『風に身をまかせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ひるがえる草葉の白の渡りきて
我飲みて過ぐ 初つ夏のハグ
#短歌 #書く習慣 20230514「風に吹かれて」
風に身をまかせ
ふわふわと歩く
気のむくままにのんびりと
何も考えないでゆったりと歩く
長閑な景色を楽しむ
たまになら、そんな日もいいかな
草原に私は寝転んでいた。
風が吹くと草木が揺れ、私もまた転がっていく。先には大海が見える。
潮がひいた砂地に着いても止まらない。
動かない。このままだと海に落ちる。
でも、不思議と楽なのだ。眠いときみたいに無理に動かしても思うようにいかないのだ。
だから、別に良い気もしてくる。
水音が響く。あたりが夜みたいに変わって、息ができなくなる。海底にはたくさんの人がいた。皆寝転がっている。そのほとんどは、頭を欠いていたり、腕や脚がない。
でも、その顔は寝息が聞こえてきそうなほどに安らかだ。それで良いのではないか。
そう思った私を誰かが押しあげる。
顔を向けると、その中の一人が眼を開き腕をバンザイするみたいにして、私の身体を押していた。
「まだ」
そう聞こえた。私は必死に錆ついた身体を動かして、草原に戻っていった。
『風に身をまかせ』
きみに靡く私。
遊んでいたのはどちらだったかしら。私は確かに過去のほとぼりを取り返してしまったわ。
地球を一周するにはずっと速いわね。もう一周してきたら?
"風に身をまかせ"
昔はこんな立派な人がいた
崇められた英雄が
過去の栄光のままモニュメントになっている
昔はこんなことが行われていた
時代を彩る優雅な儀式の片隅で
生け贄の涙は葬られた
現代は正しさの時代
発掘と暴露の鍵を
じゃらじゃらと持ち歩き
すべての時代の検閲を行っている
だから
風に身をまかせてはならない
#風に身をまかせ
楓にも花がある。とても遠慮深くて仄かな色をつけているから、目立たないけれど。
種はかわいいんだ。竹とんぼみたいにくるくるまわりながら、風のままに飛んでゆく。風媒花っていうんだよ。
風に流され、楓はまた奥ゆかしい花を咲かせて、目が覚めるような緑から鮮やかな紅葉、そしてまた、その種はくるくると飛んでゆく。
花の香りもしないから虫や鳥を惹きつけない。
だから誰も気づかないんだけれど、こういう生き方をしてみたいものだね。
ある人が言っていた。
生まれ変わったら、蒲公英の綿毛になりたいな。
そして、流れ者として、あちこちを旅するのだ。
良い土地があれば、そこに落ち着いてもいいだろう。
そんな素晴らしい期待と希望で胸を膨らませ、わたしは今、飛び立った。
ああ、風が気持ち良い。
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風に身をまかせ
風に身を任せ、スカイダイビングとかやりたい。
一旦飛んだら、もう任せざるを得ないよね、風に。
スカイダイビング、何か精神が鍛えられそうな気はする。
でも実際生きてても、こんなふうに風に任せてるようなところあるよな。
寝て起きて世の中どうなってるかわからんし、人生もどうなるかわからんよね。
杞憂って言葉あるけど、実際は心配してる暇もないほど、危険と紙一重、と言うかもはや危険の中や、上で生きてるから。
日本は地震大国だしさ。地震大国に生きてる時点で、日本人はそう言う精神面、鍛えられてるはずだけど…。
それでも一見平和な時でも、心配性が多い。(自分含め)
よく考えたら不思議なことだよ。
平和な時くらいはもっと風に身を任せ、楽に生きたい。
お題 風に身をまかせ
何にもだれにも、自分の身を任せちゃいけないよ
自分の歩く道は自分で決めなくちゃ
なんつって。
