静寂に包まれた部屋』の作文集

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静寂に包まれた部屋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

9/29/2024, 11:26:19 AM

※静寂に包まれた部屋

本当の静寂に包まれるなんてこと
気が狂ってからじゃなきゃ
分かんないとおもうんよ
気が狂ってるけど

だって自分の心臓の音がうるさいよ
発狂した大声が響き渡るよ
壁を掻きむしった爪の血が滴り落ちるよ

ああ、もしかしたら
人間の意識が尽きた時に
静寂になっているのかもしれないね



アメリカ作家エドガー・アラン・ポーのファン
代表作「黒猫」
江戸〜明治時代に流行って
「黒猫不吉」の都市伝説を作った作家さんです。

9/29/2024, 11:24:56 AM

「静寂に包まれた部屋」

田舎より都会の方が意外と静かに感じた

私が生まれ育った家は祖父が建てた木造の家だ。だからか、夜自室にいると外の音がまあまあ聞こえる
カエルや虫たちの大合唱や甲虫が網戸をカリカリする音。寝る前に時計のカチコチという音と共に聞こえてくる、四季折々の音たちである


ちなみに私はカエルがうるさいくらいなら寝れるし、部屋が静かすぎても寝れる
でも壁一枚隔てて外壁工事が始まったときは流石に寝れなかった。日中だったが夜勤明けだったので発狂した気がする

9/29/2024, 11:23:01 AM

静寂に包まれた部屋にはある兄弟がいた。
その兄弟は六つ子の男の子達だった。
その六つ子達は喧嘩をして黙って一緒の部屋にいた。
「………」
「…………」

一体なんの喧嘩をしていたんだろう…
自分で考えてみてね!

9/29/2024, 11:22:50 AM

「静寂に包まれた部屋」

 この部屋は、今、静寂に包まれた部屋だ。
 すごく静かだ。
 私は、スマホを見たり読書をし、久しぶりに1人で過ごして、一人の時間も大切だなと感じた。
 これからも一人の時間を大切にしていきたいと私は、思う。

9/29/2024, 11:22:38 AM

あー

わたしは
ここから
飛び降りようと思うんです
普通の一軒家

2階から
死ぬ気は無いけれど
かと言って
すごく生きたい気もしないけれど
多分ここからなら
運が悪すぎない限り
死なないと思ったからです。
人間というか
父というか
母というか
兄というか
妹というか
わたし自身といいますか、
もう何もかも
理解に及ばない存在になってしまったのです。
今日は一日中寝ていたのに
今は頭痛が酷くて
電気をつけるのすら
めんどくさくなってしまった
部屋が
妹が
つける
その
照明が
妙にウザったらしくて
泣きそうでした。
何もしないわたし
ですが
あした生きるという行為をするぐらいならば
時間稼ぎを
しようと
思ったのです。

死にたくは無いですが

9/29/2024, 11:21:10 AM

仕事が終わってうちに帰る

「ただいま」

「…」

返事が返ってくることはもうない

きみがいた時は

ここが一番安心する場所だった

きみが何かをしながら

くちずさむ歌声が

聴こえなくなってもう半年

ぼくは前に進めているだろうか?

そんな風に考えてしまう

静寂に包まれた部屋にひとり

きみがいたあの日を思い出す

9/29/2024, 11:19:16 AM

学生が引っ越して空室になったアパート。
患者さんが亡くなって空いてしまった病室。
建物自体が廃墟と化したビルの空っぽのテナント。

ただ留守にしてる部屋の静寂と、もう二度と住人が戻ること無い部屋は、やっぱり何かが違う気がする。
人の営みが止まってしまった寂しさや、時がもう進む事は無いのだという虚しさが漂うからだろうか。
いつか帰ってくる、いつか誰かが来るという期待や希望が空っぽの部屋に満ちていれば、この寂寥感はきっと気付かずにいられたのだろう。

