『飛べない翼』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
いつも
同じ時間 同じ場所
同じ食事 同じ服装
あの人の行きたい場所だけ
あの人のしたい事だけ
穏やかで優しいのは自分を守るためで
他人のためではない
あの人が自分の事しか見えない人と気づいた時
もうわたしは飛べなかった
「飛べない翼」
魔人・翼竜族。
彼らを象徴する、背中から生える一対の黒い皮翼。
この翼はもともと飛ぶためのものではない。
魔力受容器にして、マナ捕集やマナ感知の補助器。つまり──魔人を魔人たらしめる、最大の特徴。
「き、さま……! 俺の、翼を……! 魔王様からの、贈り物を……!!」
足をつたってドクドクと溜まっていく血。
発生源がわからないくらい全身に走る激痛。
そして──血溜まりに溺れていく、一対の真っ黒な翼。
それを斬られたとわかったのは、自分の血の中に膝をついてからだった。
「許さない、許さない──!! ただで済むと、思うな──!」
ぐるりと傾く視界に映る人影。
こちらの様子を伺う女と、それを守るように一歩前に出る男。男の左手には緑色の魔法陣が輝き、右手に持った剣と敵意は真っ直ぐこちらに向けられている。
「ルイン! ねえ、何があったの!?」
バタバタと部屋から出てきた魔王が悲鳴をあげる。
それと同時に真っ暗な夜が明け、山の端が白み始める。一瞬の攻防の跡が鮮明になる。
──そうだ、あの女だ。あの女に、俺の翼は──。なにに、変えても──。
魔王の叫び声ももう聞こえない。ルイテンの意識はぼやけて血溜まりの底に沈んでいった。
出演:「ライラプス王国記」より ルイテン、ロキ
20241111.NO.99「飛べない翼」
残したもの
森の奥にひっそりと暮らす鳥がいる
海の中を飛ぶように泳ぐ姿も美しい
サバンナという過酷な場所で40グラムの脳を持つ
強靭な蹴りの足は恐竜そのもの
羽根を捨てる選択
進化はすばらしい
飛べない翼
俺はもう、二度と、
飛ぶ事は出来ない。
背にある翼は動かず、
ただの飾りに成り果てた。
今の俺は、
地上から、羨望の眼差しで、
輝く空を見上げるだけ。
動かない翼など、
あるだけ無駄だ。
引き裂いてしまいたい衝動が、
激しく胸を抉る。
飛べない。
動かない。
なのに、痛みだけは残る。
飛べない翼。
役立たずの羽根。
大空を自由に翔けていた。
その記憶が突き刺さり、
地上で俯き、唇を噛む。
…今の俺には、
あの輝く大空は、
眩し過ぎるんだ。
学校に行くのって大変だ。電車に乗る時も降りる時も、駅員さんの手を煩わせる。エレベーターを待つのも、遅刻しないかハラハラするし、道に出ても、ずっと腕で体を動かすから筋肉痛。
学校についた後だって、移動教室の時には友達に押してもらって、申し訳ない。大好きな体育は、おままごとみたいなキャッチボールしかできない。
みんな、道を開けてくれる。中には、見下すような一瞥をくれる子もいる。私はそれに気付かぬふりをして、腕を急いで動かして、通り過ぎる。
気にしないで、私の天使ちゃん。って母さんは言う。私のかわいい子ってこと?それとも、母さんには私の背中に翼が見えるの?
だったら飛び方を教えてほしい。大空なんて飛べなくっていいから、みんなと同じように地面を駆けて、飛び跳ねられる方法を。
飛べない翼
魚はつばさを持ってないから飛べない
ニンゲンもそう。
じゃあ鳥は水を泳げるかといえばそうじゃない。
持っていない物を欲しがるのは人間の考え方なのだろうか?
だったら、飛べない翼を持った鳥だとどうだ?
きっと生き残れない。
しかし人間はそんな自然淘汰されるものを救う事を善としている。これは正しい事だろうか?
もし、魚が飛べない翼を持った時、その魚が綺麗では無かった時、人間は救うだろうか?
ただの自然淘汰される奇形の魚になるか、人間に救われた魚として、人間と生きるか、、
それは大きく違う事となるはずだ
もし救われない魚だったとして、
飛べない翼を持つ鳥と、飛べない翼を持つ魚だと何が違うだろうか?
それは、そもそも持っていたはずか、そもそも持っていないか、ということだろう。
でも、結局自然淘汰される命だ。
じゃあ何が違うのか?
