語り部シルヴァ

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静寂に包まれた部屋

「これで全部です。ではお願いします。」
頭を下げながら挨拶をする。
「かしこまりました!では現地で!」
力強い元気な声は大きいトラックに乗って走り出した。

さて...と部屋を振り返る。
ベッドや冷蔵庫、テレビ...自分の持ち物が
全て無くなったこの部屋はこんなにも広かったものか...

ここに来た時は広く自分好みの部屋に変えようと
意気込んでいた事を思い出した。
結局掃除が面倒で模様替えをする体力が無く
あんまり出来なかった。
次の部屋では...と思ったが
また同じことになってしまいそうだ。

ここで数年間過ごした思い出を思い出しながら
部屋の中をゆっくりと歩き、眺める。
思い出の中は賑やかだが、何も無い今はすごく静かだ。
...全部...思い出になってしまったなあ...。

少しセンチメンタルに浸りたいところだが、
そろそろ出発しないと荷物を待たせることになってしまう。

寂しいが...さようならだ。玄関でもう一度部屋の方を向き、
「ありがとうございました。」と
深く一礼しながら部屋に伝える。

お世話になりました。
それじゃあ、行ってきます。

語り部シルヴァ

9/29/2024, 11:15:46 AM