いつの間に灯った心の中の小さな小さな想いは、私の心をゆっくり溶かしていくように少しずつ、少しずつ燃えていく。焦がれるような、激しいものではなく、本当にぽつりと小さな、今にも消えてしまいそうなほど弱く揺れる想い。ゆらゆらとくすぐったく揺れる、私の想いは。私の心を溶かしきったら、ひそかに消えてしまうのでしょうか。
#キャンドル
あの日、別れた人と寄りを戻す。ふとそんな妄想に浸る夜がある。私を呼ぶ優しい声、柔らかな笑顔。そんなことばかり脳裏に浮かんでは消えていく。また一緒になれたとして、滑りやすくなってしまったあの人の手は私をしっかりと抱きしめてくれるのでしょうか。あの人は、なんと言っていたか。私が聞いたあの人の最後の声は、涙の音でぼやけて消えてしまった。最後、本当に最後の別れ際、あの人の笑顔はまるで泣いているようで笑っているようで。最後の笑顔が頭に焼きついて、離れない。
#別れ際
耳の奥で、波音が響く。暗くて静かで深い夜の海。
私の頭の中にある海は、誰にも見えないし感じられない。私だけの居場所。嫌なことがあったら私はここに来る。独りで波音を聴きながら、海に漂う。私だけの時間。誰にも邪魔なんかさせてやらない。
#貝殻
些細なことでも、話してほしい。くだらない話だっていい。馬鹿だなって、何の話をしているんだって笑い合いたい。真剣な話だっていい。いつまでだって寄り添って話を聞こう。君は何も語らないでいってしまった。あの時、引き止めていれば。あの時、些細なことでも会話していれば。もしかしたら、今のようにはならなかったのかもしれない。もっと話したかった。
#些細なことでも
10分前、君から来たLINE。私は見れないでいた。些細な言い争いだった。始まりは何か覚えていないぐらい、どうでも良いことで幼稚な口論が起きた。お互いの悪い癖、カッとなるとひたすらに言い争う。どちらが悪いというものではない、むしろどちらも悪い。ふと我に返り少しバツ悪く、私はその場から逃げてしまった。そして今に至る。十数分、私はずっと画面を見つめている。見てしまったら、逃げられない。ふっと軽く息を吐き、スマホを手に取る。君が伝える文字は一体なんだろうか。謝罪か、それとも先程の続きか。不機嫌な心に反して、顔が少しにやけていることを自覚しながら画面を軽く叩いた。
#開けないLINE