外で庭仕事をしていたら彼がやって来て、
プランターで咲く赤とオレンジのガザニアのガズーを指差しながら、『昔のお前っぽい』と言い始める。
『なーに?可愛かったってこと?』と、にやにやしながら見上げると、
iQOSを吸いながら隣にしゃがんで、
『最初、派手な色の服着てなかった?』と言いながら少し横を向いて煙を吐く。
服の色かよ、と思いつつ、ガズーに液肥を加えていきながら、彼が言う最初とはいつのことだろう?と考える。
初めて会ったのは19の時で、そのとき
当時地元では流行ってたPINKY&DIANNEの赤いブラウスを着ていた。
入れてからまだそんなに日が経ってないという彼の右腕の刺青を見ながら、
『なんでこんな事するの?痛いのが好きなの?』と
無邪気を装って皮肉っぽく聞いたわたしに、
彼はムッとする様子もなく『腕は痛くない。けど、皮膚が薄い所は痛いよ。こことか、』そう言うと、
自分の方へわたしの腕を引き寄せ、腕の内側を手首から二の腕にむかって、下から上にゆっくり撫で始める。
驚いて固まるわたしの顔を覗き込みながら、彼が穏やかな口調で聞いてくる。
『興味ある?』
目が合った途端、しずかに、ジワジワと侵食されていく。
『興味、ある、、かも』
見た目よりずっと、おとなしくて、悪いやつだと思った。
その悪いやつと7年後に再会して、その3年後に結婚するとはあの頃夢にも思っていなかった。
彼が買ってきた白いカンパニュラとスターチスの花を花瓶に移して、リビングのテーブルに置く。
スターチスはドライフラワーにしようと考える。
風に身を任せたことはないけど
なんとなく、成り行きまかせできたことは否めない。
それでもこの生活を愛しているし、失いたくないと思えるくらいには、たぶん、愛されている。
[風に身をまかせ]
鳥を羨ましいと思ったことがある。
風に吹かれて自由に飛んでいける鳥に羨望を向けたことが一体何度あっただろう。
ああなりたいと今まで何度思っただろう。
あの青空に何度手を伸ばしただろう。
空(そら)を掴めなくて空(くう)を切るこの短い手に何度絶望しただろう。
私はあの青く澄み切った空を手に入れたかった。
手に入らないものだと理解していても心はあの空だけを求め続けた。ヒューと音を立てて一際強い風が吹き、私はまた手を伸ばす。俗世から離れた空に近い此処からだと私と空を遮るものがなくて、今だけこの空は正真正銘私だけのもの。
『どうして空に焦がれるの』
そう問いかけてきたのは誰だったっけ。
真正面に空が見える。
雲一つない蒼天は今日の門出に相応しい。
何よりも尊くて何よりも愛しい私の『空』。
風が強くて凛と腕を伸ばせない、あなたに伸ばす最後の手なのに。
あなたに伸ばす最初の手になるのに、触れられない。
ずっと生きて、ようやく私はあなたのものになれるのに。
何故、涙が出てしまうの?
空に焦がれ続けた私の人生。晴れやかな青空も、雲に憂いた空も雨に泣いた空も、満点の夜空だって何時いかなる時だって私はあなたを想っていた。愛し続けていた。
『魂に刻まれた“愛”だからだよ』
あぁ、ようやく私の願いが叶う。
嬉しい。私はあなたに還ることが出来るんだ。
あなたに焦がれたこと以外何もない人生だったけれど、最後に私はこの世で何よりも尊い愛に抱き締めてもらえる。
これ以上の幸福なんて、この世にありはしないでしょう?
――叶うと、いうのに。
(どうして……)
あなたの姿が段々と遠くなってしまうの……?
どうしてこんなに、…………。
「い、やだ」
嬉しいはずなのに涙が溢れる。
幸せなはずなんだ、私は幸せなんだ。
なのに、溢れる言葉と想いはあなたに触れられる幸福を拒絶するものばかりで。
ねぇ、私は間違えたの?
私が求めていたものはこれじゃあ、なかったの?
