『風に乗って』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「お、いいところに来た!」
エメラルドの髪の少女が、風に話しかける。
「ちょっと、ある人に言伝を頼みたいんだけど…いいかな?」
「…今日は特別多く言伝を頼まれる。なんだ?そういう記念日かなにかか?で、お前はなんだ匂いでも運べってか?それとも紙飛行機か?今日はたんぽぽの綿毛とかも頼まれたぜ。お前も綿毛にするか?」
「んー、私は音を運んで欲しいな!君ならいけるでしょう?私の吹く口笛の音でも運んでよ。」
そういうと少女は、楽しそうに口笛を吹き始めた。
風はそれをそっと運びだす。野原を越えて、小川を越えて、扉を通ると配達は終わる。
椅子の上で楽しそうに足をバタつかせていた少女は、風に気付くと動きを止めた。
「いらっしゃーい!配達ご苦労様!はい、これ音の発信源にお願いします!」
黄色の髪をした少女は、風に紙飛行機を渡した。
風はそれを受け取ると、黙って引き返していった。
扉を通って、小川を越えて、野原を越えると、配達は終わる。
「紙飛行機、なるほどなるほど。よーし!会いに行くかあ!」
紙飛行機を受け取り、解体した少女は元気に走り出す。
『早くおいでよ』
解体された紙飛行機にはそう、書かれていた。
お日様におはようを言って
朝ごはんは食パン
お花畑にお散歩しに行こう!
赤、ぴんく、黄色のお花
童話に出てきそうなお花がいっぱい
空飛ぶふわふわ綿毛さんは風に乗る
風さん、私の歌も風に乗せてくれない?
綿毛さんといっしょに風に乗りながら
みんなでたのしい童謡を歌おう!
〜風に乗って〜
風に乗って
最近、風の日が多い。朝方は少し寒い位。同時に砂塵や肥料の臭いも。田舎特有の日常。砂埃のする道を歩きながら、連なる山並みと広々とした田畑を眺める。時々強めの風が吹き、遠くにある学校から微かな子供達の声や、大きなトラックの走行音等が聴こえてくる。そんな音や埃の臭いに混じって、微かに匂いが伝わる。そう、あの懐かしくて、刹那い…
私の気持ちが風に乗って貴方に届きますように。
お題 風に乗って
風に乗って、どこへ行こう
風に乗って、ひらひらと
行けたらいいな、遠い場所
風に乗って飛んでいく。たんぽぽは 飛んでどんどん長い旅をする。自分もそんなふうに…そんな憧れをもっていた。叶いなんて、しないのに。それでも
信じてみたいんだ。きっと明日も飛んでいく。私の願いは飛んでいく。
#3 風に乗って
桜は青々としは葉を繁らせ、
じんわりと汗を感じる季節になった。
火照った身体を冷ますように
風が少し強く撫ぜていく。
何とも言えない爽やかな心地は、
あの人と過ごした時を思い出させた。
からりとした空気とは裏腹に、
心は湿っぽい感傷に囚われる。
私の想いも風に乗って、
あの人のところへ届けばいいのに。
しばし歩みを止め、目を閉じる。
もう遠い過去、だから。
目を開けて再び歩き出したときには、
火照りも、ほんの束の間感じた未練も
ひと雫こぼれた涙と一緒に
風に乗って遠くに飛んでいった。
僕の友人は、少し、いや、かなり変わっていた。
ひょろりとした背と、細身だけれど、しなやかさに富んだ体つき。
切れ長の目は、見方によっては笑っているようで。
楽しげに弧を描いた口元は、心地いい声を紡ぎ出していた。
性格は、正直、解りにくかったっけ。
気紛れで、自由で、一度でも嫌いになったら容赦しない苛烈さもあって。
ーーーでも、何故か僕が困ることはしなかった。
からかったり、冗談を言ったりはしたけど、僕が本気で嫌がったらそれ以降はしなくて。
どんなに気が乗らない風でも、最終的には折れてくれたから、結構面倒見がいいのかもしれない。
そんな友人が、僕は大好きだったし、とても大切に思っていた。
……そんな友人が起こした、ある夜の奇跡。
いつもと変わらない、楽しげな笑みを浮かべて、夜の空に僕を誘った。
季節に似合わないヒンヤリとした手と、重さを無視した様な浮遊感。
目を見張る僕に、友人はからからと笑い声を上げた。
”風に乗って”空を飛ぶ、なんて、お話の世界にしかないはずなのに。
夢を見ているような、正直、夢だと思った事態を引き起こした友人は、悪戯が成功した子供の様に笑っていた。
風に乗って
【風に乗って】
春爛漫。
暖かな風が頬を撫でる。
空を押し上げるほどの強い風が吹く。
綿毛たちがその風に乗ってふわふわ飛んでゆく。
私も風に身を任せ、どこか自由に飛んで行きたい。
なんて、ムリなことなんで私は、
春の暖かな日差しを感じながら地面を歩くのだ。
お題「風に乗って」
さらり
ふわり
ゆらり
はらり
シャツの裾で遊んで
駆ける
匂いを連れて
熱を持って
いつか空にまぎれる
日付が変わる前のニュースで
今日の答え合わせをしよう
窓を開けて
今日の残り香を迎えよう
パジャマを着たら
今日の名残は洗濯かごに
絡まった想いは夢の中に
僕のうたも
連れていって
この庭で 咲いてほしいの エゴイズム
吐息の風で またねタンポポ
風に乗って
今日乗った風は馬の形してた
途中でたい焼きになったけど、結局馬に戻った
音もなく
ふわりふわりと
風にのって..
