『風邪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
風邪 ここたん
子供の頃 喘息だった私は
毎年のように風邪をひき
学校を休んだ
体が弱く家にいた祖母は
よく手絞りの
林檎ジュースとオレンジジュースを
作ってくれた
風邪をひき苦しい中
あの美味しさを今でも覚えている
大人になり私は
同じく喘息をもち
毎年風邪をひく息子に
手絞りジュースを作る
だが、
今飲んでみても
同じ味じゃない気がする
あの味は
祖母の深い愛情の味
だったのだろうか
久しぶりに風邪をひいて
普段の健康のありがたさが分かった
体は暖かくても心が寒いの
あなたも?そう、じゃあ私があたためてあげる
だからあなたもわたしをあたためて?
風邪
からだがだるいと思い、帰ってきて体温計で測ると
39度の表示。体温計壊れてるわ…と自分に何度も言い聞かせながら、お腹は空いているので簡単に晩ご飯を作る。午後から鼻水が止まらなかったし、体温もいつもより高いと思っていたが、まさか39度もあって仕事していたとは……知らないってすごいな。
手足が冷たいので、温めてから寝たいと思い、湯船に浸かるためお湯をはる。……なかなか時間がかかる。頭も洗うと乾かす間に体を冷ましてしまうかもしれないから、髪の毛は洗わずにからだだけさっと洗ってしまう方向にする。やっとお湯がたまったから、体を洗って湯船に浸かる。もう少しお湯がほしいところだが、今日はこれでいい。着替えて暖かくなった手足を冷まさないようにふとんに潜り込む。とりあえず23時にアラームを設定し仮眠のつもりが、朝まで1回も目覚めず寝ていたので、熱を下げるためにからだが頑張ってくれていたんだな、と思うのだった。
元連れ合いは体が大層丈夫な人で、病気で寝込んだ覚えがまずない、という人だった。
対して私は年に数回、数日間寝込むような風邪(気管支炎併発などあり)をひく。
そうして私が寝込んでも、
『俺の飯は!? 家事をサボるな!』
などと言わない人であったのは非常にありがたかった。
それどころか一応ちゃんと心配してくれて、
『いいよいいよ、休んでて。飯は適当に買うから。あなたの分も買っておく?』
と聞いてくれる人でもあった。
まあ良い人(出来た人)部類に入るのでしょう。
——ここまでの話なら。
その日は運悪く週末買出し前で、冷蔵庫冷凍庫ともにほぼ空っぽ状態だった。
食欲はなくとも薬を飲むのに何かお腹に入れておきたかったので、
「あっさりした物を(食べたい)。ツルンとした物(うどんなどの麺類)を……」
と、ご飯買い出しの有無を問われた際にリクエストを出してみた。
明確に言えなかったのは、喉の痛みと熱で頭がボーッとしていたせいだ。
しかしまさか。
『オッケー、買ってくるよ』
の返答一時間後に。
「海鮮丼買ってきたよ! 半額で安かったし!」
という台詞を聞くとはついぞ想像だにしていなかった。
「え゛……」
文字通り、一瞬で様々な思いが去来したけれど、その呟きで止めた自分も割と出来た人間なのではと思ってしまった、その時は。
いやだって海鮮丼だよ?
そんなん、ある!?
風邪引いて38℃の高熱出してる病人に、半額の海鮮丼、って。
嘘だろ、マジかよ、ちょ待てよ——である。
なんて言うべきなのか、とても迷った。
しかし私は礼を言うだけにとどめた。
「ありがとう。でも海鮮丼はちょっと今は……。治ってからにしようかな」
「気分じゃなかった? あっさりした物って言ってたから、これならスルッと食べられると思ったんだけど」
——すげーなオイ。
丈夫な人の思考回路は理解不能だ。お手上げだぜ。
私はもう何も考えず、寝ることにした。
海鮮丼は、
「治ってからじゃ(数日後になるだろうから)傷んじゃうから食べちゃうね。また買ってくるから」
と、当日中に元連れ合いのお腹に収まりましたので無駄にはなっていません念の為。
……待てや。アンタ、カツカレーと唐揚げ弁当買ってきてたよな。
更に食ったんかい。ほんとスゲーな。
(おデブではないけど縦横デカイ人、とはいえ……)
また、別の時期。
その時は冷凍うどんなどはあったのだけれど、動くのがとてもしんどく。
そして怠いけれどお腹はとても空いている状態だった。
やたらと品揃え豊富なコンビニ(自前店舗持ちなオーナー店である)にいるよ、とのことだったので再度リクエストしてみた。
「丼物がいいな——卵とじ系の……」
「わかったよー、買っていくね」
その時、私の脳裏には一つの品物しか浮かんでいなかった。
それはその店に大体ある商品だったし、病人なのだから当然それをチョイスしてくれるだろうと、勝手な思い込みをしてしまった。
さて何が出てきたか、というと。
「買ってきたよー! カツ丼!」
——何でだよ!!!!
