『風邪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
僕は咳をしながら教室に入った。
実は今日、朝起きた時からだるかったんだ。なのに来たのはあの子がいるから。
おしとやかで優しくて、可愛いあの子のことが僕は好きだ。けどアプローチなんかできっこないからこっそり教室内で見るだけ。
そりゃ付き合いたいとも考えるけど、僕なんかは無理だ。根暗でコミュ障、おまけに顔も下の中くらい。あの子に釣り合うわけない。
今日も明日も明後日もずっと、僕は同じ教室にいれるだけで幸せだ。そう思っていたけど…。
-2限目-
「ごほっごほっ」
咳が悪化してきた。熱も出てきたようだ。
「ねぇねぇ、もしかして体調悪い?」
……!!! 話しかけられた?!
あ、早く答えないと。
「えあ、そ、そうです…」
緊張して吃ってしまった…。あの子の口が動く。
「だったら保健室行こ!心配だからついてくね」
ああ神様、こんな幸せでいいんでしょうか。
僕のことを心配してくれてる、本当に最高だ。
今朝、風邪とわかった時は最悪だったが…
風邪ひいてよかった…!!!!
風邪____
【霊感】
彼の周りは怖くて嫌な暑さがあった。近づけば誰もが彼の周りにナニカが見え、触れれば火傷をする。だから今日も彼はバケモノと呼ばれる。
でも、ある日ある女性が今までにないぐらいの大量の霊を連れていた。
「ついてますよ、霊」
「あぁ、生まれつき冷たいんです。近づかない方がいいですよ笑」なんて苦しく彼女が笑う。全ては払いきれなかったが彼女の死人のような冷たさは彼の熱で消すことができた。
「うぅ、うっ、、」
まずいまた泣かれてしまった。周りにいるのは火の守護神なのに見た目は俺のように化け物。そんなこと鼻からわかっていたはずなのに、また誰かを助ける。感謝などされるわけないのに。
「すいません、怖かったですよね、消えます」
「あ、違うんです。貴方が本当に暖かくて、安心しただけなんです」
その言葉を言われた時、
俺は初めて感謝され自分の能力に感謝した。
女性側のお話も「クジラになりたいイルカ」という名前であるので見つけたら読んでみてください。
「咳、鼻水、咽頭痛、発熱、倦怠感、筋肉痛、etc.……
これがどうして「邪な風」という漢字で表現されるんだろう?」
「お前はそういうめんどくさい事考えるから頭が痛くなるんだよ」
「気になったんだもん」
「いいからほら、口開けろ」
「あ、ウサギ林檎。なんでウサギなのかな?」
「あーもう、ほら!」
「んぐ」
「あれこれ考えるのは熱が下がってからにしろ」
「はぁい」
「まったく」
「ねえ」
「あ?」
「ありがと」
「……おぅ」
END
「風邪」
風邪と言えば、
この5年間一度も風邪をひいてないのですが。
おバカになってしまったのやも(笑)
《馬鹿は風邪をひかない》って子供の頃からことわざとして知ってはいるけど、この言葉の意味をちゃんと考えたことがなかったように思う。
調べてみると、江戸・天明六年(1786年)に松葉軒 東井(しょうようけん とうせい)なる人物が編纂した諺語(げんご)辞典に《馬鹿は風邪をひかない》と同じ意味とされている「信天翁凮不引(あほうかぜひかず)」ということわざが記されている。
なんでアホのことを表現するのに“信天翁(しんてんおう)”という漢字を使ったんだろう? って思うのよね。
調べてみると、「あほう」って言葉は知られている限りで古い時代だと鎌倉時代に遡るらしい。
鎌倉時代前期の歌人である鴨長明の書いた仏教説話集の流布本『発心集(ほっしんしゅう)』八巻のなかで「臨終にさまざま罪ふかき相どもあらはれて「彼(あ)のあはうの」と云ひてぞ終りにける」とある。
文字(漢字)表記としての「阿呆」がアホの意味として書物に出てくるのは幕末で、慶応三年(1867年)にアメリカ人宣教師ヘボンが編集した日本初の和英辞典である『和英語林集成』なので、室町時代の「愚物(あほう)」という表記が出てくるまでは「あはう」「あほう」「安房」という書き方しかなかったわけなのよ。
信天翁(しんてんおう)というのは和名ではアホウドリと呼ばれている鳥のことを中国・明(ミン)代の『丹鉛総録(たんえんそうろく)』という書物のなかで記されていた漢字表記。この漢字が日本に入ってきたときにアホウドリのことを意味する漢字だと知って、当て字で「あほう」と読むようになったらしい。で、その説明の和訳をネットで探すことができたんです。個人が訳したものなんですけど、それによると、
《信天翁は自分の餌である魚を自分では捕ることができないので、鷹が捕まえて取り落としてしまった魚が空(天)から落ちてくるのを信じて、そのずっと待っている様子がお爺さんのようで暢気な鳥である》
……ってことらしい(笑)
で、その状況を想像してみたの。
