No.1 2024.8.31 「香水」
[香水]
ある時の誕生日
君が買ってくれた
君とお揃いの香水
いつも何考えてるかわからない
口下手で天邪鬼で不器用な君は
物で愛を伝えてくる
いつもつんつんしてるのに
「お揃い」ってところが
らしくなくて可愛くみえてくる
「お揃いってことは私と同じ匂いがいいんだ」
ってからかうと
「そんな訳ない」と
鼻で笑った
君はいつももそうだ
冷たいフリをする
私に興味無いフリをする
でも本当は私のことちゃんとよく見てる
髪型もネイルもそしてマツエクも
前髪を少し切ったときでさえも
寝不足で空元気の時も
私が元気ないときも
全部君は気づいてる
でも伝え方はいつも口下手だ
何かの本に書いていた
香水をプレゼントするのは
香りで相手を独占したいという気持ちが含まれていると
伝え方が本当に不器用だ
そういうところが君らしくて私は好きだ
落として割れたボトルから
甘い甘い香り
あなたに会う日だけ
特別に纏っていたそれは
いつからか
棚の隅へと追いやられて
割れた瞬間に
あなたが溢れた
今、カレの隣で笑う私からは
シャンプーが香るだけ
【香水】
香水って苦手。
いつまでも記憶に残って
貴方のこと、ずっと忘れられないんだもの。
でも私はつけるの。
いっつも同じ香水。
この香りに街中で会ったら
私のこと思い出してね?
これは私の愛だから。
香水
優しくて
繊細で
それでいて芯は強い
そんな人だった
その人が来るのは香りで分かった
いつも同じ香水を纏っていた
その理由も
なんの銘柄なのかも
ついぞ聞けなかった
ある時気づいた
香水は
あの人の涙なのだと
涙で
テリトリーを作り
自分自身を守っているのだと
脆くて
折れそうな自分を護り
奮い立たせる
あの人にとって
香水は
涙のアーマー(鎧)だったのだ
あの人は
今も
アーマーを纏っているのだろうか
それとも
#香水
「コイツ贅沢だからよぉ」
一瞬受けた衝撃を辛うじて口を数ミリ引き攣らせただけで済んだのは今までの経験の賜物とも言える。
笑わせてくれる
なら、代わってやろうか。
お前の人生と俺の人生。
どっちが上手く生きられると思う
友達だと思っていた男だったが、腹の底では俺をそう思っていた訳だ。
贅沢だって?
俺の人生が?
そうかよ。
「昨日、お前の香水と同じ値段のうんこ踏んだわ。」
「は?何だよ」
「ペットショップの犬が幾らか知ってるか?そいつらを日割りして更に1日のうんこの回数を平均して計算すると。お前がずーっと使ってるその安物臭い香水と同じ値段になるんだぜ。」
よかったなぁ。
背中をバシバシ叩いてやると、別の奴が腹を抱えて爆笑し始めた。
辞めだな
今日でコイツらと連むのも終いだ。
「あー…あ。つまんね。」
安い香水の匂いが鼻にこびりついて取れねぇ
なぁ、俺のお姫様はどこ?
俺の事を大好きな子ってどうやって会えんの。
なぁ、お姫様。
お前は俺の人生を贅沢だって笑うか
それとも、頑張ったねって慰めてくれる?
どっかに落ちて来ねぇかな、俺のお姫様。
「あ、あのっ!すみませんっ!」
「ん?あ、俺か。何」
「足、退けてくださいっ!」
「あ?なんで?」
「踏んでますっ!わ、私の推しを踏んでますっ!」
見ると残念な事に俺の靴跡がはっきり付いたキラキラのカードが。
ん?どっかで見たなこれ。
「お。やっぱり有った。ね、ごめん。お詫びにコレ貰ってくんね。」
財布から同じキャラの別のカードを抜く。
コイツ俺の推しじゃないんだけどさ、レアカなんだよな。捨てらんねーじゃん。
「えっっ!!?」
「俺、青髪の方狙ってたんだけどダメだったんだよね。」
「レオ君推しなんですかっ!?」
「うん。かっけーじゃん。」
「私っ、レオ君の前バージョン持ってます!要りますか!?」
「まじ、?要るっいるいるいるっ!くれんの?」
「ぜひっ。」
ふと香る貴方の香り
僕では無い誰かの残り香
お願いです何も告げないでください
これ以上踏み込まないから
何も聞かないから
傍に居させてください
わたしだってプリンセスに憧れる女の子。
どこにでも居る普通の女の子。
その女の子が夢を叶えるまでのお話。
プリンセスが大好きな女の子は、ある日こんなことを思います。
「わたしにもこんな素敵な王子様が迎えにきてくれる日があるのかなぁ」
もういない貴方の部屋でベットに寝転びながら、目を閉じた。貴方の部屋は本が積み重なっていて、少し埃っぽい。本の話をする時の貴方はキラキラとしていて眩しかったのを覚えている。そんな本の虫な貴方に、私があげた香水。ウッディ系の落ち着いた、貴方の雰囲気にぴったりだと思って買った香水。あまり嬉しそうではなかったけれど、この部屋に漂う本とは違う木の香りによく使っていてくれたことがわかり嬉しさが込み上げた。暖かな光と積み上がる本、そして香水。あと足りないものは、貴方だけ。貴方が居た痕跡はこんなにもあるのに肝心の貴方だけがいない。どこに消えってしまったのか。いつ帰ってくるか。この匂いが消えてしまわないよう、私はまたここに来る。貴方とお揃いの香水を纏って、貴方がくれた合鍵で。貴方の痕跡を確かめるように、少しだけ大きく息を吸った。
#香水