いや欲しかったのは親子丼だったからニアピン賞になるのか、これは?
いやいや違うだろ、重すぎだよ。
いうなれば胃弱なのに受験前日の夜食にカツ丼出されるレベルじゃないのかこれは?
何と言うべきか、などと考える以前に。
私は笑ってしまった。
「重いよ! 親子丼選んでくれるだろうと思い込んじゃってたよ!」
「え、そっちだったかー。ちょっと迷ったんだよ? でも食欲はあるって言ってたから、カツ丼の方が元気になると思って」
……うわーちゃんと考えた上の選択だったか。
指定しなかったこっちも悪いから何も言えねーですけども。
高熱出してる病人に、カツ丼食って元気になるかぁ。
もはや思考がアートチックなセカイだよ……。
ズレてると思うかどうかはその人次第なのでしょう。
まあ面白い人ではありました。
生活習慣があまりにだらしなくて我慢できず袂を分かちましたが——
不愉快なことばかりではなかったなと、ぼんやりと思い出してみたり。
「ばかもかぜをひく」
「つまんないこというね」
掠れた風邪声で返されたけど病人に悪口を言ったことは後悔してない。
「うつるから来なくていいのに」
「うつったら学校休めるし」
「元気でも休むくせに」
布団からこっちを見上げる目が笑いに細められた。そっちもじゃん。共犯のくせに今日はこっちだけ悪いみたいな顔をして。
また寒い公園でだらだらと時間つぶそーよ。
「さしいれ」とコンビニで買ってきたプリンとプラスチックのスプーンを枕元に置いてやった。
2023/12/16風邪
tsutsu
風邪ひいたりしてないかしら…
この時期になると…
つい寒くなるし
心配になる…
元気ならそれはそれでホッとする。
風邪…どことなく憂鬱。
#風邪
小学生の頃、何か行事があったりすると
前日まで風邪を引く努力をしてみたりした。
涼しくなってきたら、お腹だして寝てみたり
寒くなってきたら、コタツで寝てみたり。
ただ報われたことは一度もなかったな。
昔から心臓以外は頑強なのだ。
それなのに大手振って学校休める冬休みに入った途端
風邪で寝込んだりする。
血が出そうな程、歯噛みしたもんだ。
「バカは風邪を引かない」なんて言うらしいが、わたし的には
「バカは引きたい時に風邪を引かない」だと思う。
(風邪)
えっちょーい!
一緒に働いてるベトナムの子がクシャミした
なんか面白いクシャミだなと思って
周りの他のベトナムの子達みたら
なんの反応もなく黙々と仕事してる
あぁ、えっちょーい!は
普通か…と納得して仕事に意識を戻した
毎朝寒いけど風邪ひかないようにね
母親になると風邪をひかくなる。
母の言葉だ。
確かに母が風邪で寝込んだり
病院に行ったりする姿など
見たことがなかった。
自営業の父の手伝いと
3人の子育てで
毎日クタクタになっていた母が
常に体調が良かったはずは、ない。
体調が悪くても
仕事と子育てを
休むわけにはいかない
と自分に言い聞かせていたのかもしれない。
そんな母の
寝込んでいる姿を初めて見たのは
末期の子宮頸ガンで入院したときだった。
享年64。
体調悪いときには
ちゃんと寝込んだり
医者に見てらうような母親なら
もっと長生きしてくれたのではないかと
母を思い出すたび
残念な気持ちと感謝の気持で
胸が詰まる。
かぜをひかないようにね
ほかのどんな病気も怪我も
できることなら
すべてこの身に受けたい
どうかあなたが
辛い思いをしませんように
「風邪」
#274
【風邪】
目を覚ますと君の寝顔があった。僕のベッドに頭を預けて、すうすうと寝息を立てている。カーテンの向こうから差し込む夕日が、室内を優しい橙色に染め上げていた。
隠していたつもりだったのに、どうして気がついたのか。いつのまにか額に貼られていた、既に生温かくなっている冷却シートを指先でなぞる。合鍵を使って勝手に家へと入り込み、一通りの看病をしてくれたらしい君の眠る姿をぼんやりと眺めた。
多少の風邪くらい、放っておいたって構わないのに。いつだって一人で耐えてきたのだから、このくらい問題ない。それなのに君の向けてくれる優しさが愛おしくて、じわりと涙が滲んだ。
(おかしいな。何でこんなに、涙もろくなっちゃったんだろ)