鳥のことじゃなくて、お爺さんのことを。岩場で竿を持って釣り糸を海に垂らしながらも、ポカーンと呆けて空を見上げつつ鷹が捕獲した魚を落としてくれないかなあ~なんて思って、ずっと竿を持ちながら岩場に座ってるの(笑) でもお爺さんはその時間を全然苦痛だなんて思ってなくて、むしろ愉しんでいるのよね。周りで見ている人はそのお爺さんのことを「なにやってんだ、あほうだなあ」って思うかもだけど、本人はお構いなし。だってお爺さんはずっと待っていられるように、ちゃんと準備していたのよ。あほうなんかではなくて、本当は賢くてしっかり準備出来ているから、あほうのように振る舞えたんじゃないかなあって。
そんなふうに想像してみたら、《馬鹿は風邪をひかない》ということわざが今までの認識とは違って思えてきたのよね。自分の置かれるであろう状況を予測した上でしっかり準備ができていれば、どんな状況になっても、たとえ馬鹿に思われる状況になったとしても風邪をひくリスクは抑えられるって。
馬鹿になれるほど準備の出来た人は風邪をひかない。って、そんなふうに思いたいなあ。
テーマ/風邪
ふわり、ふわり。
薄紫色の空を泳ぐくじらが発見されたのはちょうど先週のこの時間だった。
そのくじらは星空のように輝いて見えることから、
「うちゅうくじら」と名付けられた。
あいつがもたらした影響は本当に大きい。まず医者で教育熱心な私の両親と数少ない友人を眠らせたこと。奴はくじらにしか出せない音波らしきもので次々と街の人々を眠らせていったのだ。
「綺麗」
見上げると、星を散りばめたみたいにきらきらしたくじらの体が空中でたゆたっている。私は思わず息を飲んだ。
そして私は、潰れたビルの屋上、ほぼ地上に近い位置で叫ぶ。
「次は私よ」
くじらは私のそんな姿を見ると、少し安心したような表情のまま空に消えていった。
友人らしき人物は白いマスクと黒いサングラス、何故か室内でヘルメットを被ってバスタオルを肩にぐるぐる巻いていた。
そっ……とドアを開けて恐る恐る部屋に入ってきた姿はまるで不審者だった。
格好と挙動に思わず笑ってしまい、つられてさっき止まったばかりの咳がまた出てきた。ゲホゲホと咳き込むと、心配そうに慌てる姿がおかしくてまた笑いと咳が込み上げてくる。
落ち着いた頃に息を整えながらそいつの方を見ると、サングラスとマスクで顔が隠れていても分かるほど心配そうな顔をしていた。大丈夫だ、と親指と人差し指でまるを作ると、持っていた小さいホワイトボードにペンで文字を書き始めた。
『ご飯たべれる? 食べられそうなものある?』
手には軍手を着けているため、書きにくかったのかふにゃふにゃの字だった。ホワイトボードをそっと渡してきたから返事を書く。
『なんでもいい』
『なんでもいいが1番困るよ!』
『喉に良さそうなものがいい。喉が痛い』
『分かった。ちょっと待っててね』
グッと親指を立てて足早に部屋から出ていった。
出ていく途中でドアにヘルメットをぶつけていたところは笑うとまた咳が出そうになったから必死に見ないふりをした。
伝染らないようにぎこちなく感染対策しつつも看病してくれる優しさが有難い。なにせ今は兄弟たちとは離れて暮らしているため、身近で頼れる人があいつしかいない。
この前、どうしても抜けられない会議の前に痛めていた喉は普通に風邪だったらしい。同じ部屋で過ごしたあいつはいつも通り元気そうなのが良かった。
体調管理には気を付けていたつもりだが、不健康な生活には残念ながら自覚がある。あの厳しい医者の手にかかればこっぴどく怒られるのは間違いない。でも仕方ないんだ、仕事が本当に忙しく終わらなくて。
などといった言い訳を並べても喉の痛みは治らない。考えるのをやめようと、自然に落ちてくる瞼に身を任せた。
気配を感じて目を開けると、黒いサングラスに反射した自分の情けない顔が見えた。いつの間にか友人が帰ってきていたらしい。
こちらを覗き込んでいた彼は顔を上げるとまたホワイトボードへ書き始めた。
『さっきおでこを触ってみたけど熱も少しありそうだね』
通りで至近距離まで近付かれても起きなかったのか。頭の動きがずいぶんと鈍いらしい。
『とりあえずゼリーとプリン買ってきたよ。薬も貰ってきたから、食べ終わった後にそこの水で飲んでね』
サイドテーブルには桃味の果肉が入ったゼリーが置かれていた。好きな味だ。ボトルに入った水と白い紙袋――恐らく薬だろう――も見えた。
『昼休憩終わりそうだからそろそろ戻るね。何かあったらすぐに連絡して』
わかった、と小さく頷くと、親指を立てるハンドサインを掲げながら彼は足早に寝室から出ていった。
時刻は普段の休憩終わり5分前を指していた。今ここにいて果たして間に合うのだろうか。この寮から執務室にはかなりの距離があるはずだが……
身体を起こしてヘッドボードにもたれる。さっきよりも悪化しているのかひどく怠さを感じた。とにかく何か食べないといけないから、傍に置かれたゼリーに手を伸ばした。
お題:風邪 『愛を注いで』の続き
連絡が途絶えた。
嫌われるようなことはしてないはずだ。
なんならあっちから連絡が来ていたのにどうしたんだろう。
…あれ、俺もしかして駆け引きされてる?
