頭空っぽにして読め

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「お、いいところに来た!」
エメラルドの髪の少女が、風に話しかける。
「ちょっと、ある人に言伝を頼みたいんだけど…いいかな?」
「…今日は特別多く言伝を頼まれる。なんだ?そういう記念日かなにかか?で、お前はなんだ匂いでも運べってか?それとも紙飛行機か?今日はたんぽぽの綿毛とかも頼まれたぜ。お前も綿毛にするか?」
「んー、私は音を運んで欲しいな!君ならいけるでしょう?私の吹く口笛の音でも運んでよ。」
そういうと少女は、楽しそうに口笛を吹き始めた。
風はそれをそっと運びだす。野原を越えて、小川を越えて、扉を通ると配達は終わる。
椅子の上で楽しそうに足をバタつかせていた少女は、風に気付くと動きを止めた。
「いらっしゃーい!配達ご苦労様!はい、これ音の発信源にお願いします!」
黄色の髪をした少女は、風に紙飛行機を渡した。
風はそれを受け取ると、黙って引き返していった。
扉を通って、小川を越えて、野原を越えると、配達は終わる。
「紙飛行機、なるほどなるほど。よーし!会いに行くかあ!」
紙飛行機を受け取り、解体した少女は元気に走り出す。
『早くおいでよ』
解体された紙飛行機にはそう、書かれていた。

4/29/2023, 2:41:00 PM