いつも、自分はこの世界ではない、どこか遠くの世界の住人なんだろうと感じていた。
要するに、自分が安心して存在できる場所というものが無かった。
傍に人はいたが、その誰とも真に心を通わせている感触が無かった。
「飛べない翼」
僕は翼に夢を見ていた。
僕は翼を夢に見ていた。
皆が当たり前のように持っているその大きな翼。
いろんな色に輝く、美しい翼。
僕はそんな翼を、たった一人、持っていなかった。
だから、色んなことをした。
当たり前のことを学んだり、大量の薬を飲んだり。
本当に、色んなことをした。
そして、ようやっと翼を生やした。
でも、思ったような綺麗な翼は生えなかった。
小さくて歪な、今にも腐り落ちそうな翼が生えてきた。
そのうち翼は僕の背中から嫌な音を立てて落ちた。
そして、ようやっとわかった。
僕は最初から、翼を持つべきではなかったのだと。
夢を見るべきではなかったのだと。
そうか。そうだったんだね。
でも、わかっていても飛び立ちたいんだ。
それならせめて、一番美しいところを飛びたい。
飛びたい。飛ぼう。
そして、
ぼ
く
は
飛
ん
だ
。
私は崖の上で佇んでいる。
先ほど翼を与えられ、自由に飛んで良いと言われたのにだ。
程よく風が吹き、青空が広がっている。
飛ぶには申し分のないコンディションだが、不安がよぎる。
「本当に飛べるのだろうか?」
「飛べたとしても、ここに戻って来れるのだろうか?」
あの人は言った。
「そんなことは飛んでから考えれば良い」と・・。
「簡単に言うなよ・・」
そう呟き、崖の上で座って、膝を抱えた。
青空がどこまでも広がっている。
飛べない翼はただの飾り?
飛べない翼は無駄なのかしら
私はたくさんの人が
飛べない翼を持って
生きていると思うのだけれど
自分の可能性に気づいていないから
自分が飛べることにも気が付かない
せっかく持っている才能を眠らせたまま
俯いて合わない環境で嘆いている人
たくさんいるんじゃないかしら
私もきっとその中の一人ね
自分を愛して信じることが出来たなら
翼も見えてくるのよね
飛び方を知らないから ここまで引き摺って来た
教えてもらった時には 既にボロボロになってて
転んでも起き上がれるように出来てる地面の上
足跡があるから どこへ行ったって
帰れると思うんだ きっと
あ 無駄、何度もやっても!
い 人にはそれぞれの…
あ んなんで、飛べる訳ないだろ
い …
あ 見えもしないし
い …そうだね
あ クソッ
い …だから良いんじゃないの
あ は?
い まだ先あるってわかるし…
あ …
『飛べない翼』
飛べない翼
翼を持っているのに飛べない
なんでだろう?
羽ばたくための踏み出す勇気
何も考えず空だけを見て
羽ばたいてみたら
飛べるのか?
不安が重い足かせになって
飛び立つことができない
空だけを見て
羽を羽ばたかせて
ただ空だけを見て
足が地面からふっと離れたら
あとは一心不乱に…
『飛べない翼』
プツ、プツ、プツ。羽をもぎり取る。
カタン、カタン、カタン。布を織る。
翼から生えていた羽を抜き、布の材料として使う。
布が織られていくごとに、翼から羽は無くなっていった。布が仕上がった頃には、翼はもう使い物にならなくなった。とっくに飛ぶことなんて出来なくなった。
仕上がった布は自賛できるほどの物になった。これで、飛べなくなった私はずっと貴方のお側にいることができる。
愛しい貴方へ、どうぞこの布をお使いください。
貴方が私だけの人になってくれずとも、私はずっと貴方のお側に居たいのです。
ながく一緒にいすぎたね
すれ違いばかりのふたり
あなたといるのが苦しくて
もう一緒にいられない
なのにどうして…
離れられないの
あなたのそばから
こんなにも苦しいのに
いっそのこと嫌いになれたら
どれだけ楽か
あなたのそばから
飛びたてる日が来るのかな
【飛べない翼】
この家から出ていけない。僕は飛べない翼を持つ。
様々ないじめを受けているから苦しいからこの家から出ていきたいのに成人してないから出ていけない。
誰か
誰か助けて
飛べない翼 途中
私が生意気な学生だった頃、教育実習生が大嫌いだった。その感情の内訳はさまざまであるが、大部分を占めていたのは、大学生というおちゃらけた生態とその若さゆえの未熟さや初々しさが嫌いだったのだ。だから、どんなイケメンだろうが美人だろうが、くる奴は全員嫌いだった。私はいかにも、職場にいる嫌なお局上司よりも遥かにタチの悪い、未経験クレーマー高校生だったのである。
この心理はどこから来ていたのかわからない。社会人も大学生もどちらも経験した今となっては、当時の自分のような高校生がいたらぶっ飛ばしていた。高校時代の私は、ここがまさにいやらしいところではあるが、内心はドロドロと汚い感情が渦巻いていたにも関わらず、表面上では優しく明るい人間を演じていたのである。そんなん生きとる上で当たり前だろ、と言われればその通りなのだが、それを加味しても内面が荒んでいた。誰の命令も聞きたくなく、誰の指示も受けたくない、私は努力したくないのよ、そうじゃなくても私は特別なの!と叫ぶあまりにも空っぽな人格だけがそこにはあった。