でも付き合ってるのに駆け引きってするものなのか?
えーい!知らん!会って直接聞こう!
そう意気込み、あなたの家に着いたのがさっき。
どきどきしながらチャイムを鳴らす。
…出てこない。
そういえば…と合鍵をもらっていたことを思い出し、これまたどきどきしながら初めてそれを使う。
扉を開けて声をかける。
「お邪魔します…」
返事がない。
「おーい、いないのー?」
…人の気配はするのに返事がないことに一抹の不安を覚え、慌ててあなたを探す。
「あれ…?来てくれたの?」
…明らかに体調を崩したあなたの姿を発見。
話を聞くと、一人暮らしを始めて初風邪をひいてどうしようもできずひたすら寝ていたとのこと。
「心配したでしょうが!」
お母さんのような言葉をかけつつ、あなたが無事なこと、あなたに嫌われていなかったことに安堵。
そしてあなたに頼られる存在でありたいと強く思った。
「…お願いだから、俺を頼って。」
231216 風邪
39.8℃。
高熱で頭が回らない。喉が痛い。体が重い。
でも、
貴方が看病に来てくれるから。
貴方が買ってきたゼリーがあるから。
貴方がそばに、居てくれるから。
風邪とはまた違う頬の火照りが増した気がした。
【風邪】
#7
風邪
クシュン…ズルズル…昨日から、何となく体調がおかしい…こんな時に、側にあなたが居て欲しい…心の中まで、何処か、寒い感じがする…一人の夜は、切なくて…
風邪をひいて安心した
今まで病気にかかったことの無い健康体
兄弟には羨ましい
両親には嬉しい
よく言われる
けどね。風邪をひいて初めて
あぁ、自分も同じだとほっとする
#風邪
熱が出る。ちょっと嬉しい。
大人になると、一人で立たなくてはならないから。頑張ることが当たり前で、その上で成果を出さないと誰も認めてくれない。褒めてなんて、当然くれない。優しく頭を撫でて微笑んでくれる。そうして容易く得られた体温が、まるで幻のように遠くなる。
だからだろう。この特権が、たまらなく嬉しいのだ。
眠りから覚めた顔を、心配そうに覗き込む。そうして額に差し伸べられる手のひら。いつもより優しく、気遣うような愛情。
あの頃は得られた、けれど今はもう、遠ざかってしまったすべてが、今だけは全部わたしのもの。
不安そうな顔をするあなたに、こんなこと言ったら呆れられてしまいそう。だから、この思いは内緒。
明日になったら、きっと全てが元通り。それまでは、あたたかな愛に甘えていよう。
【風邪】
風邪
ふと目覚めて、
窓の外
風が吹きづさび
また瞼が落ちる
気がつくとさまざまな場所にいて、
さまざまな人と話をしている。
時には悲しい時も、幸せな時も、苦しい時もある
驚きに飛び起きる
寝汗でじっとりと濡れている背中に
ほっと息を吐く
息をするのすら辛くて、
けれど今しがた見たものが幻想でよかったと思える
しかし時にはなぜ目が覚めてしまったのかと、
頬を膨らませる。
風邪
あなたに思いを馳せるだけで
体は熱く苦しく、不安で胸が締め付けられる
夜は眠れず食事も喉を通らない
これはただの風邪?