誰もいない部屋の温度に、私は思わず両腕を抱えてさすった。


END


「静寂に包まれた部屋」

9/29/2024, 11:18:34 AM

1滴2滴
積もり負けたの
静寂に包まれた部屋で
1秒2秒
数え飽きたの

1人より
2人でいる方が寂しいなんて
変な話でしょ
2LDK
折りたたんで
お開きにしよう
さようなら

9/29/2024, 11:17:05 AM

『静寂に包まれた部屋』

静寂に包まれた部屋の空気を、私のため息が揺らす。
やけに静かな部屋はあなたがいないことを強調していて、あなたがいた頃には感じなかった孤独感に苛まれるばかりだった。
ねぇ、未だにあなたのことが忘れられないの。
静かな部屋が、堪えられないの。
どうか、お願いだから、また、私の隣で笑ってよ。

9/29/2024, 11:16:20 AM

「なあ 晩御飯いつ?」
パジャマ姿の夫にそう尋ねられた
少しイラッとした
でも
「しー」
今、私の赤ちゃんが腕の中で眠っているのよ。
そんな風に目で訴えた
夫はどこかへ行ってしまった
ああ、外で食べてくるのかしら
そんなことを思わざるを得なかった
私は今、ストレスと天使を抱いている。
それから暫くして夫がどこからか帰ってきた
何を食べてきたのだろう
「あの……春雨スープと唐揚げ弁当でいいか?」
え、買ってきてくれたの?
夫の手にはビニール袋が1つあった
「い、いいけど……」
夫は袋から丁寧に弁当を取り出し、蓋を開け、レンジで温める。
「あなたがわたしの為に弁当なんて、明日は雪でも降るのかしら。」
斜め上を見ながら夫に言う。
「今までごめん。」
へ?予想してない答えが返ってきた。
だって夫は……夫は……
「でも、もう終わるからこんな辛い日々も。
もう。」
涙が出た。ぽろり、ぽろりと。
遅いじゃない、怠け者の夫め。
「じゃあ、これからは2人で……グスッ」
どうしようもないくらいの雨粒が”私たち”の赤ちゃんにも落ちそうだ。それを見兼ねたのか夫が私に近づき、私が誕生日にプレゼントしたハンカチでふいてくれた。これから、始まるのね。私たちの物語が……。
「スープ、熱くないか?」
「ええ、丁度いいわよ。冷めずぎても、熱すぎてもいない、ほど良い温度。」
このまま私たちは静かに微笑みを浮かべ、互いに見つめあった。

そしてまた、夫は私にスープを飲ましてくれる。

この日の夜は、静かだった。
そして、幸せに包まれていたのだった。

翌朝
「この人が俺らのATMだ!」
「は?」
1人のガタイのいい男が夫の隣に立っている。
「夫さんとも愛し合っている仲ですので宜しくお願いします!」
そしてその場で濃厚なハグチューを披露された。
「こいつが稼いできて!俺が家政夫になる!これでお前は育児に専念できて生活が楽になる!良かったな!」
なんだこれ、夢でも見ているのか
「どういうことかしら!」

「そういうことです。」
そしてこの部屋は2人の男の微笑みと静寂、そして私の萌えと共に全てを包んだのだった。

『静寂に包まれた部屋』

9/29/2024, 11:15:46 AM

静寂に包まれた部屋

「これで全部です。ではお願いします。」
頭を下げながら挨拶をする。
「かしこまりました!では現地で!」
力強い元気な声は大きいトラックに乗って走り出した。

さて...と部屋を振り返る。
ベッドや冷蔵庫、テレビ...自分の持ち物が
全て無くなったこの部屋はこんなにも広かったものか...

