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1/7/2025, 1:52:34 PM

ある男が雑居ビルの上で一人、煙草を喫んでいた。
男は漠然と退屈を感じていた。大きな事件でも起きないかとぼんやり思っていたが、辺りではサイレンの音一つしない。うららかな日差しの下、誰もが欠伸を噛み殺しながら歩いていた。
男はふと暇つぶしを思いついた。何ということはない、ただ高所にゾッとすれば多少退屈も紛れるだろうと思ってのことだった。男はビルの縁に立ち、真下を覗いた。

その瞬間、一際強く風が吹いた。

「あっ」

往来の一人が足を止めた。近くで何やら大きな音がしたのである。音のした方を振り返ると、ビルの住人とおぼしき老婆が植木鉢をひっくり返してあわあわと戻している所だった。彼は拍子抜けして、また歩き出した。

穏やかな日だった。

11/11/2024, 4:28:10 PM

"にんげんの背中には翼が生えている。無論、天使の名残である。人間の尻に猿の尻尾の骨があるように、にんげんには退化した羽根が生えている。キリスト復活から二〇〇〇年余、救済は全て彼が担うようになったので、神は天使に暇を与えられた。彼らは突然の自由に戸惑いつつしばらく天上で過ごしていたが、静かな天界から地上を見下ろす内、そのあまりの狂騒ぶりに魅せられ、ぽつぽつ地上に降りるようになった。そのうち人間と子を成すものも現れ出し、人間の進化と同じように、長い時間をかけて地上に順化した。それがにんげんである。"

────琉堂府・須田稲『神類史』 p112より引用

11/8/2024, 3:49:21 PM

どこへ逃げたって社会になる。
例えばこうしてベッドで泣いているとして、そういう経験がある人は社会に出てからもやっていけると言われる。私の半生は、社会人の予行練習じゃない。
だから意味のないことを探している。ゲームみたいな商業施設じゃない。SNSみたいなお勉強でもない。そういう、本当の意味の遊び場。
友達は遊び場を求めて繁華街に行って、そのまま音信不通になった。今どうしてるかは知らない。楽しんでいたらいいなと思う。
私はというと、文字を書いている。遊び場はこの白い白い砂場しかない。地味だし、なんの生産性もないから、これもいいかなと思う。いつかシンデレラ城ぐらいデカい砂の城を作ったら、沢山の人を呼んでパーティーして、友達を招待して、目の前でその城に水をぶっかけて壊してみたい。きっとその子にはウケると思うから。

10/16/2024, 5:30:15 PM

歩きながら寝てしまいそうな程あたたかい午後に、猫が死んでいる。それを見て、眠いなと思う。いつか私も同じように死ぬ。世界はそれを見て、眠いなと思う。今日も地球は惰性で回っている。あまりの退屈さに、ベンチでとろとろと眠りに落ちる。革命が起きて、戦争が起きて、人類が滅亡して、世界が終わって、再構築されて、十分経って、起きる。このまま帰るのも惜しいような気がして、その足で、コンビニの新商品を買った。

10/13/2024, 5:02:33 PM

どんなに心が子供でも、割り切っていれば十分大人。
苦しいときのおまじない。

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