いいえ
これはきっとあなたに患わされた恋の病
そして特効薬の処方できるのもまた
きっとあなただけ
ここ10年以上ひどい風邪をひいていない。
風邪の一歩手前の未病の時に薬を飲んだり、早く寝たりするようにしてからどうにか防げている。
ありがたいことだと思いつつ、今年から来年もこの記録を更新していきたい。
テーマ:風邪
風邪なんてもう何年も引いていなかったのに。
どれだけあの環境が健康に気を遣ってくれていたのかが今になってよくわかる。
別に風邪を引いて熱が出て寝込むほどひどい訳ではない。
でも、それでも。少しは心細くなる。
あれほど鬱陶しいと思っていたたくさんの人たちも。あんなにも逃げ出したかった空間も。何もかもが大切だったんだ。
少しだけ
少しだけ
感傷に触れる
そばで握るあなたの手
少し冷たくて心地いい
もう少し
もう少し
こうしていたい
微睡みながら夢をみる
夢の中だけは特別
あなたのそばにいさせて
あなたの熱に浮かされて
耳たぶに泡が乗るんだよね
父ちゃんは米も乗せれるぞ
あなたは歌が上手いんだね。
お父さんに似たんだね。
私、喉が弱いんだよね。
父ちゃんに似たんだな。
#風邪
同居人が風邪を引いた。
昨日から付きっきりで看ているけど一向に熱が下がらず、空咳も収まらない。
「だからさっさと髪を乾かせと言ったんだ」
「う、ごめんなさい……けほっ」
「……はあ。まあいいけど」
昼からお医者さんに診てもらおうかと言えば、明らかにゲェという顔をする同居人。まったく、いくつになってもこの医者嫌いは治らないらしい。
「とりあえずお粥作ったけど、食欲はおありで?」
「ある! ちょーお腹空いた!」
「はいはい。じゃあ鍋持ってくるから、この手、離してくれない?」
さっきから服の裾を握られていたのだが、動きづらくてちょっと邪魔、なんていうと泣き出しかねないので優しく言う。……優しいはずだ。
その考慮が効いたのか、若干渋りながらもおとなしく手を離してくれたので、お粥の入った小鍋を取りにキッチンへ。それを、水を入れたコップと共にお盆にのせてから部屋に戻る。
同居人は私を見るなり、目をキラキラさせてお盆に手を伸ばした。そんなにお腹が空いていたんだなあ。
ベッド横に置いていた椅子に腰掛けて、小鍋の蓋をとる。途端、湯気と出汁の香りが立ち上った。
「はい、どうぞ。無理せず吐かない程度に食べるんだぞ~」
「はーい! いっただっきまーす!」
同居人は、さっきまでの咳が嘘のようにパクパクとスプーンを進める。
うーん、やはりこいつは実に美味しそうに食べる。作りがいがあるというものだ。
その晩のリビングには、医者に処方されたほんのすこしのスパイスを必死に飲み下し、この世の終わりのような表情で口元を押さえる同居人の姿に、ぼくはすっかり笑い転げてしまった。
▶風邪 #47
みんな、暖かくして寝て下さい。
こんなお題のもとに、体調不良の子どもたちが集ってしまうからには。
年の瀬って、正邪問わずの通り者が多いしさ。
【風邪】
ピピピ、39度。嫌な予感はしていたけれど、実際その数字を見ると歩く気力もおきなくなる。
朝から体が妙に重いものだから、試しに熱を測ったらこれだ。会社に行かなくていいのと、しかし一日ベッドから起きれない憂鬱さとで、ふう、と溜め息ひとつ。すぐに喉に痛みが走り、咳が出る。
まずい。これは本格的にまずいタイプの風邪だ。
「大人しく寝るかあ……」
横になって天井を見るけれど、真っ白いばかりでなんの面白みもない。
昔は、両親がそれはもう甲斐甲斐しく面倒をみてくれた。やれお粥だ、やれ氷枕だ、風邪にはネギが良い、いや温かくしないと……など、病人の周りでてんやわんやする。あの騒がしさが、今となっては心地よかったのだと分かる。
静かな部屋は、寂しい。
「ひとりでなんでもできるって、思ってたんだけどなぁ」
意外とそうではなかったらしい。お腹が空いているのに、動きたくない。このままでは餓死してしまう。
ごろん、と寝返りを打ってキッチンを見るけれど、そこに手は届かない。誰か薬と食事と水を。
「おかあさん……」
ピコッ、と短く通知音が鳴った。サイドテーブルのスマホの画面が明るくなっている。ぐ、と手を伸ばして取ると、通知欄にお母さんからのメッセージ。
『元気? 風邪とか引いてない?』
「ふっ……ふふ、タイミング……」
お母さんは全てお見通しらしい。
なんとか『ひいてる』と返信し、また天井を見る。
「母は偉大……だねえ」
両親の心配そうに覗きこむ顔を思い出し、私はまた笑った。