ここに来た時は広く自分好みの部屋に変えようと
意気込んでいた事を思い出した。
結局掃除が面倒で模様替えをする体力が無く
あんまり出来なかった。
次の部屋では...と思ったが
また同じことになってしまいそうだ。

ここで数年間過ごした思い出を思い出しながら
部屋の中をゆっくりと歩き、眺める。
思い出の中は賑やかだが、何も無い今はすごく静かだ。
...全部...思い出になってしまったなあ...。

少しセンチメンタルに浸りたいところだが、
そろそろ出発しないと荷物を待たせることになってしまう。

寂しいが...さようならだ。玄関でもう一度部屋の方を向き、
「ありがとうございました。」と
深く一礼しながら部屋に伝える。

お世話になりました。
それじゃあ、行ってきます。

語り部シルヴァ

9/29/2024, 11:15:28 AM

いつも通り

最近辛くて◯にたいとよく思う
だけど、家族の前ではいつも通り振る舞う
でも…それすらも辛くなる

辛い時…いつも通りに振る舞わなきゃ駄目ですか…?
                匿名М

9/29/2024, 11:15:03 AM

北風が吹き付ける路地を、マフラーに顔を埋めながら歩く。

学園祭が終わると、校内は途端に勉強ムードに入る。期末テストが近いからだ。

今日は父の帰りが遅いこともあって、図書室で勉強してから家路についた。辺りはすでに暗く、ちょっとした恐怖心を煽る。

「まったく、藤江くんがあんなこと言うから……」

ホームルームで担任から不審者情報を伝えられた後、藤江くんは異常に私を心配して、送って行くと言い出した。

しかし藤江くんは家庭の事情で早く帰宅しなければならない日だったようで、私にも図書室に行かず帰るよう勧めてきた。

私は家より図書室のほうが集中できるし、男だから大丈夫と言って断ったのだが、藤江くんは真剣な顔をして、

「男の子が好きな悪い大人だってたくさんいるよ。煌時くんみたいな可愛い子は特に!」

と言ってのけた。

その時は笑って流したが、今になって少々後悔している。

いっそ走って帰ろうか、もうだいぶ近くまで来たし。そう考えて鞄を握り直した時、曲がり角から人が出てきて思わず叫びそうになった。

その人は私を振り返ることもなく先を歩いて行く。

よかった、ただの通行人だ。いや、ビビりすぎだぞ私。

跳ね上がった鼓動を落ち着かせようと、胸に手を当てて歩く。ところが再び、ドキッとさせられた。前を歩いていたその人が、急に引き返して来たのだ。

忘れ物でもしたんだろうか。そう考えることで、私は自分を奮い立たせた。

「すみません」

しかしその小さな努力も虚しく、彼は私に話しかけてきた。

「は、はい?」

「この辺に岡野さんというお宅はありませんか」

私はびっくりして目を見開いた。この近所に岡野という家はウチしかない。なんだ、父のお客さんだったのか。

「あ、ええと」

説明しかけてハッとする。父は今日、帰りが遅い。誰かと家で会う約束なんかしていないはずだ。

たとえこの人が父の親友で、勝手に押しかけて来たのだとしても、父のいない家に案内したところで意味がない。何より、私ひとりの空間に知らない人を招き入れるのは正直怖い。

