"にんげんの背中には翼が生えている。無論、天使の名残である。人間の尻に猿の尻尾の骨があるように、にんげんには退化した羽根が生えている。キリスト復活から二〇〇〇年余、救済は全て彼が担うようになったので、神は天使に暇を与えられた。彼らは突然の自由に戸惑いつつしばらく天上で過ごしていたが、静かな天界から地上を見下ろす内、そのあまりの狂騒ぶりに魅せられ、ぽつぽつ地上に降りるようになった。そのうち人間と子を成すものも現れ出し、人間の進化と同じように、長い時間をかけて地上に順化した。それがにんげんである。"
────琉堂府・須田稲『神類史』 p112より引用
11/11/2024, 4:28:10 PM