us

Open App

もういない貴方の部屋でベットに寝転びながら、目を閉じた。貴方の部屋は本が積み重なっていて、少し埃っぽい。本の話をする時の貴方はキラキラとしていて眩しかったのを覚えている。そんな本の虫な貴方に、私があげた香水。ウッディ系の落ち着いた、貴方の雰囲気にぴったりだと思って買った香水。あまり嬉しそうではなかったけれど、この部屋に漂う本とは違う木の香りによく使っていてくれたことがわかり嬉しさが込み上げた。暖かな光と積み上がる本、そして香水。あと足りないものは、貴方だけ。貴方が居た痕跡はこんなにもあるのに肝心の貴方だけがいない。どこに消えってしまったのか。いつ帰ってくるか。この匂いが消えてしまわないよう、私はまたここに来る。貴方とお揃いの香水を纏って、貴方がくれた合鍵で。貴方の痕跡を確かめるように、少しだけ大きく息を吸った。
                      #香水

8/30/2024, 3:57:12 PM