信号機

Open App

暗闇、無の中、響く叫び声。
ああ、神よ。どうか、どうか、お許しください。

悪にとって善は悪なのか。
善にとって悪は悪なのか。
ならば、その善と悪は誰が決めるのだろうか。
もし、今善と悪を知る術があるのなら
はやく、はやく知りたい。

最初から、何も見えず、恐らくネガティブな音だけが聞こえる耳。唯一頼れる感覚さえも、いつかなくなってしまった。この世界をいつか見てみたい。
医者が言うには「治しようがない」
クラスメイトが言うには「弱者」
家族が言うには「ごめんなさい」
でも、こんな弱者でも一つだけ、とても強いことがあった。それは何にでも恐れないことだった。

ネガティブな音以外が聞こえない耳を持っていたとしても、何故かそれを全く怖いと思わず、喋ることだってできた。何も聞き取れなくても、友達を作って、友達とハグだってした。何も出来なくても、何もかもを失ったと思っても、この勇気が、恐れない心だけが、僕をいつも助けてくれた。このありがとうは親に告げた。
この時、誰かが、恐らく親が泣いていた。
僕のありがとうは迷惑だったのかな。

そういえば、なんで僕は生きれているんだろう。
実は、車椅子もなんも使ってないんだ。でも、感覚がなくても、何故か足の動かし方だって、分かったらしい。そのせいで
「何が仲間だよ。お前、普通の人間だったりしてな。それで俺らを見下して笑ってるんだろ」
って、最初の無感覚の親友に言われた。

12/17/2023, 3:36:44 AM