私は咄嗟に嘘をついた。

「すみません、私は最近引っ越してきたばかりで、よく知らないんです」

「ああ、そうですか」

「失礼します」

頭を下げて去ろうとした瞬間。

「残念だなぁ〜」

「え?」

男は突然馴れ馴れしい口調になった。

「純粋そうな子だと思ってたのに……嘘つくような悪い子だとは思わなかったよ」

ああ、ヤバい。この人ヤバい人だ。

頭の中の私はすでに走り出していたのだが、実際には、北風と恐怖で凍りついた足が地面に張り付いていた。

男が近づいてくる。

私はガクガクと震えるだけで何もできない。頭が真っ白になって、ただ男を食い入るように見つめるしかなかった。

「悪い子にはお仕置きしなきゃね、煌時くん……」

男が手を伸ばしてきたその時、

ウウーーウー

「お巡りさん、こっちです!!」

パトカーのサイレンとともに、私のヒーローが現れた。

「チィッ!!」

不審者は逃げていき、先生は崩れ落ちる私を抱きとめた。

「煌時くん! 大丈夫ですか、何もされてませんか!?」

「は、はい……」

私は泣きながら先生に縋りついた。

「先生、なんでここに」

「お父さんから頼まれたんです。予定よりも遅くなりそうだから、様子を見に行ってほしいと。間に合って良かった……」

先生は痛いほど強く私を抱きしめた。

「警察は……」

「あれは方便です。君たちを見て咄嗟にスマホでサイレン音を流したんですよ」

先生はスマホを翳して笑った。

「これからちゃんと通報します。煌時くん、詳しく話せそうですか」

「多分、なんとか……頑張ります」


警察署から帰ると、父が大慌てで駆け寄って来た。とっくに帰っているはずの私の姿がなく、先生にも連絡がつかなくて死ぬほど心配していたらしい。

先生から事情を聞いた父は、今日は先生と離れたくないという私の我儘を飲んでくれた。

先生の腕に掴まりながら家の中に入る。静寂に包まれた自分の部屋が、いつもの何倍も怖いものに思えた。


テーマ「静寂に包まれた部屋」

9/29/2024, 11:11:43 AM

長い間、一緒に居たね

私もう出るから。

そう言って4時間が過ぎた

2人でバス停まで歩く

またね。

来た道を戻った貴方からのLINE

部屋が寂しい。



―――静寂に包まれた部屋

9/29/2024, 11:10:23 AM

今日は彼女とデート!

めっちゃ楽しみにしてたんだ〜。
俺が先に待ち合わせ場所に着いて彼女を待っていると、
数分後に……
「お待たせー!遅れてごめんね💦」

の一言で彼女が現れた。
フワフワのミニスカートに白いシャツ、サラサラの黒いセミロング。
「可愛い…」
しか出てこなかった…

彼女と一緒にカフェへ行ったり、遊園地へ行ったりした。
帰ろうとしてた時に土砂降りに見舞われた…
「ヤバ…とりあえず俺ん家行こ!こっから近いんだ!」
急いで彼女の腕を引っ張って家へと連れて帰った…

自室へと戻ってきて彼女でも着れるような服を探して貸してあげた。
雨の音しか聞こえない、静寂に包まれた部屋の中で2人きり……

ココから先、何があるかはあなた次第。

9/29/2024, 11:10:23 AM

静寂に包まれた部屋で、声を押し殺して泣いた。ああ、もう、疲れた。全部、全部、全部。早く終わらせたい。終わらせて、楽になりたい。でも、勇気が出ない。誰にも話せない。だから今日も僕は悩んで苦しむ。こんな日々、いつまで続くのかな。

9/29/2024, 11:10:18 AM

静寂に包まれた部屋





ああ、これは。
戸を引いた瞬間流れた空気に目を伏せる。
これは、だめだ。

ただただ広いだけの、物が何も置かれていない畳10畳の部屋にそれは横たわっていた。
円く開けられた飾り窓から、ポッカリと空に浮かぶ月を覗いているかのようだった。
見えるものだけを見ればいつもと同じで、ただ、どうしても感じられてしまう異常な静けさだけがいつもと違うことをあまりにも明確に知らせてくる。
部屋には生気がなかった。
いつも微かながらに温かく迎えてくれるほんのりとした熱が、今やしんとした鋭く冷たく突き刺さるような冷気に侵されてしまっている。

その冷たさは駆け寄ってその身を揺らす気さえ起こさせなかった。
部屋の主はもう何をしても起きないことが明らかだ。

円い窓から闇を見上げれば予想通り欠けた月が見えた。
冷たい部屋の中でようやく生温い感触が手をつたうと、何もかもが静寂に溶けていくような気がした。

部屋には音がない。
風の音息の音鼓動の音さえも今はもう、聞こえない。

9/29/2024, 11:08:17 AM

《夜の時間》
(刀剣乱舞/大般若長光)