君が来るとね
わかるんだ
今日しか逢えない
今日だから逢える
一年に一度しか
咲かない君の
優しい香りが
風と共に..
毎年この時を
待ちわびる
忘れられない
大切な想いで
#風に乗って
この季節の私たちの通勤方法はたんぽぽの綿毛だ。
風向きを読み間違えて新人は良く遅刻している。
毎年の風物詩だ。そして、雨の日は休み。
梅雨時期なんか長期休暇に入るので、
みんな自分の担当新人に風読みを真剣に教えている。
残業はなるだけしたくない···
上司なんかはツバメに乗ってやって来るので羨ましい
ただ、時折ネコに挑まれていたりすると傑作だ!!
今年の私の担当新人はのんびり屋さんだ。
風読みは“ピカイチ”なのだが、
手を離すタイミングが悪くどこまでも行ってしまう。
まさに自由気ままに風に乗ってどこまでも····
早く休みよこい!!
『風に乗って』
昔、『ニルスのふしぎな旅』っていうアニメがあったの。
確かNHKでやってたと思う。
イタズラばっかりしてるニルスが、こらしめに小さくされて、白い鳥の背中に乗って色んな街を巡るうちに、経験積んで成長していくお話。
その白い鳥、私は勝手にアヒルだと思っていたんだけど、でも、飛んでるってことは白鳥だったのかなぁ?
遥か昔のアニメだから、記憶もあやふや。
今日のお題の『風に乗って』で何となく思い出しちゃった。
主題歌が可愛くてね、「ニルス、ヘイ、ニルス」って台詞で始まるんだけど、何とも言えないのどかな感じ。
ちなみにこの台詞言ってたのは、ザ・タイガースって沢田研二さんとか、岸部一徳さんとかがやっていたグループに居た人なんだって。
仲悪くて、タイガースが復活しても参加してないらしいけど。
どうしても譲れないものって、何十年経ってもやっぱり有るのかなぁ?
私も、心の中にドロドロした思いがあったり、ぶっ飛ばしてやろうかって思うぐらいのムカつく相手が居たりするんだけど、でもずっと持ち続けるのはしんどいなぁ。
なんて言いながら、思い出し笑いならぬ、思い出しムカつきもたまにあるんだけど、そんな思いこそ、風に乗せて飛ばせたら良いね。
うん。
やっぱり、生きていくのは、楽しい方が良いなぁ。
なんてね。
風に乗って
「あったー!」
そんな大きな声とブチ、と何かがちぎれる音がして思わずそちらに目を向けた。
そこには屈託なく笑う少女が、たんぽぽの綿毛を持って立っていた。その小さな口でふぅー、と綿毛に向かって息を吹く。
綿毛は風に乗って、遠くへと飛ばされていった。少女はそれらを追いかけるように走り出し、公園の入口あたりで手を振って見送る。
「またあえるかな?」
「そうねぇ、また来年ね」
母親の元に戻ってきた少女がそう問いかけると、母親は少女と目線を合わせるように膝を折り、そう答えた。
風に乗って
風に乗って運ばれてくるあなたの言葉
受け止めてみせる
風に乗って、私の想いよ、貴方へ届け!いつも臆病な私は、こんなにも溢れる想いさえ、貴方に伝えられないでいる…そんな情けない自分が嫌いだ…今日もあと一歩で話せそうなのに、またチャンスを逃してしまった…あーぁ。いつになったら、この溢れる貴方への想いを貴方に告げられるのだろう…?
ひんやりと湿った風だった。
水の匂いのする曇天に、遠雷が聞こえる。
飛び立つなら、こんな日がいい。
翼も箒もない。それでも飛べると信じるには、逆巻くような嵐の予感が要る。
雨粒を蹴り、稲妻を足がかりに、逆風に乗る。
だから、今日。
わたしは空をぐっと睨みながら、待っている。
わたしの乗るべき風を。嵐を。その訪れを。
#風に乗って
『風に乗って』
坂道を駆け下りる。両手に握ったバーに上への力を感じ、大地を蹴った。足元から地面が消え、空へと飛び上がる。
眼下に広がるのは陽光に輝く新緑と、咲き誇る野の花々。
耳元で風が唸る。大気が圧となって体を撫でる。
頭上のグライダーが風を受け、力強く体を支える。
ほんの束の間、風に乗り重力の軛から逃れ、自由を謳歌する。最高の瞬間だった。
ハング・グライダーは飛翔ではなく滑空である。自由はつかの間で、着地用のベースに降り立つことになる。
それを残念に思うと同時に、幾ばくかの安堵も感じる。やはり、翼持たぬ身では空にあることは爽快感と同時に緊張をもたらすのか。
だが、降り立った後はいつも、すぐに次のテイクオフに心が浮き立つのだ。
「ね、だから一緒にやってみようよ。二人で飛ぶこともできるからさぁ」
「高所恐怖症が今の話で『わぁ素敵!』ってなるはずねぇだろ一人でいけ。俺は地面から足を離さない」
2023.04.29