泡くらげ

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ふわり、ふわり。
薄紫色の空を泳ぐくじらが発見されたのはちょうど先週のこの時間だった。
そのくじらは星空のように輝いて見えることから、
「うちゅうくじら」と名付けられた。

あいつがもたらした影響は本当に大きい。まず医者で教育熱心な私の両親と数少ない友人を眠らせたこと。奴はくじらにしか出せない音波らしきもので次々と街の人々を眠らせていったのだ。

「綺麗」

見上げると、星を散りばめたみたいにきらきらしたくじらの体が空中でたゆたっている。私は思わず息を飲んだ。
そして私は、潰れたビルの屋上、ほぼ地上に近い位置で叫ぶ。

「次は私よ」

くじらは私のそんな姿を見ると、少し安心したような表情のまま空に消えていった。

12/16/2023, 3:48:34 PM