これは大般若が審神者によって励起される前。

現世の博物館に居た頃の話。


日中は騒がしくも賑やかで、様々な人々の声が絶え間なく聞こえる館内。


しかし閉館時間になり、職員も居なくなると、シンと静まり返る。

付喪神達も眠ったり、長くこの世にあるモノは少しばかり本体から離れて歩いていたり。

大般若もそれなりに長く居る刀ではあるので、多少なりとは動けるが、限度があるためあまり動くことは無い。

展示されていない時期ともなれば尚更だ。


「静かな時間だなぁ....」

「おや、大般若は静かなのは苦手かい?」

「苦手では無いが、暇ではあるだろう?小竜はどうなんだい?」

「まぁ俺も退屈って点には同意するけどさ」

同じ長船派の景光作の太刀・小竜景光とは仲も良く、共に起きていればたわいない会話を交わす。


沢山の古いモノたちで溢れるこの場所は、いつも騒がしくて飽きないが、毎晩訪れる静かな時間も、暇ではあれど嫌では無いのだ。

9/29/2024, 11:08:11 AM

父の遺伝子だろうか。僕の睡眠時間は短い。
 未明に目を覚ます事が多い。
 同居人と同じベットで寝ているのだが、こちらは気持ちよさそうな寝息を立てている。1時過ぎまでゲームでもしていたんだろう。テレビはオフタイマーで切れておらず、いつものゲーム実況者の動画が垂れ流しだ。


 行動は日によって様々で、外がそこそこ明るければベランダの植物に水をやったり、睡眠中の同居人に抱きついて起きない程度にちょっかいをかけたり、飲み物を入れてパソコン部屋に移動したり。


 でも1番多いのは、携帯電話をイジる事。
 ゲームを消化したり、小説を読んだり、漫画を読んだり。
 生産性がないなとは思いつつ、ダラダラとベットの上で過ごす。


 そのうちテレビが勝手に消え、窓の外が明るくなっていき、生活音が聞こえだす。バイクだったり、車だったり、電車だったり。

 暇人な僕は、のんべんだらりんと過ごす。


⬛︎ 静寂に包まれた部屋

9/29/2024, 11:05:56 AM

──ふと、身体を揺さぶられる気配がした。
 重い目蓋をあげて左側を見やると、白い衣の男がこちらを見つめていた。天真爛漫な昼間とはまったく異なる表情に何事かと上体を起こす。

「どうしたの」

 彼はすっかり気が滅入っている様子でぽつりと呟く。
 曰く、わたしが死ぬ夢を見たと。

「朝、いつものようにここに来てきみを起こそうとしたんだ。だけどいくら声を掛けても少しも動かないから、なんだ昨夜は夜更かしでもしたのかと身体に触れて、そしたら、……そうして触れたきみの身体が、いやに冷たくて」

「ええ」

「一気に身体が冷えて、目の前が暗くなった。死んだきみは眠るように穏やかな顔をして、嗚呼、ついにこの子までもが死んでしまったと、俺を置いていってしまったと思った」

「……ええ」

 自分の見たものを整理するように思い付くままに話す彼の、布団を握りしめる手が震えていた。
 血色の悪い肌をすぐにでも抱き締めてやりたかったけれど、なんせ彼はわたしより何十センチも身長が高い。上半身だけ起き上がった今の体制でわたしが抱き付けば、二人ともつらいかもしれないと思った。
 だからせめて、と慰めるように頭を撫でた。細い髪が指の隙間をさらりと通り抜けて、指先の肉と爪の間に入り込む。
 いつからか彼に握られた左手のひらをやわく握り返す。大きくて、滑らかで、よく鍛えられた男のひとの手。わたしはこの手が数多の人々を救ってきたことを知っているし、わたし自身幾度も助けられてきた。しかし彼の夢の中のわたしは──。

 触れ合ったからか、思考がまとまってきたからか少しばかり落ち着いたようだけれど、それでもまだ顔色は悪い。
 わたしはうまく口角を下げることが出来ないでいる。ただの夢の中での出来事で。わたしの死ひとつで、こうまで弱ることを知ったからだ。こんなちっぽけなわたしでも、強くて立派なこのひとを傷付けることが出来るのだと理解したから。

(貴方の取り乱す姿を見られて嬉しい、なんて)

 今ここで言ってしまえば、彼はついにわたしをすっぽりと隠してしまうだろう。
 わたしは大人しく口をつぐんで、鶴の羽毛のように真っ白な髪の毛をゆるりと撫で続けた。


▶静寂に包まれた部屋 #79

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