全部、全部、君のせいだ。君が僕に、誰かがそばにいる温もりを教えてくれたから。君が僕を、ただの人間にしてしまったから。君が僕の不調に気がついて世話を焼いてくれたことを、こんなにも嬉しいと思ってしまうんだ。
(ありがとう)
重たい腕を持ち上げて、君の頭をそっと撫でる。そうしてもう一度、穏やかな微睡みへと思考を落とした。
1年ぶりに風邪をひいた。
念願の休みな筈なのにこんなに虚しい。
何もやる気でないし、
朝から何も食べてない。
今日は友達からLINE来るかな。
「今日なんで休んだの?」「大丈夫?」って
…そんなの今まで一回も来たことないけど。
お題 : 風邪 #36
暗闇、無の中、響く叫び声。
ああ、神よ。どうか、どうか、お許しください。
悪にとって善は悪なのか。
善にとって悪は悪なのか。
ならば、その善と悪は誰が決めるのだろうか。
もし、今善と悪を知る術があるのなら
はやく、はやく知りたい。
最初から、何も見えず、恐らくネガティブな音だけが聞こえる耳。唯一頼れる感覚さえも、いつかなくなってしまった。この世界をいつか見てみたい。
医者が言うには「治しようがない」
クラスメイトが言うには「弱者」
家族が言うには「ごめんなさい」
でも、こんな弱者でも一つだけ、とても強いことがあった。それは何にでも恐れないことだった。
ネガティブな音以外が聞こえない耳を持っていたとしても、何故かそれを全く怖いと思わず、喋ることだってできた。何も聞き取れなくても、友達を作って、友達とハグだってした。何も出来なくても、何もかもを失ったと思っても、この勇気が、恐れない心だけが、僕をいつも助けてくれた。このありがとうは親に告げた。
この時、誰かが、恐らく親が泣いていた。
僕のありがとうは迷惑だったのかな。
そういえば、なんで僕は生きれているんだろう。
実は、車椅子もなんも使ってないんだ。でも、感覚がなくても、何故か足の動かし方だって、分かったらしい。そのせいで
「何が仲間だよ。お前、普通の人間だったりしてな。それで俺らを見下して笑ってるんだろ」
って、最初の無感覚の親友に言われた。
あの人が
ある日
卵酒が飲みたいと言って
自分で作って
飲んでいた
ひたすらに
日本酒が好きなひとだった
風邪。季節の変わり目は風邪をひきやすいんだったか。
体調なんて一年中悪いから風邪をひいてもわからない自信がある。
しかし風邪に限らず健康には気をつけなきゃいけない。それはわかってるけど堕落した生活を送ってしまうのだな。
それにしても昨日は暑かった。冬なのに暑くて電気毛布も必要なかったし昼間はエアコンとか扇風機をつけたくなったくらいだ。
今年の冬はやはり異常だな。こうなると環境問題について思いを馳せてしまう。特になにかする訳ではないけど。
風邪
最近は朝と夜が寒いと思っていたら昼間は暖かく感じるとても不思議な気候だと感じる
でも、これだけ不思議な気候だと風邪をひきやすい
最近では風邪がすごく流行っているのだから
微熱の続き
風邪
俺の風邪は、あの白衣の痩せぎす野郎を
怒鳴ったせいか ぶり返した。
全く元軍人が聞いて呆れると自分で思う....
次の日
今度は元上司が見舞いに来た。
コンコンッとドアが静かにノックされる。
俺は、熱がぶり返して 返事も
億劫だったので無言を貫く
「新庄(しんじょう) 阿久津(あくつ)から
聞いたぞ! 風邪は、大丈夫か?」
俺の名前と 昨日見舞いに来た
元同僚の名前が出され 反射的に
顔を上げる。
「・・・・はい・・・」
そこには、凜とした佇まいの
女性が立っていた。
俺の元上司だ。・・・
「鷺宮(さぎみや)隊長・・・心配を
掛けてすいません
ちょっと熱がぶり返しましたが
大丈夫です。・・・」
元上司なので俺は、無意識的に言葉を
整える。
「隊長は、よせと言っただろう
鷺宮で良い」
「すいません・・・つい癖で...」
鷺宮さんは、苦笑して笑い返す。
「ちょっと顔を見に来ただけだ
もう帰るよ! お前に負担を掛けたくないからな」
そう言って 鷺宮さんは、踵を返そうと
する。
俺は、その背を見て 咄嗟に...
「あ...」と一音口から零してしまう...