なぜ、そのような女子高校生だったのかと言えば、私の人生史を辿るには、自分でもまだ時間がかかりそうなのである。落ち着かなかった家庭環境をひとずつ紐解いていっては、あまりにも要素があるのに、言葉にすれば酷く言い訳がましくなる。私はこんなに大変だったの、傷ついたの、と、理解されるように求めている自分を自覚することは私にとって酷く惨めなのだ。なぜならば、それは経験していなければ到底理解も共感なども及ぶことではないと知っているからこそ、私は傷つきたくないあまり他者に自分の経験を話せないでいた。
そんな私は、私は誰よりも子供だったのに、大人びていた。反抗期などなく、そしてその実、万年反抗期であった。私は人と比較することでしか安心できず、そして常に不安だったのである。私は私以外の人間が大嫌いで、私は私が一番大嫌いだった。
そのような自分自身と決別したのは、社会人になってからだった。世の中を恨み、文句を言い、誰よりも悪口を言った。嫌われる前に、私が周りの人を嫌いになった。人が離れた後、私はみんな消えてなくなればいいのだと思った。散々汚い感情を撒き散らした後に気がついたことは、自分がいなくなった方がはやいということだった。そこまで成り下がった後に、ようやく私は気がついたのである。なんの中身のない自分自身に。
今まで馬鹿にしていた綺麗事が、身に染みてしまう。それは、過去に自分が、いつのまにか、してしまった罪と対面することでもあった。
愛しましょう、人を大切にしましょう、なんて、私は自分のことで精一杯だから黙ってよ!と、いつもバカにしては遠ざけていた。私は内面が最低なんだから、見た目は綺麗でいないとと、外側を固めた。BMIが下がっても、二重の幅が広がっても、変化したのは呆れるほど意味のない人の目線だけだった。私の人生はむしろ、自分を隠すことに必死になっていたのだ。
自分は何をしたいのか、どういきたいのか全くわからなくなった。いっそのこと、阿弥陀籤か何かで決めたかった。いつからこんなにも人生のサイコロが間違ったのかわからなかった。自分がどうしたらいいのかわからなかった。傷つくのがただ怖かった。
私は、自分の抱える罪悪感と、悔しさと、おおよそ思いつくチンケなゴミ屑みたいなどす黒い感情に押しつぶされていたのだ。都会の人混みで私はひとりぼっちだった。
自分は1人だったことを自覚した時、私は自分に何もないことを知った。みんなにあるものが、ない、ということを私はその時初めて自覚したのである。
空っぽなこころを認めざるべく、嘘をつき虚栄心だけで生きていたことを認めた。情けない生き方をしていたのは、過去に所以するものではなく、今まさに自分自身なのだと、私は自分で納得した。
そのとき、私は自分の背中には、美しい翼などなく、小さく見窄らしく、枝のような翼しか自分には残っていないことを直視できたのである。それは剥き出しの骨のようである。手入れもされず、守られず、大人になってしまった羽。私が思うように人生を操縦できていないのは、私には十分な羽のついた翼がないことを、私が知らなかったからだった。この翼はなるべくしてこの形をしていたのである。そして、もう、自分が思うようには飛べないことを、私は知った。
飛べない翼-創作
これをもっと具体的なストーリーにした話を書きたいです。
最後はもっとポジティブにしたいです。
人って、疲れた時が本性出るとかよく聞きますが、
疲れてる限界なときって、逆に1番本性からかけ離れた別人格ですよね。最低でも生きてればそれでほんとに良いんだよなぁ…と、思いました。だって、みんな人間だから清く美しく生きる必要もないんだよね。生きるのに必死だもん。私は、未熟のまんま大人になった感じが否めないのですが、あまりにもガキな自分と共に、少しずつ大人になれるように生きていこうかなと最近少しだけ思えるようになりました。人にどうこうしたい、とかいう慈善精神はありませんが、自分の内面に心の底から自信が持てるように、人に愛情を持てる人になりたいなと最近思いました。飛べない翼というお題を見た時、カスだった当時の自分が浮かびましたが、遅くても今から始める行動や言動のひとつひとつが大きな翼になれば良いなと思います。
これを創作で書きたいなぁ。もはや創作じゃなくてエッセイになりそうだし、最近境目がなくなってきてるなぁ…
きみに自分の想いを伝えられないから、飛べない翼をもっているのだろう。
きみに想いを伝えられたらどんなに嬉しいことか。
想いを伝えたらきっと、綺麗な空を飛べる翼を持てるのだろう。
飛べなくなったのは
ううん
もともと
羽撃けなかったの
空にいたかっただけ
地上がつらくて
飛ぼう
こんなわたしでも
飛ぼう
"にんげんの背中には翼が生えている。無論、天使の名残である。人間の尻に猿の尻尾の骨があるように、にんげんには退化した羽根が生えている。キリスト復活から二〇〇〇年余、救済は全て彼が担うようになったので、神は天使に暇を与えられた。彼らは突然の自由に戸惑いつつしばらく天上で過ごしていたが、静かな天界から地上を見下ろす内、そのあまりの狂騒ぶりに魅せられ、ぽつぽつ地上に降りるようになった。そのうち人間と子を成すものも現れ出し、人間の進化と同じように、長い時間をかけて地上に順化した。それがにんげんである。"
────琉堂府・須田稲『神類史』 p112より引用