違う、違う。
私は『空』を求めていた。
青く輝く青空を、澄み切った貴方を私は確かに求めていた。
「わたし、まだ――」
『私、空が好き。友達じゃなくて、恋人に、なりたい』
『あ、……、お、れは……―――、――――――』
本当に焦がれた者の名前を口にする前に。
本当に焦がれた者の名前を思い出す前に。
―――私は地へと叩き落される。
風に身をまかせ彼への気持ちを飛ばした
遠くへ
遠くへ
【風に身をまかせ】
自転車の追い風に身をまかせて、緩やかな坂の一本道を走り抜けるのは、まるで空を飛び回る鳥のような感覚になれるから大好きだ。
君が電車で知らないオジサンに体を触られたと聞いた
ああ母さんごめんよ、僕は今日から犯罪者だ
君のための殺人
その罰を独り占めする権利をちょうだい
君を思いながら過ごす刑期が楽しみだよ
いつ死んでしまうか分からないあなたに
せめてこの時間だけは幸せでいてほしいから
私の言葉でたくさん笑顔にするよ
私たち家族のことを
死んだらあなたは忘れてしまうだろうけど
私はあなたのことが大好きだよ
普段は恥ずかしくて伝えることができないけど
私はあなたのことが大好きなんだよ
風はどこまでも吹いていく。
遠い国の匂いや人の思いを乗せて。
だから伝えたい思いを風に乗せてみよう
いつかきっと届くだろう
流されるまま
知らぬ間に道は閉ざされて
見たかった景色は後の祭り
絶景を眺めにのぼり立ち
つま先半分突き出すも
やっぱり僕は僕のまま
でも風が背中を押してくれたら
自由になれるよ
~風に身をまかせ~
これまでは
頑張らないと愛してもらえないと思っていた
努力は報われる
この言葉は私の足枷となっていた
でもこれからは
頑張らないと決めた
何も背負わず、誰にも媚びず、
ただただ風にまかせて
生きていこうと思った
そう思ってからは毎日が楽だ
これまで生きて来た中で一番楽だ
これからは
風にまかせて生きていく
2023、風の時代。
私たちは風の流れるまま
風に乗って
心が喜ぶ事をすればいい
土の時代からは解き放たれたのだから
風に身をまかせ
何も考えずに
ただ空を眺める
誰かが僕を呼んでる
誰だろう
でもわからない
どんどんその声が遠ざけていって
ついに聞こえなくなった
僕は空高くへと連れて行かれてるみたい
あぁ
この世界からも
みんなの心の中からも
僕は消える
仕方ないよね
ばいばい
みんな
〈風に身をまかせ〉
※二次創作注意
※ワルイージ×ロゼッタ
「まあ、奇遇ですね」
たまには昼に外食でも、とやって来たキノコタウン。
目ぼしい店を探して彷徨っていると、横から凛とした声を掛けられた。
立ち止まり声のした方を見る。ガニ股猫背の自分とは違い、しゃんと伸びた背筋からは気品が漂っていた。
涼しい色のドレスが今日も眩しい彼女は、挨拶がてら丁寧に頭を下げる。
「そ、そんな畏まられるとなんか調子狂っちまうぜ。で、今日はどうしたんだ?」
「風を辿ってここまで来たのですが、偶然貴方をお見掛けしまして」
不思議な事を言う人だ。
とはいえ彼女は、この蒼い星に並々ならぬ思い入れがあると聞いた事がある。
銀河という自然の中で暮らしている事を考えれば、あてもなく散策に出掛けるというのもなんだか頷ける。
「ワルイージさんはどちらまで?」
「昼を外で食おうと思ってな。良い店がねえか探してるとこだ」
「ならば貴方も風まかせにお店選びをしてみてはいかがでしょう。きっと素敵な出会いがあると思いますよ」
再び頭を下げた彼女が去って行く。
『だからお辞儀はいらねえ!』と開きかけた口を噤んだ。風を再度辿り始めた彼女の背中は本当に“今”を楽しんでいるように見え、邪魔をしたくない――ただ単純に思った。
「……あんたと以上に素敵な出会いはねえさ」
そんなキザったらしい言葉を空気に混ぜる。聞こえない距離だという事は分かりきっていた。
ポケットに手を突っ込み、握ったものを引き出す。
「オレ様は風よりこっちだな」
手を開くと一枚の銀貨。指に乗せて真上に弾く。
辺りに響く金属音は、彼女のドレスと同じ爽やかな色をしていた。
(おわり)