俺は、内心で 舌打ちする。
その言葉を聞き逃さなかった
鷺宮さんは、振り向いた。
「ん?どうした?」
「別に・・・何でもないです...」
俺は、目線を外して答える。
俺のその態度を見た 鷺宮さんは
怒るでも 気分を害するでもなく
口元を緩く綻ばせ
見透かした様に 俺が言い淀んだ言葉の
応えを言う。
「ニフジなら元気だぞ!お前に会いたがってた ニフジの為にも早く元気に
なるんだな!」
「・・・別に...あいつが居ると
うるさいし...居なくて清々してます....」
俺は、そっぽを向いて答える。
すると鷺宮さんは意地悪く口角を
釣り上げ
「そうか...ならニフジの事は今後
私が預かろうか?」
その言葉に背を向けていた俺の肩が
反射的にぴくりと動いてしまった
自分の体が忌々しいと また内心で
舌を打つ
「・・・御自由にどうぞ・・・」
俺は、壁際に顔を背け背中越しで答える。
鷺宮さんは、「冗談だよ!何せニフジが
それを拒絶するだろうからね!」
くすくすと鷺宮さんは、笑い
その言葉を最後に鷺宮さんは、
手を振り帰って行った。
全く 阿久津と言い鷺宮さんと言い
一体何なんだ....
俺は、腹立たしい気持ちになり
しばらく眠った。.....
夜の闇が深くなった頃 俺は再び目を
覚ました。
見るとスマホの液晶画面が 眩く
光っていた。
(メール...いや....動画か....)
俺は、何の気なしにその動画を開く
すると・・・
「先輩 大丈夫? 早く元気になってね!!」
俺は、驚愕で目を見開く
日溜まりみたいな少女の笑顔が
其処には、あった。
「私も先輩のお見舞いに行きたいのに~
皆が駄目って言うの~」
少女が頬を膨らませ必死に抗議する
姿が映る。
その姿を見て 自分の口角が上がりそうに
なるのを抑える。
「馬鹿....」そう微かに呟くのが
精一杯だった。
俺は、布団を被り もう一度 目を閉じ
眠りに付いた。
風邪
風邪は身体だけでなく心も蝕む
整理された何もない空間の片隅で
ただ床に伏せる
数年前に購入した期限切れの栄養ドリンクを流し込み
スマホの画面だけが光る世界で
時が過ぎるのを待つ
『風邪』
ドラッグストアでのアルバイトははちゃめちゃに忙しいけど、生活に関わるものばかり売っているので買っていくひとの生活も見え隠れするのがわりと好きだ。レジ打ちのときにはエナドリ飲み過ぎはだめですよとか、これからエッチなことするんですかとか、そのリップめっちゃいいですよねとか勝手ながら相槌を打たせていただいている。
客入りもまばらな閉店間際の22時半前。見るからに具合の悪そうな人が入ってきた。パンの人だ。夜の今ぐらいの時間に割引されたパンと野菜ジュースを買っていくのでいつも不健康そうな顔色をしているその人が、きょうはマスクを付けて咳とくしゃみを連発していた。レジに運ばれてきたのは割引シール付きのパンと野菜ジュースと、風邪薬の錠剤。いつも通りのレジ打ちとタッチ決済のやり取りのあとに軽く会釈をされる。これもいつものこと。
「あの、お大事に」
とっさに出た自分の言葉に自分で驚き、言われた方はもっと驚いたようで、どもりながらのありがとうございますをいただいた。歩き去りながらまた会釈をされたのでこちらもありがとうございましたと言って見送る。
いつも通りではなかったあのやり取りをなんとなく思い出すことの多かった何日かが過ぎて、また同じ時間のシフトに入った。パンの人の風邪は治ったのだろうかと思いながら迎えた閉店間際の22時半前。その人がやってきた。レジに運ばれてきたのは割引シール付きのパンと野菜ジュース。もう風邪は治ったんですか、と頭で思ったことがすぐに口をついて出てしまう。
「まだちょっと調子が悪いですけど、おかげさまで」
いつものレジ打ちの間にその人は調子が悪そうながらも、不健康そうながらも、はにかんだような笑顔で答えた。ぎゅむとなにかに胸を掴まれた感じがする。
「わたしも、風邪かもしれません」
「えっ、僕のせいだったりしますかね……」
「たぶん、そうですね……」
ごめんなさい僕のせいで、とかあなたもお大事に、とか言われたはずなのだけど自分が何をどう答えたのか思い出せない。ふと我に返ってバックルームでシフト表を確認する。次のバイトは明日。うれしいような恥ずかしいような気持ちで胸がざわついていく。
「店長!」
「なに騒々しい」
「明日のバイト、わたしがんばりますね!」
「わかったから掃除したら早く帰って」
早めの葛根湯や、早めのパブロンが教えてくれている。風邪はひき始めが大事だ。モップを持つ手に力が入る。
「風邪には早めの、告白っしょ!」